シフトを減らされたパートさんへ | あらかんスクラップブック

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60代の哀歓こもごも

 

緊急事態宣言が出て、飲食店などは、シフトを減らされるパートやアルバイトの人がいっぱいいる。 時短で苦しんでいる経営者のインタビューはTVでよく報道させるが、そこで働いている労働者の声はほとんど伝わらない。

コロナ禍はもう1年近くも続いている。

コロナのせいで、一日8時間働いていた人が5時間になり、さらに2時間しか働けなくなれば、他の仕事を見つけて収入減収分をカバーするか、

あとは貯金を切り崩すか、貯金がなくなれば食費などを切り詰めるか…。

 

労働相談をやっている人からメールがきた。

「圧倒的に休業手当とか休業支援金をもらっていない、そんなのがあることも知らない人が多い」。 そうだと思った。

野村総研が去年の12月に調査をしている。

コロナによりシフト減少中のパート・アルバイト女性の6割近くが 「短時間休業でも休業手当を受け取れること」を知らないと回答 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)ース | 野村総合研究所(NRI)

 

世帯年収別では200万円未満の人の80%近くが休業手当や支援金を受け取っていない。貧しい人ほど休業手当はとどいていない実態がある。

 

 

結論から言えば、国の制度では、「働く時間を減らされたパートは、その減った分だけ全額が補償される」はずなのだ。 

順を追って説明すると、

休業手当(労基法)

会社都合で1日でも従業員を休ませる場合は、会社に休業手当を支払う義務がある(1日上限1万5千円、月に33万円)。 これはパートでもすべての労働者に適用される。

本来この休業手当制度だけで、収入が大幅に減ることはないはずだ。

でも、この休業手当は、国(雇用保険や雇用調整助成金)から下りる前に会社が立て替えしなければならない。 会社に余裕がない場合、立て替えて休業手当を出せない。

 

休業支援金

会社から休業手当をもらえない労働者が、個人として国から直接休業支援金を受け取ることができる新しい仕組みができた。

休業前の賃金の80%、上限は月に33万円。

コロナ対策として予算5400億円で制度はできたが、その1割しか利用されていない。

これは、個人が申請するときに会社に「休業手当を従業員に支払っていない」ことを証明してもらわなけばならないことがネックになっている。

本来、払うべき休業手当を払っていないことを、行政に知られたくないから、申請書に証明してくれない。 

休業手当を払えないことが、経営悪化にあるなら、そのことを告白しても罰則はない。 従業員を救うことを第一に考えるのも経営者の役割。

 

野村総研は、調査の結果を受けて「(国は)専門の相談窓口を設けて、制度の周知に努力すべきだ」という。

都道府県の窓口はハードルが高いし、つながらないことも多い。

国の専門窓口は絶対必要だと思う。また、TVでマスクや外出制限などは、さかんに政府広報として流される。 「コロナで仕事が減った方へ」という広報も追加すべき。

政府が積極的にPRし、ドイツのメルケル首相みたいに記者会見のたびに国民に向けてそのことを訴えれば、もっと周知されると思う。

しくみをつくっても、周知をきちんとやらないのは、ほんとうにやる気はあるのかが問われる。

 

さらに、このような見えない失業者、見えない休業者を把握するには、これまでの統計ではなく、新たに国が調査するプロジェクトを立ち上げてもいいのではないかと思う。

隠れ失業者。失業率は 2.9%。それは、ハローワークに失業認定を受けて求職活動している人の数字。雇用保険がない人の失業者のほうが何十倍も多い。 パートをクビになり家に居る人も「失業者」だが、統計にでてこない。

また、隠れ休業者。 休業者はコロナ前の去年1月に194万人。 4月に597万人でピークになったあと、11月に179万人と下がった。

ありえないだろう。 これは、統計上、1か月に1時間でも働けば休業者とみなされないからである。

労働統計によると、コロナで、週5日以上の常勤労働者は217万人減った代わりに、週4日以内の非常勤は152万人増えた。 この152万人は休業手当や休業支援金の対象者と考えられる。

コロナ対策として予算5400億円で休業支援金制度はできたが、まだその1割しか利用されていない。 利用されていないから、休業者はいないんだろうは、あまりにも実態とかけ離れている。

 

スガ首相は、会見で「あらゆる方策をつくして、国民のいのちと暮らしを守る」とメモを読み上げた。 

休業支援金5400億円。どんどん使ってやろうじゃないの。 会社に申し出て、 会社が渋ったら説得して、 説得に応じなれば、労働組合などに相談して、ちゃんと支援金を受け取ろう。

厚労省の休業支援金の窓口

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 (mhlw.go.jp) 

 

しんどいことだけど、案外うまくいくかも知れない。 また、だれが近くに仲間とか親切な友人とか、おせっかいな年金暮らしのジジババとか…、

だれかといっしょにやってみよう。

家賃が払えなくなったり、食べ物を食いつめたり、子どもたちにつらい思いをさせる前に休業支援金をもらおう。

もし、もう生活がきつかったら生活保護だよ。

踏ん張ろう。

今日、1月15日で、持続化給付金と家賃支援金が打ち切られる。

 

私は、生活保護を受け取ることに決まったシングルマザーと、スシローで乾杯したよ。 涙目で「おすしが食べたい!」と笑った若いママ。

3か月以上の闘いだった。 

私たちがコロナに打ち勝つということは、国や悪徳経営者と戦って勝つことかもしれないね。 

 

サイゼリアの社長が記者会見で、前の日、西村大臣が「ランチも控えましょう」と言ったことに対して「ふざけるナ」と苦笑い。

いいね。 今日はサイゼリアでランチをしようかな?

政治家は派遣会社とか、広告会社とか、グルメサイトとか…、そんな中間搾取ばかりと「会食」する。 

直接私たちにサービスを提供してくれている飲食業者とか中小宿泊業とか、そこで働く数多くのパートがどれだけ苦しんでいるかはわかっていない。 今年は、そんな労働者や経営者の逆襲が唯一の希望だ。

説明もろくにせずに、懲罰だけをちらるかせる現政権の支持率は下がり続けている。