みたらし団子への旅

 

 友人Oさんに「みたらし団子発祥の地が見たい~」と貴船神社を希望した。しかし貴船神社を訪ねれば、「横を流れているのは貴船川ですよ」と言われて、大恥と大笑い。下鴨神社境内に祀られている摂社貴布祢神社と大勘違いをした。

樹齢400年 桂のご神木

 

   しかしこの私の勘違いが岩倉駅から貴船神社口までの旅へと誘ってくれた。四条駅から烏丸線終点国際会館駅へ。そこで「叡山鉄道に乗って貴船神社へ行きたいが」と道行く人に尋ねると、徒歩15分の岩倉駅を紹介された。小さな川沿いの道。同志社小中高等学校の学舎を眺めながらの遊歩道。桜の頃はここもさぞ美しいことだろう。

 

   この岩倉の地名は明治維新の立役者岩倉具視卿の「岩倉」と聞いて、にわかに心は鈴のように鳴り響いた。さて岩倉駅は無人駅。駅舎に着くと、ご褒美が待っていた。

   マルチーズ犬を連れたご婦人がベンチに座っていた。そしてお水をペットボトルから上げていたので、ワンちゃんに声を掛けた。

「こんにちは。お出かけかい。厚いべべ着て大変だね」と。すると奥さんは「いえ、電車を見に来ているだけです」と。電車が入ると大喜びのマルチーズ犬は14歳の男の子。名前はげん君。(岩倉卿も元勲だったかな? )

 

   まもなく猪の絵柄の空色電車が入って来ると、げん君は大はしゃぎ。見とれている私たちに、奥さんは「さあ、電車に乗ってください」とせかした。

   Oさんは「一度、叡山鉄道に乗ってみたい」と話していたが、ゲン君のどんぐりお目目と喜び顔がなによりだ。

 

   電車はカーブを繰り返しながら、山を緩やかに登り緑林の中を走る。乗り合わせた人はまばらな観光客と学生さん。学生さんは京都精華と京都産業大学の生徒さん。のんびりした電車に揺られた。涼しい車内は七夕飾り、極楽の天の川へ。

   目的地の貴船神社はとても清しい神社で川床料理のお店がひしめき合っていた。しかし退散退散。また叡山電車に揺られて、下鴨神社へ向かった。

御手洗川と太鼓橋 お祭りもあるようです

 

   下鴨神社境内に祀られている摂社貴布祢神社と勘違いした。本殿に歩みゆけば、御手洗川も流れている。本殿隣に御手洗神社もあり、「ようやくたどり着きました」とお参り。 

   さて「花よりみたらし団子」だ。境外にあるみたらし団子茶屋に向かった。ところがお休みの水曜日。Oさんはしきりに残念がったが、私は「ひとつ欠けている方が私らしい。これで私は百点満点です」と応えた。

奉納みたらし団子 人型の本物 ひとつ目は頭だね