ラオス北部の出張へ行ったら、寒くてすっかり鼻声になった今日この頃、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。南国とはいっても北部山岳地帯は日本の本州くらいの気候。南部へ遊びに来た北部の友人は、逆に夏バテして涙目。


 さて、今回のお話は『ルアンパバーンTTC主催・LessonStudy』。

TTCとは、TeachersTrainingCollageの略。北部全県を巡り、日本の研究授業の方法を紹介・実践する出張型ワークショップです。


 今回は、ルアンナムター、ボーケオ、ポンサリー県を回る全3回の出張の第1回目。


 ルアンパバーンTTCにシニア・ボランティアで働いている知人のお誘いで僕も同行し、日本で研究してきた「子どもが自ら考える授業」を現地の先生方を対象に実践・公開します。


 LessonStudyチームは、ホンカムさんという日本の宮城県教育大学に2年間留学経験のあるラオス人チーフとTTCの学長、教授3人、そして日本人教師3人。専属の運転手さんも入れての計9人。

 僕は、図形の領域を担当し『ストローで作る立体模型』の模擬授業を公開。

 

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 途上国でも手に入りやすいスト      試行錯誤しながら正二十面体       

  ローを使っての立体づくり。        を完成させたチャントン先生。

 頭と手を使いながら楽しく活動できる授業なので、ルアンナムター県の先生方にも大好評。応用次第で、様々な立体を作ることができるので、挑戦意欲が掻き立てられます。因みに正多面体は全5種類。

 ルアンパバーンTTCのチャントン先生は、模擬授業の後の空き時間を使って、苦労の末に正二十面体を完成させました。

 「やっとできたわ。」と、嬉しそうに見せてくれるのを見て僕も何だか嬉しくなりました。


 もう一つの友人の模擬授業は「小数の数直線への表し方」。ただ線が描いてあるだけのシンプルな教材なのですが、とても頭を使います。ラオス人の先生方も熱心に議論しながら答えていました。


 シニア・ボランティアの授業は、基礎学力の大切さを伝える教育論の授業。


 「法律を作るのも、

   お金を作るのも、

     社会を作るのも、人間である。

 

  では、人間を作るのは?


           それは、教育である。」


 名言です。はい。


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 ホンカムさんが日本の研究授業    こちらがホンカムさん。日本留学の

  の方法をDVDで紹介。懐かしい。   経験のあるかなり優秀な人材です。

 ラオス人チームは、日本の研究授業のスタイルを紹介。指導案を作成したり、他の人に見られる経験の少ないラオス人の先生方にとっては、革命的な方法に映ったに違いありません。


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 小学部と中学部に分かれての授業   中学部は金属と非金属の性質。

 づくり。小学部は長方形の描き方。    ラオス語で非金属は「アロハ」。


 2日目は、実際に小学部と中学部に分かれて授業づくり。複数の教師で一つの授業をつくった経験がほとんどない。しかし、若い教師から熟練の教師まで活発に意見を交わします。縦社会のラオスでこれだけ自由に意見を言い合えることは、とても珍しいこと。先生方も、意見を交わしあうことが楽しいと感じているようでした。


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 指導案検討。全員真剣そのもの。     指導案の書き方もまだまだ未熟。

 はたして、授業はうまくいくのか。      大きな模造紙に書いての検討会。

 指導原案ができたら、全員で指導案検討。指導案の様式もまだ統一されたものがなく、書き方もまちまち。書き方から検討が始まります。

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 ルアンナムター・セカンダリースク     とってもきれいな学校。街で最も

  ール。日本の中学・高校にあたる。   目立つ建物です。4階建て。。。

3日目、小学校・中学校それぞれの会場校で研究授業実践です。懐かしいなぁ、この緊張感のある教室の空気。


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 中学1年の理科の授業。「金属と     金属の性質は。。。叩くと高い音。

  非金属」。見られる生徒たちも緊張。  伸びる、電気を通す、光沢など。。


今回の研究授業の面白いところは、授業者が担任ではないこと。全く別の学校の知らない先生が突然授業をするというもの。生徒たちからすればびっくり仰天。学習訓練などが話題になることがなく純粋に指導内容のみが研究されます。


 小学校の「長方形の描き方」では、子どもたちの角の描き方、長さの測り方驚くほど適当


 中学校の「金属と非金属」では、提示する教材が金属なのか非金属なのかあいまい

 

 まだまだ授業づくりにおいては未熟な点がたくさんあるとはいえ、LessonStudyとしては大成功。どのような指導法や教材がよりよくて、どのようなことがよくないのかを研究し、積み重ねていくことがいかに大切なのかが先生方に十分に伝わったと実感できた。


 この研究スタイルが定着し、外国の支援がなくともラオス人たち自らが研究を進めていくことができるようになったなら、ラオスの教育は大幅に前進することになるでしょう。


 とても意義深い活動に参加させてもらうことができました。次回は、ボーケオ県出張。がんばります!