止まらない「拡大自殺」の連鎖 東大前で刺傷、高2少年の素性 無断欠席も「衝撃」の真面目さ 識者「大阪放火事件の延長線にある」

1/17(月) 17:00配信

夕刊フジ



受験生らが刺された東大前=東京都文京区

東京都文京区の東大前の歩道で大学入学共通テスト受験生ら3人が刃物で襲われた事件で、殺人未遂容疑で逮捕された名古屋市の高2の少年(17)は多数の東大、京大合格者を出す名門私立進学校に在籍していた。少年は医師になるために東大を目指していたが成績が振るわなくなったといい、「人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」と供述、専門家は昨年から相次ぐ無差別事件と共通の構図を指摘する。

【写真でみる】少年の父親が発表したコメント

少年は事件前日の14日午後11時ごろに高速バスで名古屋市を出発し、15日午前6時ごろ東京駅に到着。電車を乗り継ぐなどして東京メトロ南北線東大前駅に着き、下見をしていたとみられる。

少年は逮捕時に「勉強がうまくいかず、事件を起こして死のうと思った。医者になるため東大を目指していたが、成績が1年前から振るわなくなり自信をなくした。医者になれないなら人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」と話し、その後黙秘した。

事件は15日午前8時半ごろ発生、千葉県の高校3年の男女と都内の男性(72)が包丁で背中を刺された。男性は重傷を負った。東大前駅構内では少なくとも8カ所で着火剤のような物が燃える不審火が確認された。少年は「電車内でもリュックサックに液体を染み込ませて火を付けようとしたが、うまくいかなかった」と供述。複数のペットボトルと瓶を用意、可燃性の液体計約3リットルが入っていた。包丁やのこぎりも所持していた。

少年が通う私立高は、全国屈指の進学実績を誇り、生徒の自主性を重んじる自由な校風で知られていた。教頭は少年について「極めて真面目で、問題を抱えているという話は聞いたことがない」と強調。事件前日に無断欠席したことさえも「衝撃だった」と話す。

小中学校時代から勉強家で、学年で上位の成績を残していたといい、中学時代の同級生は「いたって普通の子」と表現。「休み時間も単語の暗記などに充てていた。志望高校合格に向かって頑張っていた」と振り返る。

東京未来大の出口保行教授(犯罪心理学)は「小田急線や京王線、大阪市のクリニックで発生した事件の延長線にある連鎖犯とみることができる。自分の実力がつかない、社会的に評価されないという鬱憤が爆発し、自身が目指していた東大を舞台に受験生を道連れに襲うことで社会に一矢報いる『拡大自殺』のような心理が働いたのではないか」と指摘した。



https://news.yahoo.co.jp/articles/7931bb146f4fef70a6c7d9f2d69c952754e3ef6e





東大前刺傷 17歳容疑者の情報流す警察と高校に夜回り先生が怒り「高校のコメントは単なる自己弁護」

1/19(水) 17:30配信

まいどなニュース



「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏

 大学入学共通テストが行なわれた15日、都内の東大前の歩道上で、受験生の男女高校生と都内在住男性の計3人が刃物で背中を切り付けられて負傷した。容疑者として名古屋市に住む私立高校2年の少年(17)が殺人未遂容疑で現行犯逮捕されたが、「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は「東大前傷害事件報道に感じる違和感と危機感」と題し、少年法の原点を逸脱した報道の在り方に警鐘を鳴らした。

【写真】夜回り先生、茨城・介護施設殺人に衝撃

 ◇  ◇  ◇

 東京大学前で、大学入学共通テストの受験生2名と男性が刃物で切りつけられる事件が発生しました。命に別状がなかったことは救いです。

 この犯人は、報道では、名古屋市内の17歳の少年で、名古屋市内の高校2年生の男子生徒と報道されています。現在も、この少年について、犯行動機などが日々報道されています。また、この生徒の通う高校からは、いち早くコメントが報道機関に流されました。父親からも、弁護士を通じて、謝罪のコメントが各報道機関に流されました。

 私は、この事件に関する今までの報道を見て、大きな違和感と危機感を感じるとともに、一部怒りを抱いています。

 まずは、捜査関係者より、報道関係者に、この少年の供述が流されていることです。少年事件に関しては、裁判の公開が憲法により原則となっている成人の刑事事件と異なり、その審判は非公開と、少年法により決められています。この事件に関しては、もしかしたら家庭裁判所から地方裁判所に逆送となる可能性は排除できませんか、現在の状況では、審判の非公開を前提として、いかなる情報も報道機関に漏洩することは許される事ではありません。警視庁は、速やかに情報漏洩を行った捜査関係者を特定し処罰すべきです。

 これと、同様の理由で、この少年が在籍した高校がコメントを出したことも、少年法の規定に反する行為です。少年の特定につながり、少年法により守られている、少年やその家族のプライバシーを侵害する行為です。しかも、高校独自に、だれが判断したのかはわかりませんが、この事件の背景分析まで行っています。単なる想像に過ぎないのに。私は、このコメントを読みましたが、単なる高校による自己弁護としか思えませんでした。

 また、いつも繰り返されることですが、各報道機関から流れてくる情報は、さきほども述べた少年法の趣旨に反するものばかりです。いくつかのテレビでは、同級生や同じ学校に通う高校生への直接の取材を流していました。これは、許される事なのでしょうか。これ自体が、報道機関の取材によってこの少年を特定させるという違法行為なのではないでしょうか。また、その内容も、その生徒の日々の生活の様子や性格について質問し、それを答えてもらうものが多く、あくまで取材対象の高校生の個人的なまた主観的な発言を、何の裏取りもせずただ流しています。当然その内容についての責任は、発言した高校生たちに負わせて。こんなことが許されていいのでしょうか。

 どうぞ、情報漏洩した捜査関係者もこの生徒の在籍する高校の先生たちも、当然取材に当たる報道機関の関係者も、少年法第22条をきちんと読んでください。そして、自らが犯した違法行為について、きちんと償って欲しいと考えます。なにより、いち早くこの少年が特定される情報を報道機関に流した捜査関係者を私は許すことができません。

 確かに、少年であっても犯した罪は償わなくてはなりません。でも、少年は人格的に未熟な存在です。また、それまでの環境や社会状況に影響を受けやすい存在です。だからこそ、その更生と社会復帰の可能性を、少年法により守られています。この少年法の原点が、今回の事件に関して忘れられていると感じるのは、私だけでしょうか。そうだとしたら、私たちの社会は、危険で危機的なものです。



https://news.yahoo.co.jp/articles/5b7d94182d60d347c4b1bb06ac7ad4e8bc72b9cb