令和5年9月12日に、令和5年度荒川区議会定例会9月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った久家しげる(くげしげる)議員の質問「若年層支援について」と、それに対する子ども家庭部長と総務企画部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

1:05~ 一般質問「若年層支援について」

14:35~ 子ども家庭部長答弁

16:45~ 総務企画部長答弁

 

 

 

久家しげる(くげしげる)議員 一般質問(1)「若年層支援について」

 

 

久家しげる(くげしげる)議員(立憲民主党)
(立憲民主党荒川区議団幹事長)

 

 

「立憲民主党荒川区議団の久家しげるです。今期初めての一般質問となりますので、宜しくお願いいたします。

 

今回大きく3項目についてお尋ねしますが、いずれも私自身が前任期中から特に重点的に取り組んできた政策分野にかかる内容についてであります。コロナ禍にあって実施自体が困難なものもありましたが、今年に入りコロナ禍以前の日常を少しずつ取り戻している中で、改めて区の発展と賑いの創出に資するための施策であるとの思いから前へ進めていただきたく、今回取り上げさせてもらいます。実現のための前向きな答弁となりますようご期待申し上げ、質問に入らせていただきます。

 

 

 

まず最初に、荒川区の若年層支援の現状と今後の方向性についてお聞きします。

 

 

(荒川区議会『若者支援・健全育成調査特別委員会』について)

荒川区議会も今期より『若者支援・健全育成調査特別委員会』を設け、若者支援の充実を図るための体制が整備されました。設置の目的と趣旨に沿った委員会運営がなされるよう、期待したいと思います。

 

 

(若者相談『わっか』について)

また、昨年12月5日に若者の社会的自立を後押しするワンストップ相談事業『わっか』が開始されましたが、以降の質問はこの『わっか』についてお聞きをしたいと思います。誰に話して良いか分からない悩みを打ち明ける窓口として設置されたもので、対象年齢は区内在住の15歳から39歳の方となっています。

 

折からの不況に加え、社会状況や価値観も多様化した中において、新たな悩みやストレスが生じ、それによって学校生活や社会生活が困難な状況に陥る若者が増えています。追い打ちをかけるように、ここ数年のコロナ禍での特殊な環境下に置かれることで閉塞感や孤独感が増し、より深刻な状況へと追い込まれる方もいます。

 

今年3月に昨年の自殺者数が厚生労働省から発表されておりますが、その中で高校生以下の数は514人とあり、統計開始以来最悪の数値となりました。取り返しのつかない事態となる前に、行政もまた迅速かつ効果的な対応策を講じなければなりません。

 

その一環として、また解決策を図るためのきっかけとしての窓口として設置されたのがこの『わっか』であるかと思います。事業開始以来数ヶ月が過ぎましたが、改めてこの段階でのこれまでの取り組みについてお聞きしたいと思います。

 

 

(『わっか』の相談内容について)

まず1点目は、その相談内容についてどのような内容のものが多かったのか、全体的な傾向とあわせてお伺いします。また、相談件数や年齢層などで何か特徴的な傾向が見られるのかもお聞きしたいと思います。

 

 

(『わっか』の成果について)

2点目としましては、これまでの成果についてであります。様々な相談があったかと思いますが、どの程度解決やそのきっかけとなり得たのか都度検証がなされているかと思いますが、現段階での相談支援事業としての評価についてお聞きし、それらを踏まえた今後の改善策やさらに充実すべき点がありましたら教えていただきたいと思います。

 

 

(『わっか』の周知について)

個人的には、工夫するべき点として事業の周知方法があるかと思います。必要な人に事業の存在と情報が行き届くのはもちろんですが、ともすれば硬いイメージのある行政の取り組みについてアプローチしやすくなるような見せ方の工夫も必要かと思います。様々な媒体を活用して情報発信を行うのと同時に、利用しやすいようなイメージ戦略や表現方法もぜひ図っていただきますよう宜しくお願いします。

 

 

(若年層への支援について)

次に、若年層への新しい支援施策についてお聞きします。

 

コロナ禍でこの数年間を過ごした若い方たち、特に学生時代を経た方たちは、学業やスポーツ、修学旅行や体育祭、文化祭などの学校行事、さらには地域のイベントなど、様々な活動が著しく制限され、本来なら友人や仲間たちと楽しく過ごし、思い出を作ったり、人間形成を図るための貴重な経験や過程を経ることが叶いませんでした。また、教育の格差も広がるなど、その対策としてこれまで以上に若年層に焦点を当てた支援が必要となってくるのではないでしょうか。学業支援、学校で体験できなかったイベント、また人間形成に必要な様々な経験を得るための地域活動・行事など、区として今後取り組むべき具体策を考えて、実施していただきたいと思います。

 

 

(若者議会の設置について)

私はそれらの一環として、この質問項目の最後に提案したいことがあります。今年の予算委員会内でも述べたのですが、昨今全国の様々な自治体で住民参加型の会議体、特に若年層を中心とした会議体が設置されています。通称若者会議または若者議会などと呼ばれていますが、市長の諮問を受けて新たな政策を提言する、条例にも定められた正式な組織となります。概ね30歳以下の若者で構成されており、自分たちにとって地域に何が必要なのか議論の中で方向性を示し、そこで出された結論を行政へと提言するものであります。中でも特徴的なのは愛知県の新城市の若者議会で、年間一千万円までの予算の提案権も与えられています。

 

そもそもは若者の流出を食い止め、地域に定住してもらうことを目的とした地方自治体の施策でありますが、同時に会議内での議論を通じてのコミュニケーション能力や人間関係、地域の課題解決のための意識の醸成など、様々な経験を得ることも出来る取り組みだと思います。また、若い人たちにとってより魅力的な街となるようなイベントの開催、施設や店舗の設置など、荒川区においても実施することで地域振興策へとつながります。このような若年層にスポットを当てた住民参加型の会議体の設置をぜひ実現して欲しいと思いますが、考えをお聞かせください。」

 

 

 

子ども家庭部長 答弁

 

 

「若年層支援の現状と今後の方向性に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(荒川区若者相談『わっか』について)

区では様々な悩みや課題を抱える若者を早期に支援につなぐため、令和4年12月に荒川区若者相談『わっか』を開設いたしました。『わっか』では令和4年度に25件、令和5年度は8月末日現在で146件の相談を受け付けており、年齢については10代・20代からの相談が全体の約7割を占めております。

 

 

(相談内容について)

相談内容は、若者本人からの漠然とした不安や家族や仕事の悩み、保護者からのお子様の進路についてのご心配など、様々な相談が寄せられております。このような相談に対し、『わっか』では適切な支援機関を紹介するなど、1人ひとりの相談に丁寧に対応してまいりました。

 

 

(LINEを用いた相談について)

また、令和5年4月からLINEを活用した相談も開始し、LINEによる相談が全体の約4割以上を占めるなど、若者が相談しやすい環境の整備を進めているところです。

 

 

(『わっか』の成果について)

容易には解決しない相談も多い中、仕事が辛く退職した若者が『わっか』に相談したことで再就職につながったケースもあり、『わっか』と関係各所との連携によって若者が将来に向け一歩を踏み出すなど、『わっか』が若者の相談窓口としての役割を果たしているとの認識をしております。

 

 

(『わっか』の周知について)

今後はより多くの若者に『わっか』の存在が届くことが重要と考えており、ホームページやSNSのさらなる活用や、若者が多く集まる民間商業施設にもPRカード等の設置を進めていく予定です。

 

 

区といたしましては、民間団体や関係各部署と連携し、若者がより気軽に相談できる環境の充実を図り、若者の社会的自立を後押ししてまいります。」

 

 

 

総務企画部長 答弁

 

 

「若者層の社会参加に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(若い世代が地域と関わる機会の提供について)

若者の範囲の捉え方は様々な面がございますが、一般的に10代から20代等の若い世代が地域活動等に参加することは、地域の多くの大人や子どもと関わり社会との接点を持つことにより自身の成長につながると共に、他世代との交流を通じて地域力の向上や街の魅力を高めていく可能性を秘めているものと認識しております。

 

区におきましては、これまで若い世代が地域等と関わるきっかけづくりの一環として、『中高生リーダー養成講座』や模擬選挙体験(模擬投票)、区内の高校生によるモノづくり指導教室等の各種事業のほか、『二十歳(はたち)の集い』におけるイベントの実施企画や、ふれあい館・子どもの居場所等におけるボランティア、『荒川コミュニティカレッジ』等への参加等、様々な機会を提供して参りました。

 

 

(子ども・子育て支援計画について)

また、子ども・若者計画を包含する『子ども・子育て支援計画』の次期策定にあたりまして、当事者として若者の意見を聴取し、反映する予定としております。

 

 

(若者議会について)

ご質問にございました、他自治体における若者議会の取り組みにつきましては、若者層の社会参加の機会やまちづくりへの参画が期待できる一方、対象者が限定的で毎年所定の参加者の確保に苦労している旨の課題もあると伺ってるところでございます。

 

 

(若い世代の区政への関心について)

毎年度の荒川区政世論調査の結果では、若い世代ほど区政への関心が低くなる傾向を示しており、次代を担うより多くの若い世代にいかに地域等に関心を持ってもらい、その持てる力を余すところなく発揮できる環境を確保していくかが、今後の区政の大きな課題の1つであると認識してございます。

 

区といたしましては、これまでの取り組みの充実を図ることに加え、まずは若い世代に区政や地域をより身近なものに感じてもらえるよう情報発信の面で工夫を重ねるとともに、気軽に参加できる事業やイベントのあり方について区政の各分野で工夫を凝らしながら取り組んでまいります。」