令和5年6月28日に、令和5年度荒川区議会定例会6月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った山本剛(やまもとごう)議員の質問「大雨時の荒川区の対応について」と、それに対する土木担当部長、区民生活部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

3:00~ 一般質問「大雨時の荒川区の対応について」

15:35~ 土木担当部長答弁

20:40~ 区民生活部長答弁

 

 

 

山本剛(やまもとごう)議員 一般質問(2)「大雨時の荒川区の対応について」

 

 

山本剛(やまもとごう)議員(ゆいの会)

 

 

「(前略)

 

次は防災について、大雨における避難の問題でございます。

 

 

(6月3日の自主避難所開設の区民への周知状況について)

6月2日から3日にかけての大雨における避難所開設の手順や、今後同様な事態における住民周知について区の方針をお尋ねいたします。

 

6月3日午前0時41分に土砂災害の大雨警報が出て、区議会議員には1時14分に諏訪台ひろば館の自主避難所の開設がメールで知らされました。この際の住民への周知状況をお尋ねいたします。就寝される方が多く、一刻も早い周知が必要でした。結果的に今回の西日暮里の方の避難者数はゼロでございましたが、自主避難所が開いていることを知らずに就寝されていた方がいらっしゃった可能性がございます。 

 

 

(災害時のSNSによる情報発信について)

もう一つ、北区王子付近で隅田川に合流する石神井川の溝田橋が氾濫危険水位に近づき、6月3日午前2時30分に尾久(第)六小学校が自主避難所として開設されました。実際に測りましたところ、ここの2地点は自転車で5分ほどの距離にございます。対岸の出来事とは思えない距離感でございます。

 

この際、次のような住民のお声がございました。北区のLINEは避難所開設が流れてきた一方、荒川区のLINEでは情報が流れず、尾久(第)六小学校が避難所だったことを朝起きて初めて知ったそうでございます。このようなことを防ぐため、携帯電話への警戒アラートが区のLINEやTwitter、Facebookに紐付いて同時に配信される仕組みはできますか。住民が主体的にSNSで情報を取ろうとしても、避難所の情報が無いのです。このようなことを防ぐため、SNSは大規模災害時でも情報ツールとして優れておりますので、荒川区の情報アプリ、これも便利でございますが、加えて普段住民の皆様がお使いになられている、そういうツールでの情報展開を大切だと思いますのでお願いいたします。

 

 

(防災体制の早めの整備について)

線状降水帯は分析の途上でございますが、ほかの災害と比べ予想と対策が立てやすいのが風水害でございます。基本的に日中のうちに自主避難所を開設しましょう。6月2日から3日にかけての大雨は、午後5時頃そして深夜にピークがございました。区は6月2日の午後4時に水防本部を設置しています。日没前の自主避難所開設は不可能ではないと考えます。あわせてSNSで午後の早い時間から自主避難所の周知も可能でした。今後、短時間の大雨・台風が増えるのを考えると、何日も前からの防災体制が大切でございます。

 

 

(防災無線等による土砂災害に関する情報の周知について)

また、区内の土砂災害の警戒区域は道灌山の一部のエリアでございますので、地域を絞っての防災無線または音の出る宣伝カーを用いましての事前のですね周知。周辺への迷惑も多少ございますけれども、音で直接届けるべきでございます。やらない批判を受けるよりは、やり過ぎの批判、この方が良いのではないでしょうか。区の見解をお尋ねいたします。

 

 

(洪水時の避難スペースについて)

次に、海抜の低い足立区、墨田区、葛飾区、江東区、江戸川区、この高等5区では警戒レベル5にあたる緊急安全確保の際、首都高速道路の出入り口のランプと呼ばれる坂の部分に徒歩で進入し、高いところへ避難した後、バスで高速道路を来たバスに乗って広域避難をそのまま出来るような取り決めを都や事業者と結んでいます。

 

荒川区では、荒川・隅田川があふれるような緊急安全確保における避難スペースを想定していらっしゃいますか。区立の小中学校に加え、例えば汐入や石浜の近くの東京都立産業技術高専など、都や民間の施設もあるかと思います。現時点で協定を結んでいる施設があればお聞かせください。

 

 

(雨水桝の清掃について)

大雨の最中でも、職員が安全に留意をされつつ、道路冠水の解消のため雨水桝の清掃をすることが必要と考えますが、区の実施状況をお聞かせください。

 

 

厳しい気候変動にありましても区の万全の防災体制を期待しております。(後略)」

 

 

 

土木担当部長 答弁

 

 

「(前略)

 

次に、大雨時における道路冠水解消のための雨水枡の清掃に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(下水道局による道路冠水対策について)

区内におきましては、過去大雨の際には各所で道路冠水が発生し、宅地内まで浸水する被害が出ておりました。しかしその後、下水道局が集中的に下水道の幹線やポンプ所等を整備したことに加え、区内全域の下水道を面的に再構築する取り組みを進めてきたことにより、時間50mmの降雨に対応できる状況となっており、現在ではこうした道路冠水の発生箇所は大幅に減少しております。

 

 

(大雨時の区の対応について)

区では気象庁や都からの情報を踏まえ、大雨洪水警報が発令される前から水防の体制を整え、雨の状況を確認しながら道路のパトロールや土嚢の配布などを行っております。またパトロールの際、水はけの悪い場所を発見した場合には、雨水枡の取水溝にたまった落ち葉やゴミの除却を行っております。大雨洪水警報が発令された場合には、水防本部を立ち上げ、水防活動を継続しており、落ち葉やごみの除却等につきましても同様に継続して実施しております。

 

 

(平時における道路冠水対策について)

また平時には、道路冠水の発生を未然に防ぐため、路面清掃車による側溝の清掃や、雨水枡の内部に蓄積した泥を取り除く作業を定期的に行っているほか、雨水桝や側溝の上に植木鉢や車の乗り入れ用のステップ等、水の流れを阻害する物を置かないよう、区報やホームページ等を通じ区民の皆様への呼びかけも続けております。

 

 

区といたしましては、引き続きこれらの対策を行うとともに、下水道局とも連携しながら大雨に対応してまいります。(後略)」

 

 

 

区民生活部長 答弁

 

 

(風水害・土砂災害対応の手順について)

まず初めに、水害における避難場所開設の住民への周知と開設手順に関するご質問にお答えいたします。

 

区では荒川区風水害対応方針に基づき、大型台風の接近等により気象庁等から河川氾濫や暴風による大規模な被害発生の可能性が言及されている場合や、気象庁等が発表する気象情報や降雨予想等に基づき必要と認められる場合は、自宅で過ごすことが不安な区民が早い段階で自主的に避難できるよう、区内の小中学校やふれあい館など56か所を自主避難場所として開設することとしております。

 

また、荒川が氾濫する危険性が高まり避難情報を発令した場合は、発令と同時に全ての自主避難場所を緊急避難場所に切り替え、区民に対して垂直避難を促すとともに、堅牢な建物の3階以上に居住する区民に対しては自宅に留まるよう呼びかけており、区内全校に荒川区防災地図水害版を配布するなど、周知に努めております。

 

さらに土砂災害への対応として、土砂災害警戒区域内の全世帯へ荒川区土砂災害ハザードマップを配布しているほか、区域内の避難所開設運営訓練などにおいて、土砂災害時の避難方法等に関する周知を行うなど、日頃から普及啓発に取り組んでいるところでございます。

 

 

(台風2号の接近に伴う土砂災害への対応について)

ご質問の令和5年6月3日未明の台風2号の接近に伴う土砂災害への対応につきましては、『大雨警報(土砂災害)』が発表されたことから諏訪台ひろば館を自主避難場所として開設し、また浸水害への対応につきましては、今回荒川の水位は危険水位に達することはありませんでしたが、石神井川の溝田橋水位観測所における水位が氾濫危険水位に近づいたことから、周辺区の状況等を勘案し、早い段階で尾久第六小学校を自主避難場所として開設いたしました。

 

この自主避難場所の開設につきましては、今回の台風の進路や雨量を踏まえますと、風水害対応方針に基づき自宅で過ごすことが不安な区民が早い段階で自主的に避難できるように対応すべきか、判断のタイミングが大変難しい状況にございました。また、避難場所開設等の情報発信につきましては、土砂災害や浸水害の対象地域が限定的であることから、区ホームページと防災アプリにより周知を図った結果がございます。

 

しかしながら、災害情報は緊急性の高い非常に重要な情報であることから、今後はSNSなどを含めた様々な広報媒体を活用し周知することを徹底してまいります。

 

 

(今後の水害対応について)

区といたしましては、大雨など水害の発生が予想される場合には、今回の経験も踏まえ、気象情報や対象河川の水位等の情報を的確に収集し、円滑な避難場所の開設運営に努めるとともに、区民が適切に避難対応できるよう、区ホームページや防災アプリのほかSNSや青色パトロールカーによる周知など、各種広報媒体を通じて迅速に広く情報を発信するよう努めてまいります。

 

 

(水害時の避難スペースについて)

次に、水害の緊急安全確保時における避難スペースに関するご質問にお答えいたします。

 

区では水害時における避難スペースの確保のため、マンションなどの民間施設を『災害時地域貢献建築物』として認定し、必要な備蓄物資等の助成を実施するとともに、都立産業技術高等専門学校や東京都立大学荒川キャンパス、日暮里舎人ライナー駅舎などの都立施設においても、緊急時の避難スペースとして利用できるよう協定を締結しているところでございます。

 

区といたしましては、引き続き都立施設を初め、民間施設や公共施設などへ働きかけ、大規模水害時の避難スペースの更なる充実に努めてまいります。」