水生昆虫の観察会

夕暮れにヨシキリ一羽

 

 友人Aさんは昆虫、それも微細な数ミリという昆虫にも詳しい方。我が家の近くにO池があり、Aさんは久しぶりにそこで水生昆虫の採取と観察をしたいとおっしゃる。O池の隣には公民館と広場があり、電気の利用と観察用具の設置が容易になるらしい。私は区長さんから快諾を得て、その手筈を整えた。

 

   日時は6月初めとした。満月と重なると、昆虫は満月に惑わされ、ランプには集まって来てくれないらしい。当日5時過ぎにAさんと私が集まり、区長も電源の接続などの協力も頂いた。Aさんは車から機材を取り出し組み立てに掛かった。

 

   私もテレビで見たことがあるが、実物は初めてだ。区長も「これは、これは」と驚かれた。さて暗くなるまで、まだ2時間ほどある。区長さんもしばし談笑に加わり、「高校生頃、帰宅するのが夜になると、ホタルが学生服にまとわりつくほどに飛び交っていたものです」とおっしゃる。蛍を見たことがないという世代が多くなったこの頃である。

 

 

   さてようやく暗くなると、まず微細なハムシの類の昆虫のお出ましだ。大型といえば、カメムシ君ぐらいなものだ。やがて大型のセマダラコガネムシ(背斑黄金虫)が二匹現れた。といっても、6ミリほど。Aさんお目当ての水生昆虫がお出ましされたのは、なんとヒメガムシ(姫牙虫)の一匹のだけ。そして私に解説してくれた。胸に突起物を持っているから、その名を冠しているという。

   そして熱心に1ミリ2ミリの昆虫採集を続けているAさんにしばしみとれた。人生、いろいろだなあ~と、感慨深い。

セマダラコガネ 触角の先がかわいい

 

   そこにルリアゲハがやって来た。Aさんと途中から加わった昆虫博士Yさんも「これは珍しい」とおっしゃる。私がスマホカメラを向けても、なかなかポーズをとってくれない。ようやく苦心の二枚ほどが撮れた。

   公民館を覗けば、盆踊りに欠かせない太鼓の練習に励む子供たちの姿。来月は夏祭りだ。かつて家族全員で必ず参加した。孫たちが幼い頃は、子供たちが孫を連れてやって来てくれた。そんな太鼓の響きだ。

   さて夜9時。Aさんは「そろそろ終わりにしましょう」という。私が「今夜はきっと、区長さんは奥さんに楽しい土産話が出来ましたよね」と口にすると、AさんもYさんも笑顔になった。

ヒメドウガネトビハムシ(ハムシ科)1.7㎜

Aさんからの贈り物 1枚/17枚 掲載