令和5年11月21日に、令和5年度荒川区議会定例会11月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った北城貞治(ほうじょうさだはる)議員の質問「災害対策について②」と、それに対する福祉部長と健康部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

17:25~ 一般質問「災害対策について②」

45:05~ 福祉部長答弁

57:55~ 健康部長答弁

 

 

 

北城貞治(ほうじょうさだはる)議員 一般質問(5)「災害対策について②」

 

 

北城貞治(ほうじょうさだはる)議員(自民党・次世代)

(震災・災害対策調査特別委員会委員長、自民党・次世代副幹事長)

 

 

「(前略)

 

(個別避難計画について)

次に、高齢の方や障がいのある方における個別避難計画について伺います。

 

重度要介護者や障がいのある方を対象とする個別避難計画は、令和3年5月に災害対策基本法の改正に伴い計画の作成が努力義務化されましたが、区では義務化される以前から個別避難計画の作成を開始しました。評価をいたします。

 

一方で、個別避難計画の作成状況を見ますると、高齢者の作成状況は対象者816名のうち作成済みが333人で策定率は41%、障がい者については対象者7693人のうち作成者は1964人、策定率は約25%のことであり、決して高い状況とは言えません。

 

過去の特別委員会や、先の決算に関する特別委員会の議論の中で、作成が進まない背景として、高齢者の計画に関しては対象者の入れ替わりが多いこと、作成を支援するケアマネージャーが荒川区以外の所属になっていること、介護サービスを利用していない方がいることなどが要因となっているとの報告を受けています。また、障がい者の計画の作成が進まない理由としましては、対象者が非常に多く設定をされている中で、堅牢な建物に生活されている方、ご両親が常に一緒にいる方や、グループホームに入居されて施設側の支援が見込まれてる方などから、計画作成の辞退を受けてるといった報告がありました。

 

このようなことを踏まえますると、高齢者に関してはケアマネージャーによる協力が重要なことは理解できますが、一方でケアマネージャーの業務は繁忙であることを踏まえますると、仕法(仕様?)の工夫に加え、多様な担い手による作成支援が必要ではないかと考えます。また、障がい者に対しましては、作成する対象者をより明確にするべきだと思います。その上で、作成しない方についても、在宅における避難の支援をセットで検討する必要があります。これらの計画の作成においては、家族・事業者・所管課及び地域との連携など様々な課題があることは理解できますが、区民の命を守るため、自助・共助を進めるためにも、これまで以上に個別避難計画の作成に力を入れて準備を進めていくべきと考えますが、区の認識をお伺いをいたします。

 

 

(緊急医療救護所に関する情報共有について)

次に、緊急医療救護所に関する情報共有について伺います。

 

先ほど避難所運営の質問でも申し上げた通り、区は発災後、緊急医療救護所を区内6箇所に設置し、そこに区職員や医師会等の医療従事者が参集し、医療救護活動に当たる計画としています。

 

しかし、医療従事者が発災時に実際どこに行ったら良いか分からなければ、発災時には人が集まらず、区職員がいても緊急医療救護所が開設できないという最悪な状態も考えられます。先の決算特別委員会で、緊急医療救護所の割り振りの更新について指摘をさせていただいたところ、医師会などに依頼したとの答弁がありましたが、その割り振りを全ての会員が把握し、発災時に実践できるようにしなければ意味がありません。引き続き適時割り振りの更新や周知を行うなど、医師会との連携をさらに強化をするとともに、発災時における通信手段を含め、どのように情報を共有していくのか、実践的な形として検討していくべきであります。区の認識を伺います。

 

 

(広域災害救急医療情報システム・EMISについて)

次に、広域災害救急医療(情報)システム・EMIS(イーミス)について伺います。

 

EMISは、発災直後、病院が被災状況をシステムに入力し、区はその情報を確認することで、災害地の医療の状況を共有できるものです。私は、医療機関との情報共有を即座に行うために、このEMISは極めて重要なシステムだと認識をしています。実際に災害が起こったならば、このシステムは迅速かつ有効に活用されるよう、医療機関と連携しながら、区は更に取り組みを進めていくべきと考えますが、区の認識と今後の取り組みにつきましてお伺いをいたします。

 

 

(都立大学荒川キャンパスの活用について)

最後に、都立大学荒川キャンパスの活用について伺います。

 

都立大学荒川キャンパスにつきましては、私は12年前から一貫して医療活動拠点として活用すべきと提言をしてきました。その理由として、例えば一つ隅田川の防災船着場が隣接しているため医療物資の受け入れ・保管がしやすいこと、一つ東北道から来る医療支援チームの受け入れ場所としての活用方法があること、一つ大学には多目的に利用できる講堂・体育館などの設備が整っていることなど、多くの可能性を有しているからであります。

 

しかし、協定締結以降、今現在までより踏み込んだ大学の活用まで話が進んでいないと考えております。いつ災害が起きるか分からない中で、災害医療体制の整備は急務の課題であり、特に医療救護活動の拠点としてのより具体的な活用を明確にすべきと考えています。改めまして、都立大学荒川キャンパスの活用方法の具体化をしていくための区の認識と今後に対応についてお伺いをいたします。(後略)」

 

 

 

福祉部長 答弁

 

 

「(前略)

 

次に、個別避難計画に関するご質問にお答えいたします。

 

年々自然災害による被害が大きくなる中で、議員ご指摘の個別避難計画を考えていくことは、区民の命を守る上で喫緊の課題であると認識しております。

 

 

(高齢者における個別避難計画について)

高齢者における個別避難計画については、日常生活の延長として実効性のあるものとする必要があることから、本人の状況をよく把握しているケアマネージャーへ作成を依頼してるところでございます。しかしながら、ケアマネージャーに求められる役割が増えているため、今後可能な限り負担が軽減できるよう、様式の簡素化に加え、作成者に関しましても日頃から付き合いのある近隣や介護サービス事業者等へ拡大するなど、作成率の向上に向けて具体的に取り組んでまいります。

 

 

(障がい者における個別避難計画について)

障がい者につきましては、在宅避難を想定していたり、身近に日常的な支援をする方がいるなどの理由により、直近3ヶ月の実績では約68%の方が個別避難計画の作成を辞退されることもあり、ご指摘の通り対象者の状況を見極めた上で計画作成を推進することが重要と考えております。今後、辞退される方の理由などの詳細な把握を行い、状況に応じた支援策を検討していくとともに、辞退された方以外で計画の作成が必要な方に対しまして、しっかりと取り組んでまいります。また、計画相談支援事業所や通所施設等にご協力いただくなどの方法も考えており、関係機関と協議してまいります。

 

 

区といたしましては、ご支援いただく方々へ協力を要請しながら、関係部署等と連携を図り、避難行動要支援者が安心して避難生活を送ることができる取り組みを押し進め、誰1人として取り残さない防災に向けて全力で取り組んでまいります。(後略)」

 

 

 

健康部長 答弁

 

 

(緊急医療救護所に関する情報共有について)

災害対策に関するご質問のうち、まず緊急医療救護所に関する情報共有についてお答えいたします。

 

現在、区では荒川区地域防災計画の改定作業にあわせて、緊急医療救護所の移転や、令和あらかわ病院前の宮前公園の活用など、区の災害医療体制につきまして全体的な見直しを進めております。

 

議員ご指摘の災害時の緊急医療救護所での救護活動や、避難所における健康管理、衛生環境の整備、医師会との連携や情報共有につきましては、区といたしましても大変重要な事項であると認識をしております。こうした認識のもと、区では医師会をはじめ歯科医師会・薬剤師会・柔道整復師会とともに緊急医療救護所に参集する会員の割り振りを更新し、すでに各会において発災時の連絡フローやローテーションの作成など、具体的な準備作業に入っているところでございます。

 

また、先月実施しました医療救護連携訓練におきましては、災害拠点病院の指定を目指す令和あらかわ病院と合同で訓練を実施するなど、発災時における関係機関との情報共有に重点を置いた実践的な訓練といたしました。

 

区といたしましては、いつ災害が起きても迅速確実な対応ができるよう、引き続き医師会をはじめとした関係機関との連携・情報共有にしっかりと取り組んでまいります。

 

 

(広域災害救急医療情報システム・EMISについて)

次に、広域災害救急医療情報システム、いわゆるEMISに関するご質問にお答えいたします。

 

EMISは、病院の被災状況や傷病者の受け入れ状況を確認し、病院に対する傷病者の受け入れ調整や支援策を行うなどという区の役割の検討に活用できるシステムでございます。また、医療機関が区の緊急医療救護所の開設状況を確認することが出来るため、区といたしましてもEMISは医療機関とリアルタイムに情報共有ができる重要なシステムであると認識をしております。

 

EMISは、発災後まず病院が情報を入力することが前提であるため、区では東京都が毎年実施している防災通信訓練を活用し、病院の入力状況を確認するとともに、区職員のシステム操作のスキルアップに努めてまいりました。また、昨年度の東京都の図上訓練におきましては、区とともに災害拠点連携病院である区内4病院も参加し、EMISの入力に重点を置いた訓練を実施したところでございます。今後も災害時に確実にシステムを使用できるよう、関係機関と綿密に連携しながら訓練を行ってまいります。

 

 

(都立大学荒川キャンパスの活用について)

最後に、都立大学の活用に関するご質問にお答えいたします。都立大学荒川キャンパスは令和あらかわ病院と足立区の東京女子医科大学(附属)足立医療センターの両方に比較的近く、重症者を迅速に搬送できる位置にありますことから、区といたしましても重要な医療活動拠点の1つとして最大限活用していきたいと考えております。

 

議員ご指摘の発災時における都立大学の活用につきましては、全国からの医療支援チームの受け入れ拠点として都立大学と協議を行ってございます。今後、病院を支援する災害時派遣医療チームであるDMATや、行政支援を行う健康危機管理支援チームであるDHEAT等との連携も念頭に、医療支援チーム受け入れ後の流れ等を整理した上で調整を進めてまいります。

 

また、町屋地区において災害拠点連携病院(木村病院)が移転し、緊急医療救護所が不足している現状を踏まえ、都立大学荒川キャンパスを町屋地区の傷病者の受け入れを担える規模の緊急医療救護所としても活用する方向で調整を進めてまいります。

 

区といたしましても、発災時においても区民の命を守るため、引き続き関係機関と十分連携し、更なる災害医療体制の強化に取り組んでまいります。」