原発災害→国家のあり方→世界新秩序→経済・TPPの位置 | 荒井広幸 草の根 ブログ

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荒井広幸(あらいひろゆき)参議院議員 オフィシャルブログ

TPPそのものの長所、短所だけで判断するのは、木を見て森を見ずである。

今、私は、落選したあの郵政民営化騒動を思い浮かべている。

郵政民営化は、特に米国の強い要求を受け入れる形となった。

その時、民営化に私と共に反対をした民主党は

(1)財源捻出のため株売却を声高に主張し
(2)郵便と貯金と保険の3事業を一体的に戻すという。
そしてこのTPP参加騒動だ。

これらを見ただけでも、野田政権の日本の戦略的思考がいかに支離滅裂なダッチロール運転をしているかが判る。

また、当時、賛成をした公明党さえ、民主党と“異床同夢”(私の造語)といった具合で、似たようなことを言っている。

郵政民営化は(2)の点において、制度設計としてはすでに破たんしている証明である。

(1)については何の理念もなく、他と同じくその都度に、政治の食物にするだけのことであり、もっと重要なのは、郵政民営化を許した結果、いよいよ多分野に悪影響が出てきたことに気づいているのかということだ。

当時の各党の対応と今を比べるに“無責任さ”を感じるのみだ。

郵政民営化という“穴”が今TPP参加と言う所にまで拡大していることを知らなければならない。そして、この侵食は日本存立の基盤という「日本人の心」までも溶かしてしまう勢いだ。

米国は、金融のグローバリズム化で日本進出のために郵政民営化を成功させた。

しかし、やりすぎてリーマンショックで米国は墓穴を掘った。世界経済と財政へのダメージははかり知れない。
この反省をもとに、米国も新自由主義経済中心から新たな道の模索に入ったのではなかったのか。

TPPもまた同じ線路、反省なきマネー本位、新自由主義経済の上にあることを忘れてはならない。

経済的利益からばかり考えるのでは、本質的解決とはならない事柄が多くなっている。

TPPについても「合成の誤謬(ごびゅう)」をおかしてはならない。仮に、それ自体は一見正しくとも、全体としてマイナスが大きくなるということもあるのだ。
それを確認できないうちにTPP参加は危険である。

私は提唱する。

文明史的視点に立つこと。

そして世界観から大きな見通しを持ち、国家目標を打ち立てること。

そこに到達するためのプロセスをつくり、誠実かつ、したたかに一歩一歩前進してゆくことが肝要である。

さらに、原発災害により世界的にも変革が求められている。新しい「日本の大戦略」が必要になっている時期であることを念頭に、私達はこうした総合的・マクロ的視点の中の一つとしてTPPを取り扱い、判断することが穏当なのである。

加えて、TPPは中国を排除するものにもなる、大丈夫か。

中国の他分野での理不尽な行動とは別に、米国中心のブロック化への参加は、「対立」を大きくするのではないか。

WTOを根気強く活用したい。

日本は自立的に、世界に開く日本という位置づけで、戦略的に考え行動しなければならない。

次に、安全保障上の日米同盟(私もこれを強く支持)は、手放しに日本の利益(国民益)になるとは限らないのではないか。

大局において米国に是々非々を言い、経済一辺倒から新たな別の繁栄を、日米が共に協力し模索・開発しようと呼びかけるなど、日本が意見することは同盟国としての役割であろう。

日本は「人間の安全保障」の概念で対処し、世界にリーダーたる役割を果たすべきである。

さらに、米国には、貿易や投資で国益が害される恐れがある場合、「エクソン・フロリオ条項」を盾に、その行動を検査・阻止できる安全保障上の仕組みがすでにある。

日本には国益、安全保障上からのそんな仕組みが(日本は外為法、これは弱い)無いままに、無防備に突入してよいかという不安も残る。

野田さん、民主党さん。

TPPは、こうしたマクロ的・多角的・未来的発想から着眼すべきなのです。
参加せずとも逆に、日本の存在が世界にとって価値を持つチャンスにもなっていることを忘れないように。

そして、ゆめゆめ沖縄基地問題の弱みを穴埋めするために「国民目線」ではなく、「米国目線」でTPPへの参加を決めるなどあってはならない。

どうぞ、くれぐれも慎重に慎重に。

明日27日(木)16:10~16:50の間の約20分間ですが、【経済産業委員会】でTPPを取り上げます。ご意見下さい。

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