ぎょぎょランド(愛知県豊川市)

 

 レッドテールキャット・フィシュ(アマゾン川)はぎょぎょランドのお顔。ナマズ科のこの大きなお口、小さなお目メ。今日で三度目のご対面だ。見る度に、ほっこりほっこり、拝みたくなる大黒さま。

 

   ここはぎょぎょランド。豊川の上流から下流までの淡水魚の生態を見せてくれる水族館。三階建ての建物に分厚い水槽がスロープに沿って続いている。上っていけば、上流へ上流へと歩く豊川の水中散歩。

   ゲンゴロウはもう少年時代の記憶の中にしかいない。水槽の中で相変わらずひょいひょいと遊泳している。弁慶蟹もいる。じっとして動かない。じっと見つめていると、かすかな息遣いまで届いてくる。頭の中で何かがはじけて、ザクロのように弾けて、荒々しい時代の記憶がよみがえって来る。

 

   午後五時閉館、今日は雨。お客も少ない。もうそろそろ閉館だ。

   お嬢ちゃんが踏み台の上に立って、しきりにガラスの向こうの枯れ小枝の下をのぞき込んでいる。にらめっこのかわいい瞳に、「何か、いるのかい? 」と声を掛けてみる。そして私もじっとのぞき込んでみる。

    女の子は突然声を掛けられて、少し恥ずかしそう。いぶかしそう。

    が、水槽のあるじは枯れ枝の奥深くにお休みらしい。幼子のその瞳の奥に「何が、いるのかな~」だ。

お嬢ちゃんとお父さん