令和5年11月21日に、令和5年度荒川区議会定例会11月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った鬼頭あきゆき(きとうあきゆき)議員の質問「自転車の盗難を無くすための対策について」と、それに対する区民生活部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

5:05~ 一般質問「自転車の盗難を無くすための対策について」

16:40~ 区民生活部長答弁

 

 

鬼頭あきゆき(きとうあきゆき)議員 一般質問(2)「自転車の盗難を無くすための対策について」

 

 

鬼頭あきゆき(きとうあきゆき)議員(立憲民主党)

 

 

「(前略)

 

続きまして、自転車に関連して、自転車の盗難を無くすための対策について伺います。

 

 

(荒川区の自転車の盗難件数について)

警視庁のホームページで調べましたが、荒川区における令和4年度の刑法犯の件数は1,143件で、23区では少ない方から数えて898件の文京区に次いで2位でした。犯罪別の内訳を見ますと、1番多いのは自転車の盗難の331件です。傷害事件や暴行事件など、体感的に治安が悪いと感じる凶悪な犯罪は文京区より少ないのですが、なぜか自転車の盗難件数が100件以上多いものです。

 

発生している犯罪の内容から見ますと、治安は23区でも1番と言っても良いかもしれませんが、数字上は残念ながら2番です。1番と2番比べますと、私はやはり1番を取りたいです。また、犯罪が1番少ない街ということをアピールできれば、区のイメージの向上にもつながると思います。

 

 

(荒川区に自転車利用者が多いことについて)

荒川区は、西日暮里3丁目・4丁目の一部を除いてほとんどが平坦なため、区民の移動の手段の主役は自転車です。自転車が日常の足として利用されているからこそ自転車の絶対数は多く、その分盗まれる機会も多いのかもしれません。しかし、1年間に331台もの自転車が盗まれていることは大変な驚きです。

 

 

(自転車に鍵をかける重要性について)

自転車はどのようなきっかけで盗まれているのでしょうか。例えば、終電が無くなって歩いて自宅まで帰る人が、自転車を盗んで帰ろうと考えたとします。盗む人の気持ちになって考えてみますと、わざわざ鍵を壊してまで盗まないのではないでしょうか。私の想像ですが、おそらく犯人は鍵を壊している時に誰かに見つかるかもしれないというリスクを避けるために、鍵を壊してまで盗むのではなく、初めから鍵がかかってない自転車を盗むと思います。

 

高級車でない限り、自転車はホームセンターで安く購入することが出来ます。毎日足のように使っている自転車です。出かけやすいように玄関前に止めている人も多いですし、コンビニに少し立ち寄るだけだから大丈夫だろうと、その気の緩みから、自転車に鍵がかかっていなければ、どうぞお乗りくださいと言っているようなものだと思います。

 

自転車盗難331件を無くすことができれば、文京区を抜かして犯罪の発生件数が23区で1番少なくなり、名実ともに治安ナンバーワンの街になれます。区民の皆様一人ひとりが自転車に鍵をかけるということを意識して、鍵かけを徹底するだけで、自転車盗難を無くすことが出来るはずです。

 

 

(愛知県警の対策の事例について)

こうしたことを踏まえ、私は自転車盗難を減らすために、ナッジ理論を活用した対策を提案いたします。ナッジ理論とは、人々が強制的にではなく、より良い選択を自発的にとれるようにする方法を生み出すための理論で、今では色々な場面で、全国の自治体で施策に取り入れています。この理論を自転車盗難対策に活用しようというものです。

 

具体的に申し上げますと、『盗難追跡対象自転車』と書いた目立つタグを作成し、鍵をかけていない自転車に取り付けるという作戦です。このタグを取り付けることで、盗もうとする人は『もしかして罠かもしれない』と思い、盗むことを躊躇するはずですし、タグをつけられた自転車の所有者は、鍵をかけなかったことを反省するきっかけになると思います。実際、この作戦は愛知県警が行ったところ、盗難がおよそ8割減少したそうです。

 

荒川区においてもこの作戦を導入し、もし8割の盗難が減りましたら、文京区を抜かし治安ナンバー1になります。すぐに出来る簡単な対策です。直ちに開始していただきたいと思いますが、区のお考えを伺います。(後略)」

 

 

 

区民生活部長 答弁

 

 

「(前略)

 

次に、自転車盗難防止をはじめとする治安対策に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(治安対策を重視している旨について)

治安対策は、区民の皆様が安全・安心に生活していく上で基盤となるものであり、区政の最重要課題の1つであると認識しております。区ではこのような認識のもと、区内3警察署をはじめ、町会や地域の皆様と連携して、『安全・安心パトロールカー』(青パト)による巡回、『安全・安心ステーション』による見守り活動のほか、様々な取り組みを推進し、治安ナンバーワン都市の実現を目指してまいりました。

 

 

(高齢者に対する犯罪への対策について)

とりわけ高齢者を狙った悪質な犯罪である特殊詐欺に対しては、防災行政無線を活用した注意喚起や自動通話録音機の無料設置など、先駆的に取り組んでまいりました。また、年金支給日における無人ATM警戒活動や、高齢者世帯に対する個別訪問など、直接高齢者に対して被害防止のためのアドバイスを行うといった地道な活動にも力を入れており、還付金詐欺を未然に防止した事例もございます。

 

 

(強盗・侵入窃盗・その他凶悪犯対策について)

さらに、強盗や侵入窃盗対策として、家庭用防犯カメラや録画機能付ドアホンなどの防犯対策品の購入・設置費用について、補助金交付制度を平成22年度から導入するとともに、区内や近隣区で発生した凶悪犯人の逃走事案につきましては、速やかに区民の皆様へ情報発信が行えるような体制を整えており、地域防犯力の向上に大いに寄与しております。

 

 

(闇バイト・痴漢対策について)

そのほか、若者が闇バイトに加担しないための対策として、カラオケ店やインターネットカフェなどに協力をいただきながら、注意喚起用の看板を設置して啓発しているほか、痴漢被害撲滅のため警察官や駅員と合同で街頭キャンペーンを行うなど、防犯意識の向上を図ってまいりました。

 

 

(荒川区の治安の良さについて)

これらの活動の結果、平成28年から昨年まで連続して、23区内で2番目に少ない刑法犯認知件数を継続してまいりました。また、住民の体感治安を悪化させる犯罪として警視庁が指定した強盗・特殊詐欺・性犯罪・侵入窃盗などの指定重点犯罪につきましては、本年9月末現在で23区内で最も少ない認知件数となっており、荒川区は23区内でトップクラスに治安の良い街となってございます。

 

 

(自転車の盗難について)

一方で、議員ご指摘の通り、昨年の区内における1,143件の刑法犯のうち331件が自転車の盗難被害であり、特に多く発生しております。

 

今後、更なる体感治安の向上を区民の皆様に実感していただくためには、ゲートウェイ犯罪の1つであり、区民の身近で発生する自転車の盗難被害件数を減少させることが必要であり、様々対策を講じております。

 

例えば、自転車の盗難被害の多くが無施錠状態であるという現状を踏まえ、区内3警察署と連携して、駅前やスーパーなどの駐輪場においてダイヤルロックの無料配布を随時実施しております。また、駅前の駐輪場横の壁面に注意喚起用の大きなポスターを掲示したほか、町会回覧チラシを作成して啓発を行っております。さらに自転車盗難の被害防止に特化した『安全・安心パトロールカー』(青パト)による巡回を午後4時から午前5時までの間、盗難の多い地区で集中して実施しており、集中して警戒活動を行っている地域では着実に効果が現れております。

 

 

(今後の取り組みについて)

区といたしましては、ご紹介いただきました他自治体の事例も参考にしながら、今後も引き続き警察をはじめとした関係機関と連携し、区民の皆様が安心して荒川区で生活をしていただけるよう、犯罪の無いまち荒川区の実現に向けてさらに取り組みを推進してまいります。(後略)」