日帰りバスのスケッチ旅行
出発
幹事も今年で3年目。美術協会会長から「40年近く続いた旅行がコロナで幕を下ろすのは淋しい。是非とも引き受けてほしい」と再三再四の懇願を受けて引き受けた。
今年の会長の希望は伊吹山(1377m、日本百名山)。それで午前は伊吹山、午後は水の都大垣市観光を計画した。会長は「伊吹山全景が見える場所でバスを止めてほしい」とおっしゃる。大型バスを高速で止めることは困難だ。伊吹山と大垣の中間にかの有名な関ケ原の合戦地があるが、一望できる伊吹山はない。結局、断念してもらった。
さて、当日の伊吹山は台風1号発生とも重なり、山頂駐車場は雲の中。「さむーい。もう帰ろう」という女性と山頂まで登り始めている方とで、てんやわんや。1時間早めて、大垣へ出発した。大垣は芭蕉が春「奥の細道」へと長の旅立ち、再びこの地に帰り、「蛤の ふたみにわかれ 行く秋ぞ」と結んでいる地。
さて、いざ帰りになって、さる方が「財布がない」とおっしゃる。本人はあくまで「スケッチした大垣城へ戻って確認したい」と言う。私はタクシーを呼ぶ手配をして、すでに出発待ちしている方々にその旨説明し、「出発をずらします」と説明した。
本人が納得してこその楽しいバス旅行だ。私たちは伊吹山でスケジュール表より時間を稼いで動いている。説明が終わった時、すかさず本人から「財布(免許証在中)はバスの座席にありました~」と黒財布をかざして見せた。良かったあー! 5分遅れの出発で事なきを得た。
下写真は下見
さてさて、帰着した駐車場で、さる方が「車のキーがない」と声を上げた。お家へ帰れないわけだ。こちらもバス座席の下に転がっていた。
ある方が「あなたは腹が立たないのですか」とおっしゃる。34名の高齢者を引率していれば、当たり前のことですよね。我が身を振り返れば、こんなことは日常茶飯事です。
しかしこんな言葉のつぶては嫌だった。川べりのベンチで独り休んでいると、男性参加者の一人が通り抜けざまに、「あなたの解説は間違っています」と礫が飛んできた。車中の余興に「だらだら話とことわった」上で、ガイド役も務めたまでのことだ。さらに言えば、この日の大半の女性は歴史には興味もないのだから、私は座持ちの大雑把なオモシロ話にして話したまで。とっさの言葉違いもあった
このバス旅行は妻と私を楽しませてくれた。3度の楽しい思い出を私たち二人に残してくれた。妻はきっと「あなたみたいな人がよくやったわね」とほめてくれることだろう。
戦後の再建 城主戸田氏鉄(うじかね)