令和5年9月12日に、令和5年度荒川区議会定例会9月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った西川浩平(にしかわこうへい)議員の質問「介護離職対策について」と、それに対する福祉部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

21:50~ 一般質問「介護離職対策について」

56:20~ 福祉部長答弁

 

 

 

西川浩平(にしかわこうへい)議員 一般質問(5)「介護離職対策について」

 

 

西川浩平(にしかわこうへい)議員(自民党・次世代)

 

 

「(前略)

 

続きまして、介護離職問題と区の支援についてお伺いをさせていただきます。

 

 

(身近に感じた介護離職問題について)

仕事と介護の両立が図れず、これまで勤めていた会社を退職せざるを得なくなる介護離職という問題があります。議員になる以前に勤務していた会社でも、介護を理由に退職をする社員の話を聞くことがあり、改めて高齢化が進む日本にあって介護という問題の深刻さを考える機会となりました。

 

 

(介護離職者と働きながら介護している人の人数について)

介護離職問題については、政府も介護と仕事の両立を支援するため介護休業等の制度を整え、離職者ゼロを目指し取り組みを進めております。

 

総務省の統計によりますと、令和5年7月に発表されたものでは、令和4年の就業基本調査(就業構造基本調査)を見ると、前回の調査が行われた平成29年から5年間で介護・看護等を理由に仕事を辞めた人の人数は全国で47万4千人に上っております。今回の調査時点においても、過去1年間に仕事を辞めた方の人数は全国で10万6千人いるというデータがあります。

 

また、介護全体に携わられている方の人数は全国で628万人いるというデータもあり、仕事と介護を一緒に行っているビジネスケアラーの人数で言えば364万6千人いるというデータがございました。こういったビジネスケアラーの方は50代が最も多く152万人いるそうで、全体の4割に相当するというデータになっておりました。

 

これらのデータを見ると、政府が目指す介護離職ゼロという道のりがまだまだ遠いように考えております。

 

 

(介護離職の悪影響について)

介護離職の現状は介護の大変さを物語るとともに、少子高齢化が進み団塊の世代の大量退職を経て労働力が不足する我が国においては、貴重な労働力を失うことにもなりかねない問題でございます。退職を余儀なくされた方は、これにより自身のキャリアも断たれてしまうという状況もあることから、介護問題の解決は喫緊の課題であると考えております。

 

 

(介護離職の原因について)

さらに、介護離職を招く理由として、介護に当たりその環境を整えるために制度化された介護休業制度についての認知度が低いという問題もございます。こういった介護と仕事の両立支援にあっては、自治体側でそれを対応する部分として存在してくるのが地域包括支援センターでございますが、このほど区の高齢者プランが見直されることになり、第9期のプランの作成のため区はアンケート調査を実施いたしましたが、アンケート結果では回答者の38.9%の方が地域包括支援センターについて名前・場所ともに知らないという回答をしておられました。

 

 

(介護離職防止のために区が行うべき施策について)

介護問題においては、働きやすい環境づくりという点では企業側の努力や国の制度に頼るところもありますが、区においても地域における介護問題の要は地域包括支援センターであり、高齢化が進む中で今後その需要はますます増加すると考えられます。

 

介護の初期段階にあっては、人手不足のおり職場で共に働く同僚への遠慮から、介護休暇や介護休業の制度を知ってはいても、平日の日中に仕事を休んで相談に行くということを躊躇する方もいらっしゃいます。そんな方のためにセンターの開庁時間を延長したり、ICTを活用したリモートでの相談を受け付けたり、休日に様々な場所に出向いて相談を受けるといったような取り組みもしていくべきではないでしょうか。

 

それとともに、先程のデータにあった地域包括支援センターの認知度も高めていただきまして、介護における様々な分野での充実を今後も図っていただきたいと思いますが、これに対する区の見解をお伺いさせていただきます。(後略)」

 

 

 

福祉部長 答弁

 

 

「介護離職者の支援策に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(仕事と生活の両立のための国・地方自治体・企業等の役割について)

自分の家族に介護が必要となっても、仕事と生活を両立していけるようにするためには、国及び地方自治体における取り組みはもとより、企業等の関係者がその意義を十分理解し、それぞれの役割を十分に果たしながら、家族を支援することが重要と考えております。

 

 

(介護離職ゼロに向けた取り組みについて)

これまで国では介護離職ゼロを掲げ、介護休業制度の改正、施設や在宅サービスの受け皿の拡大等が進められています。これを受けて区においては、介護サービスに加え、相談体制の充実を図っているところです。地域包括支援センターでは、介護者の相談内容に応じて専門職が連携し、その方の勤務時間に配慮した介護サービスをコーディネートするなどにより、介護離職の防止に向けて取り組んでおります。

 

 

(今後の地域包括支援センター等の取り組みについて)

区といたしましては、ご質問の趣旨を踏まえ、介護離職の防止に向けて、地域包括支援センターにおける支援に関する情報をホームページ・SNS等も活用しながら区民へこれまで以上に周知するとともに、地域包括支援センターの体制強化を図ることで相談しやすい環境を整備することにより、介護者が安心して仕事や生活を継続できるよう、引き続き第9期高齢者プランの策定作業の中で更なる検討を進めてまいります。」