小泉選挙、政権交代(民主マニフェスト)選挙の2度、300議席という驚きの議席増があり、その後で揺りもどしがおき、その度衆参ネジレがつくられた理由は何か。
(1)投票率低下
政治に不信を感じ期待をもてない有権者の増大は、棄権という行動で投票率低下をもたらし、労組、業界などの利益団体と熱心な個人支持者に支えられた議員は手堅く当選した。
一方で小泉ブーム・政権交代ブームなどのふわふわした民意の判断によって、多くのチルドレンが粗製乱造されたのも投票率低下に一因がある。
この結果、質の低下(私含めてだが)もあり望むべき政治が実現不確実となった。
(2)小選挙区制のマジック
得票率は過半数50%をこさないが、議席数が80%をしめる(見た目圧勝、と私は呼ぶ)という極端な仕組み制度により、得票数より議席数こそ民意であるという勝手な大義名分がつくられた。
(3)おごりと思い込み
50%の得票率を得ていないのに、議席が圧倒的にあること(おごりとカン違いの中、自分の政策は支持されている、正しいと思い込み)から、有権者の声を聞かずに勝手な解釈で政権党内だけで物事を決めてしまう。
こうしたやり方への反発が、投票した50%の有権者にも生じ始める。
(4)直近の参院選で与野党逆転(ネジレ現象)
そうしているうちに、政権の姿勢と政策に対し政権党と有権者との問にギャツプが一層増幅され、政権に不満がつのり批判マグマがたまる。
直近の選挙は、3年ごとの参議院選挙のケースが多く、ここで批判マグマが一挙に噴出する。
こうして野党に支持が集まる(政権政党にお灸をすえる、逆バネ)という現象がおこり、いわゆる衆参のネジレが生じる。(しかし、ネジレはこれ以前からもあった点については後日言及)
(5)参院への批判
政治が前にすすまないというのは、ネジレに原因がある。
この原因と結果の逆転した分析によるあやまった理由付けによって、さらに混乱し政治は停滞気味になる。
よって参院を廃止し一院制に改めることにより、スピード感ある決断と実行の政治ができる、との主張は間違った分折によるものであり、ズッコケ論だ。
かくして政治改革と称する選挙制度改正にまたぞろ期待が出てくる。
(私の反省として1993年以降の細川内閣での政治改革と称するもので、どれだけ貴重な時間を浪費したか、今から思えば大した意味のないことをしたものだが)
つまり選挙制度を変えれば政治の中身が良くなり、国民が幸せになるといった、わけがわからない論理(当時はこれが改革派の言分で、私もそのうちの一人でマスコミに評価されていた)と同様に、制度を変えれば皆よくなる(郵政民営化も一体改革も同じ)といったことで、またもやマスコミが煽り世の中がおどらされて、結局時問の労費だけとなる「悪循環の罠」にはまっているのが実情。
(6)政策が吹っ飛ぶ
かててくわえてマスコミの反省なき政権バッシングも加わり、政策の良し悪しは二の次におかれ日本社会の沈没現象に歯止めをかけることができないのが現情である。
国会の各委員会では各議員が政党の枠をこえ傾聴に値する提案質擬・問題提起されているが、記者の目はほとんど政局に向いており、国民に知らされるケースは少い。
ますます政治家は何しとるのか!との批判が渦巻く。
批判は選挙での苦戦を意味するため、政治家は選挙優先の活動だけに専念するため政策空洞化がおきる。
そしてまた批判をあびるという負のスパイラルにおちいってゆく。
今回も自民党の「見た目圧勝」により、次の参院では3分の2は与えられないとして逆バネがはたらき、今のまま参院では自・公両党で過半数に足りないネジレ現象が続くことは充分に考えられる。
5年半前に、前安倍政権は苦い体験をしてしまつた。
参院戦での大敗北である。
ここで過半数を割ってしまう。
おなじ轍を踏んではならないと考えるのは当然だ。
安倍自民・公明政権はネジレの拡大に恐怖を覚え、今年7月の参院選挙に勝つためにすべてを犠牲にするか、はやく成果を出そうと拙速に走るかもしれない。
失敗をくり返えさないためには、自らの政権を守ろうとするのではなく、国民を守るよう普段の努力を怠らないことだ。
そして上述したように、おごりと思い込みを自覚するところから始まることではないか。
国民の声を大切に聞き、説明と説得をおこない合意を求めて、とことん審議を尽す謙虚かつ丁寧な政治を行うことに限るのである。
すなわち、国民の理解が大前提であることを胆に銘ずることなのだ。
しかし少々気がかりの芽が出てきた。
12月29日福島原発事故現場を視察し、翌日のTVで「国民の理解をえられたら、原発新設増設もありえる」旨の総理発言である。
まずは主権者・国民の理解が大前提であることをきっちり表明したものであり、その認識は正しいので安心している。
が、マスコミの突っ込み、ひっかけ質問に利用されてはならない。
要注意。
しかし、もし単に言葉だけで、この大前提を軽く扱えば、参院選で支持を得られないどころか国民の支持も受けられず、短命政権になることも予想できる。
それを喜ぶ党内外の勢力やマスコミに、まんまとのせられぬよう用心しなければならない。
そうなれば、政治はまたしても前に進まなくなるからだ。
まずは、自民党公約通り、3年間議論を尽し国民の理解が得られる結論をつくることではないか。
そして「アベノミクス」で、経済活性化のために、大胆な金融緩和プラス社会生活分野への投資プラス成長戦略の3つのパランスよい総合経済対策推進に全力をあげることが賢明な善政ではないか。
アベノミクスで政治を前に進め、国民生活を豊かにしていくことだ。
新党改革は、そのためには様々な協力は惜しまないつもりだ。