令和5年11月22日に、令和5年度荒川区議会定例会11月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った若林由季(わかばやしゆき)議員の質問「産後ケアについて」と、それに対する子ども家庭部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

14:45~ 一般質問「産後ケアについて」

47:20~ 子ども家庭部長答弁

 

 

若林由季(わかばやしゆき)議員 一般質問(3)「産後ケアについて」

 

 

若林由季(わかばやしゆき)議員(自民党・次世代)

 

 

「(前略)

 

次に、子育て・教育施策について質問させていただきます。

 

 

(これまでの子育て支援策について)

荒川区では、これまでも子どもの健全育成や子育て世代の支援など、様々な先進的な取り組みを行われてきたことは存じ上げております。平成18年には子育て支援部の設置、令和2年7月には子ども家庭総合センター内にて児童相談所を開設、また私が区議会議員になる直前の本年4月には『荒川区子ども(の)権利条例』が制定されるなど、区を挙げて子育て支援策を推進してきたことに感謝申し上げます。福祉や健康のセクションとも連携し、出産前から出産後、その後の保育から教育まで、荒川区独自の途切れの無い子育て支援が推進されております。

 

 

今回、私自身現役子育て世代として、これまでの子育ての経験を踏まえ、区民目線で荒川区における産後ケアについて質問をいたします。

 

 

(産後ケアの重要性について)

区では現在、出産後の産婦及び乳児に対し心身のケア等を行う産後ケア事業が実施されています。産後のお母さんの体は全治1ヶ月から2ヶ月の交通事故にあったと言われるような状態に例えられるほど、女性の体は妊娠・分娩で大きなダメージを受けます。また、産後に無理をすると体の回復が遅くなるだけではなく、更年期障害に影響を及ぼすとも考えられています。出産後のお母さん、とりわけ初産のお母さんは、初めて体験する育児に大きな不安を抱くものです。核家族が進み、周囲に手助けをしてくれる人がいないこともあり、家事と育児の両立で心身共に疲弊してしまい、産後うつや子どもの虐待の原因になってしまう恐れがあります。

 

先日、産後ケアを提供されている助産師さんによる勉強会に参加し、お話を伺いました。医師や助産師さんなどの専門家による育児指導や育児相談をしてくれる産後ケア事業を積極的に受けて欲しいとのことでした。多くの利用者の方が不安な気持ちを払拭し、産後の不安の解消につながり、安心して育児を行うことが出来ているそうです。

 

 

(産後ケア事業の拡充について)

また、例え周囲のサポートがあったとしても、育児に関する専門的なアドバイスを受けたいという方も多くいるでしょう。こうしたニーズに的確に答えていくためにも、この産後ケアを提供していく事業者を増やしていく必要があると考えております。それにより、利用者は自らの状況に応じた産後ケア事業者を選択し、利用することが出来るような環境整備を進めていただきたいと思います。

 

 

(近隣区等との連携について)

現在、区内には産科の医療機関や助産院の数は少ないため、近隣の自治体で出産される方に加え、里帰り出産をされている区民の方も相当数いらっしゃると思います。周辺区の連携はもちろん、あらゆる地域を含め、このサービス提供事業者の更なる拡充を図っていく必要があると考えます。

 

また、千葉県や埼玉県では地域のホテルと連携し、地域経済の活性化と産後ケアを同時に達成できた実例もございます。

 

 

是非とも、産後ケアが当たり前の選択肢になるよう対応していただきたいと考えますが、区の見解をお伺いいたします。(後略)」

 

 

 

子ども家庭部長 答弁

 

 

「初めに、産後ケアのサービス提供体制の整備に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(産後ケアの重要性について)

産後ケア事業は、産科の医療機関や助産院などの施設や産婦の自宅において、医師や助産師等の専門家による相談や乳児の育児の指導を受けることにより、育児不安や孤立感を抱える産後の母親の心身の回復と安定を促進し、核家族化が進む中においても、地域で安心して子育てが出来る環境整備に大きく寄与するものであると認識しております。

 

 

(産後ケア事業の拡充について)

この産後ケア事業の担い手となる医療機関や助産院は、事業を開始した平成29年度には2箇所しか無く、サービス形態も宿泊型のサービスのみでございましたが、本年4月には10箇所となり、サービス形態にも日帰り型・訪問型が加わって、利用者のニーズにきめ細やかに対応しながら事業展開を図っているところでございます。とりわけ自宅において助産師等の相談や指導を受ける訪問型サービスにつきましては、利用にあたって特段の準備の負担も無く気軽に利用できることから、令和4年度の利用件数は訪問型の提供がスタートした令和元年度に比べ6倍を超えている状況となっております。

 

 

(近隣区等との連携について)

区ではこうした利用ニーズの増加にしっかりと的確に対応していくため、産後ケアを提供できる事業者をさらに充実していく必要があると認識しており、議員ご提案にもある通り、本年12月より近隣区の産科の医療機関において新たに産後ケアを開始することとしており、近隣区にも範囲を広げてサービス提供事業者の拡充に取り組んでいるところでございます。

 

 

(今後の取り組みについて)

区といたしましては、より多くの産婦の方々に気軽にご希望に沿った産後ケアがご利用いただけるよう、利用へのハードルを下げ、様々な工夫を重ねていく必要があると考えております。里帰り出産への対応や他自治体での取り組みについても調査研究を進め、誰もが安心して子育てが出来るまち荒川の実現に向け、産後ケア事業の更なる充実に努めてまいります。(後略)」