先日ブログに書いたロイヤルリムジンの件で、一部の従業員から、不当解雇として訴えがあるとの報道がありました。
日本では、労働者保護の観点から、会社都合による整理解雇については、厳しい制限を設けています。
解雇の4要件とは、
- 人員削減の必要性
どうしても解雇しなければならないほどの高度な必要性があるか。業績悪化による安易な解雇や便乗解雇は認められない。 - 解雇を回避する努力義務
解雇は最後の手段であり、その回避のための具体策としては、役員報酬のカット、新規採用の停止、昇給停止、時間外労働削減、一時帰休の実施、配転・出向、希望退職の募集などがある。 - 対象者選定基準の客観性と合理性
解雇対象人員の選定が、公正で公平でなければならない。 - 誠実な対応
労働者や労働組合の理解が得られるよう、誠実に説明・協議を行う必要がある。
とあります。
しかしながら、これらは通常時の場合であり、今回のような緊急事態のケースでは、
これらがすべて要件となるのかはどのような判断になるのかは、注視する必要があると思います。
今回の件では、失業給付の支給については、会社都合として問題なく速やかに行われている状況から、
整理解雇として問題ないとの判断になっているとみることもできそうです。
経営陣としては、会社都合による解雇が最善策との判断でしたが、
タクシー業界は比較的高齢の方々も働いており、また、勤務期間の短い方もいたようで、
失業給付の受給がほかの偏り不利になった方もいたようです。
また、再就職の難しさから、従業員として勤務を続けたいと考えた方もいたようです。
緊急時で迅速な判断が求められた中での決断だったのでしょうが、
すべての関係者が納得することは大変困難であることがわかります。
解雇は、経営陣にとっても、従業員にとっても非常に重く難しい問題です。
ロイヤルリムジンの件は、これからも続報が出てくると思われます。
私は、日本の企業、特に中小企業では、従業員の雇用を守るということは、
その家族の生活を守るということに直結しており、非常に重要であり、
経営の最重要課題だ、と思っています。
コロナ禍に便乗した安易な整理解雇などはもってのほかだと。
従業員は、経営者の姿勢をいつも見ています。困難な時こそ、
まずは従業員のために何ができるのかを考えてください。
その時の経営者の姿勢が、従業員の信頼関係をより強固なものにします。
経営者と従業員との信頼関係、共感というものが成り立つには、安定的な雇用が必要不可欠です。
その中で、創造的な発想や行動が生まれ、それが企業の発展につながっていきます。
コロナ禍という緊急事態の中で、改めて考えさせられました。
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