令和5年11月21日に、令和5年度荒川区議会定例会11月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った北城貞治(ほうじょうさだはる)議員の質問「基金について」と、それに対する総務企画部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

3:25~ 一般質問「基金について」

40:35~ 総務企画部長答弁

 

 

 

北城貞治(ほうじょうさだはる)議員 一般質問(1)「基金について」

 

 

北城貞治(ほうじょうさだはる)議員(自民党・次世代)

(震災・災害対策調査特別委員会委員長、自民党・次世代副幹事長)

 

 

「自由民主党荒川区議会議員団・次世代あらかわを代表しまして、大きく4点にわたり質問を申し上げます。このような老兵の質問でございますので、ぜひ老兵が感激するような答弁を心からお願いを申し上げます。

 

 

 

最初に、今後の財政運営についてであります。

 

 

(財政課題を取り上げる理由について)

私は本会議・関係委員会におきまして、たびたび財政について質問をさせていただいております。その主たる理由を申し上げます。

 

そもそも財政というのは、助け合いの仕組みではないでしょうか。誰かが負担をしなければ、行政サービスは提供できません。負担をする人とサービスを受ける人は、必ずしも一致しません。これはある意味で絆であり、従って財政が崩れると地域社会は崩壊します。だからこそ健全な財政運営は、地域の絆を守る上において極めて大切であります。私は、自分が正しいと確信がある限り、常に間違っていないという信念で、今後も財政課題を取り上げてまいります。

 

 

(基金積立金の適正規模について)

初めに、基金積立金の適正規模について確認をさせていただきます。

 

近い将来、公共施設の老朽化対応などの大規模な財政需要が出てくることは、財政フレームからも明らかになっているところであり、その財政需要に的確に対応するため、安定的かつ十分な財源を継続をして確保していかなければなりません。先の決算に関する特別委員会でも指摘をいたしましたが、今後の財政需要に的確に対応するための1つの方策として、起債を有効に活用していくことが考えられます。しかしながら安易に起債に頼ってしまいますると、後年度の公債費負担の増大につながり、将来世代に過度な負担を強いることとなってしまいます。起債はあくまでも借金であり、発行の規模やタイミングについては、その時々の状況に鑑み、慎重に考えていく必要があります。やはり起債による財源確保にはおのずと限界があり、財源確保の基本を賄う手段としては、基金の積立てが中心となることは明らかであります。このような前提のもと、基金をどの程度まで積立てていくのが適当であるかにつきまして、確認をさせていただきます。

 

 

(財政調整基金について)

まず、財政調整基金について伺います。

 

私はこれまでの委員会等の質疑におきまして、財政調整基金の積立て額については、一般的な目安である標準財政規模の20%を超える30%を確保すべきと提案をしてきました。私の提案にご賛同いただき、標準財政規模の30%確保維持していくとの答弁をいだいたところでございます。

 

もちろん30%確保の大前提は、障がいのある方々への対応をはじめとした住民福祉を支えるための社会保障財源を最優先として確実に確保することは論をまちません。その上で30%を確保できたならば、社会経済状況の変化の中でさらに社会保障財源が必要ならば、躊躇をすることなく取り崩すべきでありましょう。さらに、いつ起こるか分からない経済危機や首都直下地震などの災害に対しても、確実に備えていかなければなりません。

 

未だ終わりの見えないコロナ禍においては、幸いにも財政的な悪影響はそれほど生じてないようでございますけれども、やはりリーマン・ショックの際の財政調整交付金をはじめとする収入減については決して忘れてはなりません。平成20年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した世界的な金融危機によりまして、財政調整交付金の原資になります法人住民税が大きく落ち込み、荒川区に交付される財政調整交付金も大きく減少しました。具体的な数字を申し上げます。平成20年度には約406億円だった荒川区の財政調整交付金が、21年度には380億円、22年度には360億円、23年度には357億円、24年度には343億円と、たった4年で63億円も落ち込みました。平成20年度と比較した累計額で言えば、この4年間で184億円も収入が減少したことになります。幸いにもこの後景気は回復し、財政調整基金の取り崩しは最小限度で終えられましたが、当時の財政調整基金の残高は約80億円を下回る水準しかなかったため、もし景気の低迷が長引き、収入減が続いていたならば、財源不足対応で財政調整基金が枯渇する恐れがあったと思われます。

 

こういった経験を踏まえますると、臨時的な財政利用に対応するための財政調整基金の標準財政規模の30%、金額にして約200億円程度を確保していくという目安は、極めて妥当であると考えております。区の認識をお伺いをいたします。

 

 

(特定目的基金について)

あわせて、特定目的基金についても確認をさせていただきます。

 

先ほど申し上げた公共施設の老朽化への対応のためには、特定目的基金への積み増しも必須です。本庁舎の建替えについては防災上の観点からも先送りすることが出来ず、可及的速やかな検討を進めていくべきです。また、小中学校の建替えについても、令和12年度以降、順次建替えを行っていくと聞いております。これらは、今後具体的な計画や方針を策定していくとのことなので、事業費の総額や財源の詳細については引き続き精査されると思いますが、やはり今の特定目的基金の残高では不十分であると認識をしております。今後の財政見通しとその状況を踏まえ、基金をどの程度まで確保していくべきと考えているのか、区の認識をお伺いをいたします。(後略)」

 

 

 

総務企画部長 答弁

 

 

「基金に関するご質問にお答えいたします。

 

 

区では、財政フレームによる財政見通しを踏まえ、本年度から当初予算において基金積立金を計上するなど、計画的な基金の積立てに努めてるところでございます。

 

 

(財政調整基金について)

財政調整基金につきましては、特別区税等の自主財源の占める割合が低く、景気動向の影響を受けやすい財政調整交付金に歳入の多くを占めている本区の財政構造に加え、大規模災害の発生による予期せぬ支出や、年々増加する社会保障関係経費に適切に対応していく必要があることから、これまでもご答弁申し上げてきた通り、標準財政規模の30%を確保してまいりたいと考えてございます。

 

 

(特定目的基金について)

また、特定目的基金につきましても、公共施設等の大規模改修等、近い将来の財政需要に的確に応えるため、各種基金への積み増しをより積極的に行っていく必要があるものと考えてございます。現在の積立額では十分ではないとの認識は議員と同様であり、今後策定いたします建替え等の計画・方針の検討にあわせて、具体的な必要額や基金・起債の活用のバランス等について改めて検討してまいります。

 

 

区といたしましては、今後とも将来にわたる行政需要を十分見極めつつ、必要な公共施設の更新等に対応できるよう、適正な規模の基金を着実に確保してまいります。(後略)」