令和5年度荒川区議会定例会・9月会議(令和5年10月11日)において、令和4年度荒川区一般会計歳入歳出決算について討論が行われました。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

1:19:40~ 山口幸一郎議員 討論「令和4年度荒川区一般会計歳入歳出決算について」

 

 

 

山口幸一郎(やまぐちこういちろう)議員 討論「令和4年度荒川区一般会計歳入歳出決算について」

 

 

山口幸一郎(やまぐちこういちろう)議員(公明党)

(公明党区議団政務調査会会長)

 

 

「私は公明党荒川区議会議員団を代表しまして、認定第1号令和4年度荒川区一般会計歳入歳出決算につきまして賛成の立場で討論を行います。

 

 

(コロナ禍と物価高騰への対応について)

西川区長の5期目の2年目となる令和4年度予算は、最も身近な基礎自治体として区民の健康と暮らしを支えていくことに全力を尽くし、輝く笑顔を再び取り戻していくとの区長の強い決意を込めて編成され、執行されてきたものであります。

 

令和4年度を振り返れば、長期化するコロナ禍や、物価高騰による家計圧迫などにより、区民は大変不安な日々を過ごされていました。私たち公明党はその声を捉え、昨年度4度にわたり緊急要望書を西川区長へ提出し、区もこうした厳しい状況を踏まえ6度にもわたる補正予算を編成し、子育て世帯に対する給付金やキャッシュレスポイント還元事業、区内事業者への緊急対策を迅速かつ機動的に講じていただきました。また、私たち公明党区議団が要望していました高校生の医療費無償化や医療的ケア児への支援など、区民の命と健康を守る取り組みを進めていただいたと認識しております。

 

 

(持続可能な財政運営について(1))

令和4年度決算を総括しますと、財政運営の健全性の目安として普通会計における主な財政指標を見ると、経常収支比率は81.3%と前年度より2.2ポイント改善しています。さらに、財政健全化法に基づく健全化判断比率は良好な水準を維持しており、極めて健全な財政運営がなされているものと認識しております。一方で、区の主要な歳入でもある財政調整交付金や特別区税は堅調に推移しているものの、これらは景気変動の影響を受けやすく、景気後退の際には直ちに厳しい財政状況に陥る可能性があります。

 

また歳出面においては、円安やウクライナ情勢などによる物価高騰への対応、少子高齢化に伴う社会保障費の増大、公共施設の更新、首都直下型地震への備えなど、多額の財政負担を伴う行政需要が見込まれています。したがって、今後の区政運営にあたっては、私たち公明党が一貫して申し上げている徹底的な行政改革を推進するとともに、国や都の事業を積極的に活用し区の歳出削減を図るなど、計画的な財政運営によってさらなる財政基盤の強化を進めていく必要があると考えます。

 

 

私たち会派は、本決算の審査にあたり予算がどのように執行されてされたのかを区民目線で確認するとともに、以下大きく4つの視点に沿って質問・要望しました。

 

 

(持続可能な財政運営について(2))

まず1点目には、持続可能な財政運営という視点です。財政運営の自立性・安定性を測る指標である自主財源比率は前年度より3.5ポイント上昇し、数値は順調に改善していますが、他区との比較では依然として低い状況にもあり、財政調整交付金だけに依存しない自主財源比率の向上に向けた取り組みとともに、財政規律に基づいた適正な財政運営を引き続きお願いいたします。

 

 

(防災対策とまちづくりについて)

次に2点目には、1人の犠牲者も出さない防災対策と、安心・安全なまちづくりという視点です。

 

関東大震災から100年という節目を迎え、大規模災害への備えについて区の認識を改めて確認させていただきました。地域防災力を高めるためには、イベント時の防災ブースの設置など、防災意識を高める対策が重要です。また、火災延焼を最小限に抑えるため、地域消火器の適正配置をお願いします。さらには、住宅セットバック後の速やかな電柱の移設や、水害対策としての止水板設置助成についても重ねて要望します。

 

安心・安全なまちづくりとしては、特に多い自転車事故対策として、イメージハンプの設置を初め、分かりづらいとの声が多い歩車分離式信号等の交通ルールの周知を要望します。さらには、多くの区民が要望する駅改札口の増設については、利便性の向上はもとより、複数の非常口を設けることでテロ対策に備えるという意味でも、今後とも区として鉄道会社に強く申し入れることを重ねて要望いたします。

 

 

(活力あるコミュニティの形成について)

3点目には、活力あるコミュニティの形成と、誰も置き去りにしない社会を作るという視点です。

 

若者が参加しやすい環境を整備し、活力あるコミュニティを形成することは、区の重要な役割であると考えます。デジタル回覧板など、町会のデジタル化による若年層へのアプローチや、町会対抗駅伝大会などのスポーツイベントを通じた地域コミュニティの活性化を図ることを提案しました。

 

また、公衆浴場は貴重な地域コミュニティの拠点となっています。『(荒川区)親子ふれあい入浴事業』の対象を中学生まで拡大することで、世代間交流が広がります。また、高齢者が公衆浴場を利用することは、外出機会を増やし、他者との交流によりフレイル予防にもつながります。そのためにも、『ふろわり200』(高齢者入浴カード)の対象年齢の引き下げや、公衆浴場利用促進を第9期高齢者プランに盛り込むことを提案しました。

 

 

(住まいの確保について)

さらには、人が生活するために当然必要なのが住まいの確保です。質疑では私たち公明党の提案に対し、居住確保要配慮者(住宅確保要配慮者)への居住支援協議会を設置する旨の答弁をいただきました。是非とも1日でも早い実現をお願いいたします。

 

 

(子どもの教育と福祉について)

4点目には、未来社会の守護者たる子どもたちへの教育と福祉という視点です。

 

私たち会派の要望によりヤングケアラー実態調査を行っていただいたことや、不登校対策としてスクールソーシャルワーカー増員などの教育センターの機能強化についても高く評価いたします。教育センターについては、今後もさらに期待が高まる一方で、施設スペースや老朽備品の課題を解決するためには、現在の予算規模を拡大することについて申し述べました。さらには、学校現場において教員が児童・生徒と向き合える時間を増やすために、印刷機更新による業務効率化を提案しました。現場の声を元に、先生が働きやすい環境整備をお願いいたします。

 

 

(荒川区子どもの権利条例について)

今年度より荒川区では『荒川区子ども(の)権利条例』が施行されました。今回の決算委員会でも、多くの会派から子どもの最善の利益に基づいた真剣な質疑があったかと思います。一方で、いくつかの質疑の中には、自らの主義・主張のために、例えばそれは子どもに意見を聞いたのか、聞いていないのであれば全てダメだと捉えられるような発言もありました。子どもの権利を主張させることは、本条例第9条にも定められた重要な事項です。しかしながら、それを桐紋にして権利が大好きな大人たちの活動につなげようとするのは誤りではないでしょうか。子どもに関わる取り組みを政争の具にしてはなりません。今一度、本条例第1条に記されている『子どもの夢や希望をはぐくみ、笑顔に満ちあふれた荒川区の実現を目指し、荒川区全体で子どもの健やかな成長を支えていく』との目的に立ち返るべきと一言付言させていただきます。

 

 

(一部マスコミについて)

最後になりますが、質疑でも私たち会派から申し述べましたが、一部マスコミによる事実とは異なる報道は、区民の不安を煽り、区の威信にも関わる重大なことであるため、今後も誤報道に対しては厳正なる異議申立てを行うことを強く求めます。

 

 

このほかにも、私たち会派からの意見・要望については基本的に前向きな答弁がなされたと理解しており、令和4年度決算については区民の健康と暮らしを支えるため、コロナ対策や物価高騰対策を着実に実施するとともに、地域の活性化に向けた事業についても執行されたものと認識しております。

 

 

(令和6年度予算について)

今後編成される令和6年度予算につきましても、9月11日に西川区長に提出しました令和6年度予算に関する要望書の内容を踏まえ、誰もが幸せを実感できるまち荒川の実現のため、区民サービスの一層の向上に取り組まれることを要望いたしまして、本決算の認定に賛成の討論といたします。」