三億年の彼方から~オウムガイ

 

 オウム貝と名がついているが、タコやイカの近縁種らしい。南太平洋の深海で3億年の昔から姿かたちも変えずに生きている。

  この深海にはウミユリやシーラカンスといったびっくり箱を開けてのぞき込んだ海の生き物が住んでいる。学生の頃にその不思議さ魅せられた。のったりゆったりと漂うこの生き物は心のふるさとのひとつになった。

 

  一昨年、門を叩いた絵画教室で最初に頭に浮かんだテーマがオウムガイ。今年6月、またこのテーマで描いてみた。数人の友人に写メールをしてみると、一人としてこの奇妙な存在も名前も知らなかった。つくづく「興味のありようも人それぞれだなあ~」と思う。

 

  かつてヨーロッパでは、南太平洋が一大ブームになったことがあった。1867年にパリ万博が開かれ、日本ブームも起き、ヨーロッパ列強の東洋進出も加速した。

  サマセット・モームは1919年「月と六ペンス」を刊行した。モデルは画家ゴーギャン(1848-1903)とも言われている。ゴーギャンは実際に移り住み、現地の人々を生き生きと描き出した。モームには他に「赤毛」という南の島を舞台にした好短編もある。

 

  深海は地球最後の生命のゆりかごと思っていた。しかし沈没船タイタニック号の見学ツアーまで組まれるようになったと聞き及び、いずれ南太平洋の深海もグランドツアーの対象になるのではないかと心配している。

2年目は2匹になった

触手は90本もあるそうだ