がん保険などの医療保険に入っていても、内視鏡検査などのがん検診を受けていない人が多いです。
内科医である自分は、検診は重要だけど、がん保険は必要ないと考えています。
今回この件について考察したいと思います。
がん保険が必要ない理由
日本では公的な健康保険が充実しており、高額療養費制度のおかげで一定以上の医療費は払う必要がありません。
がんでどんなに高額な治療を受けたとしても、標準的な収入(月収28~50万円)の場合、月に約8~10万円までの自己負担で済みます。
自分はがん保険を含めて民間の医療保険には一切入っていません。
民間の医療保険に加入して多額の手数料を支払うぐらいなら、NISAやiDeCoで投資をして資産運用するのが合理的です。
食道がんで闘病中の経済評論家の山崎元さんも、がん保険が不要であることをYouTubeで語っています。
がん予防の12か条
がん保険に入る代わりに重要なのが、がんの予防や早期発見です。
がんの予防について、がん研究振興財団が科学的根拠にもとづいて以下の12か条を勧めています。
1.たばこは吸わない
2.他人のたばこの煙を避ける
3.お酒はほどほどに
4.バランスのとれた食生活を
5.塩辛い食品は控えめに
6.野菜や果物は不足にならないように
7.適度に運動
8.適切な体重維持
9.ウイルスや細菌の感染予防と治療
10.定期的ながん検診を
11.身体の異常に気がついたらすぐに受診
12.正しいがん情報でがんを知ることから
1~8条は生活習慣の注意で、一般的な健康上の注意ががん予防につながります。
9条のウイルスは子宮頸がんのパピローマウイルスと肝臓がんの肝炎ウイルスで、細菌は胃がんを起こすピロリ菌です。
これらのウイルスや細菌に対処することで、子宮頸がんや胃がんの予防や早期発見が可能です。
また10条の定期的ながん検診を受けることで、がんの早期発見だけでなく予防にもつながります。
子宮がん検診を受けることで、がんになる前の異形成(いけいせい)の段階で治療することで子宮頸がんの予防ができます。
大腸内視鏡を行ってポリープがあれば良性の段階で内視鏡による切除を行えば、大腸がんの予防につながります。
がん予防よりがん保険がよく知られている理由
ではがん保険に入っている人は多いのに、がん予防12か条を知っている人が少ないのでしょうか?
理由は明らかで、がん研究振興財団より保険会社の方がお金があるからです。
保険会社はテレビ局に多くの資金をつぎ込んでいるため、CMが頻繁に流れるだけでなく、テレビ局の番組でがん保険に不都合な内容が語られることはありません。
「日本人の2人に1人はがんになる」と不安を煽り、がん予防の方法があることは紹介されません。
テレビ局は自分の利益になることを放映しているのであって、必ずしも視聴者の利益になることが報じられているわけではないことに注意が必要です。
おわりに
がん保険とがん予防について自分が考えていることを紹介しました。
12か条に取り組めばがんをゼロにできるわけではありませんが、リスクを大きく下げることが可能です。
がん保険に入るよりも、検診をしっかり受けてもらいたいと思います。