令和5年6月26日に、令和5年度荒川区議会定例会6月会議の一般質問が行われました。

 

2番目に一般質問を行った森本達夫(もりもとたつお)議員の質問「子育て・教育支援について」と、それに対する子ども家庭部長と教育長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

森本達夫(もりもとたつお)議員 一般質問(2)「子育て・教育支援について」

 

 

森本達夫(もりもとたつお)議員(公明党)

(議会運営委員会副委員長、公明党区議団幹事長)

 

「(前略)

 

2つ目の項目として、子育て・教育支援について2点お聞きします。

 

 

1点目は、新放課後子ども総合プランの着実な実施と、朝の子どもの居場所整備についてです。

 

 

(小1の壁問題について)

共働きの家庭などが直面する小1の壁問題について、全ての子どもが安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことが出来るよう、環境整備が急がれます。そうした中、示されたのが新放課後子ども総合プランです。現在、放課後の居場所については荒川区はかなり進んでいるとはいえ、まだ総合プランにそえていない学校もあり、整備が急がれます。

 

そして、更に大きな課題が小1の壁です。特に、朝の子どもの居場所が喫緊の課題です。保育所では朝7時から子どもを預かっておりました。しかし、小学校に上がると7時台に子どもの居場所がありません。

 

荒川区の保護者から切実な声が私たちのもとに来ております。例えば、以前あるご家庭では両親が早く仕事に出なくてはならず、お子さんも一緒に家を出て学校に向かい、開門時間前に学校に来ていて、門が開くのを待っていたこともあったと聞いております。そうしたこともあり、多くの共働きの保護者から朝預かりの場所を作れないかという要望が届いております。

 

 

(神奈川県大磯町の事例について)

神奈川県大磯町では、朝の子どもの居場所づくり事業として、学校の開門時間前、安心して過ごせる朝の子どもの居場所を6年前から作っています。午前7時15分から登校開始時間までそこにいることが出来ます。保護者からは、仕事の出勤が早く、子どもが自宅で1人にならずに済むので安心といった声が寄せられているそうです。

 

 

(新放課後子ども総合プランの着実な実施について)

今後も共働き世帯が増えることが想定されております。小1の壁を打破し、全ての児童が朝そして放課後等を安全に過ごし、保護者が安心して子育て出来るようにすることが求められています。荒川区としても、朝の子どもの居場所の環境整備を含めた、新放課後子ども総合プランの着実な実施を要望いたします。区の見解を伺います。

 

 

2点目として、学校設備の改善についてです。

 

 

(学校設備の現状について)

改めて言うまでもなく、学校施設は児童・生徒が1日の大半を過ごす学習や生活の場であり、地域の文化、スポーツ振興やコミュニティの拠点であるとともに、災害時には住民の避難所に指定されるなど、地域の防災拠点としての役割も担っております。しかし、荒川区の学校施設の現状はその大半が建築後50年以上経過しており、多様な学習活動等への対応、耐震化、老朽化対策、バリアフリー化、環境への配慮など、様々な課題を抱えております。学校の環境が子どもたちの心身に与える影響は、非常に大きいものです。

 

 

(校庭について)

先日、小学校の運動会に参加させていただいた時に、校庭が所々波打っているのを見かけました。その上を全力でかけていく子どもたちを応援しながら、転ばないようにと心配せずにはいられませんでした。

 

また、校庭と言えば、先日他区の学校において校庭に埋まっていた釘で子どもがケガをしたという報告を聞いて、大変驚きました。荒川区としても最大の注意をお願いいたします。

 

 

(夜間照明設備について)

また夜間照明設備は大変重要だと考えております。荒川区内で設置されている学校は、小学校5校、中学校4校のみとなっております。大多数の学校には夜間照明設備はありません。夜間照明は授業には直接関係することは少ないと思いますが、部活動には大いに役立ちます。また、各種スポーツ団体等が利用する際にも、照明は大変助かります。また、学校が地域の避難所として使われる時には、照明設備が大変重要になります。

 

 

(学校設備の改善について)

子どもたちの健康を保持・増進し、学習能力の向上を図るためにも、また安全・安心な学校を目指すためにも、危機管理の視点も踏まえ、学校設備の改善に努めなければならないと思います。今後、学校の建て替え等が行われていくことになると思いますが、今後の計画の中で先程申し上げた課題、例えば校庭の整備、夜間照明の設備、エレベーターなどバリアフリー化、調理室も含めた空調設備、更には電源設備等々の充実について是非全面的に改善していただきたいと要望いたします。また、建て替えが当面ないであろう学校にあっては、照明設備など最善の対応をお願いいたします。区の見解を伺います。(後略)」

 

 

 

子ども家庭部長 答弁

 

「新放課後子ども総合プランおよび朝の子どもの居場所づくりに関するご質問にお答えいたします。

 

 

(小1の壁について)

共働き家庭等が直面する小1の壁を解消し、次代を担う人材の育成を図るために国が打ち出した新放課後子ども総合プランにのっとり、区では平成27年度から学童クラブとニコニコスクールの一体的な運営を進めてまいりました。区といたしましては、社会全体で子育てと仕事の両立に関する理解を深めていくことが抜本的な解決につながるものと考えており ますが、就学前施設から小学校へと大きく環境が変わる中、とりわけ児童と保護者が安心して安全に過ごす場所の確保が重要であると認識しております。

 

 

(神奈川県大磯町の事例について)

また、神奈川県大磯町の朝の子どもの居場所づくり事業については、町内全2校の学童クラブにおいて地域の皆様にご協力いただき、保護者の就労の有無に関わらず学校の始業前に居場所を提供している事業であると承知しております。それぞれの自治体が持っている事情が異なるため同様の事業を区で実施することは難しいと考えておりますが、今後他の自治体での朝の時間の過ごし方や学童クラブの開設時間の工夫などを参考にしながら、様々な角度から小1の壁の解消について調査・研究を進めてまいります。

 

 

区といたしましては、議会のご意見を初め、保護者のニーズ等を伺いながら、教育委員会や各学校とも調整するとともに、子育て中の方々に対する勤務時間の配慮などについての事業者の理解促進も含め、新放課後こども総合プランの推進に努めてまいります。」

 

 

 

教育長 答弁

 

「学校設備の改善に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(校舎の改修と建て替えについて)

教育委員会におきましては、これまでも児童・生徒の安全・安心と良好な教育環境を確保するため、学校施設の適切な維持管理に努めてまいりました。学校施設につきましては、令和5年現在、半数以上の学校が竣工後50年を経過するなど、施設の老朽化が進行していることから、令和2年7月に教育施設長寿命化計画を策定し、効果的な大規模改修の実施と計画的な建て替えに向けた方針を示し、現在校舎の更新について詳細な検討を進めているところでございます。今後の学校施設の改善にあたりましては、小中学校の設置基準や建築基準法、バリアフリー法などの関係法令に適合させ、適切に整備することが重要であり、建て替え時の時期を好機と捉え、必要な設備・機器の更新に努めてまいります。

 

 

(建て替え時期が後半になる学校について)

また、ご質問にありますように、建て替え時期が後半になる学校につきましては、既存設備の改修等にかかる費用対効果を検証の上、建て替えスケジュールを睨みながら、必要に応じて計画的な改善を図ってまいります。

 

 

教育委員会といたしましては、ご提案の趣旨を踏まえ、既に学校施設の長寿命化や建て替えを開始している先行自治体の事例を参考とするとともに、区議会の皆様や地域の皆様のご意見をいただきながら、児童・生徒にとって安全・安心で快適な学校施設の改善に努めてまいる所存でございます。」