北斎と広重、紫式部と清少納言、時代はどうして天才を並び立たせるのだろう?

 

ご覧になったでしょうか?NHK『広重ぶるう』(原作:梶よう子さん)。今朝からの再放送でした。もともとは3月に放送していたそうで、見逃していたことがショックでした。すご~く見たい作品だったので。

 

 

今回は直前に再放送を知り、今朝、日曜というのに早朝起床。6:10分からの放送に間に合いました・・・なんというか、異例の時間放送に「どういうこと?!」とやや切れながら・・・録画すれば良いのですけれど、なんとなく気合はいって目が覚めました爆  笑

 

 画像は拝借しました


■原作:梶よう子さん 『広重ぶるう』
■脚本:吉澤智子さん
■語り:檀ふみさん

■演出:井上昌典さん
■制作統括:佐野元彦さん(NHKエンタープライズ)、松田裕佑さん(松竹)、遠藤理史さん(NHK)
■出演:阿部サダヲさん、 優香さん、髙嶋政伸さん、長塚京三さん

 

 

忘れられがち?「東海道五十三次」、よくぞ書いてくれました

日本の浮世絵といえば葛飾北斎! ですが、海外では、たとえばゴッホや、モネ、セザンヌ・・・多くの画家たちに歌川広重の浮世絵が大きな影響をあたえています。その偉大さを、私などはつい忘れていまいます。

 

北斎の絵は、いってみれば「スターウォーズ」であり「ハリーポッター」ですからね・・・忘れない! それに対して「東海道五十三次」は地味ですから・・・

映画で言ったらなんでしょう?「ゴッドファーザー」?「ショーシャンクの空に」でしょうか・・不朽の名作には違いないのですが。

 

 

ちなみに「東海道五十三次」、私は「どこ」を思い出すか?と言えば、雨が降っている情景(宿場)です。調べたら「庄野宿(現 鈴鹿市)」で、別名「白雨(はくう)」という副題がついてます。これが一番有名という説もあって、なるほど、知らず知らずのうちに刷り込まれているのかもしれません。

 

 

 

 

  でも!広重はブルーなんです

 

ドラマタイトルにも『広重ぶるう』とあります。私は最初このタイトルを「ブルース」のことかな?と思ったのですけれど、そうではなく、そのまま、ブルーでした。北斎も「神奈川沖」の、あの富士山の絵もそうですけれど、やはりブルーなんですね。北斎、広重、ともに、ブルーを愛した(ベロ藍/ベルリンで生まれたブルー 当時の輸入品)、海外では「ジャパンブルー」として広まりました。

 

 

 

初回は、「火消し」の稼業をついだ広重が(身分は武士です)、家業と絵描きを両立させるために苦労している様子が描かれました。ある日、版元からわたされた「うちわ」に「ベロ藍」と呼ばれる舶来絵具で書かれている絵を見て、びっくり。

「濃い藍から薄い藍へ(ぼかされて)広がっている。どうしたらこんな色が出せるんだ?!」「この青が生きるのは、空だ!」と叫びます。

広重が「ぶるう」に魅せられた瞬間です。

 

 

 

そして貧乏なくせに、くせに、高価なベロ藍をつかって「東都名所」を描きますが、これがさっぱり売れない・・・この「刷り」の場面、「もうちょっと薄く」、「いい線いってるけれど、こすってぼかして」と何度も摺師(前野朋哉)にやり直させるシーンは良かった。よくまぁ、人の手で、そんな繊細な作業ができたものだ・・

 

 

ドラマで「ベロ藍」を使った第1号作品はコレでした。きれいに藍(青)のグラデーションが出ていますよね。でも、ドラマの中では売れなかった。

 

 画像は拝借しました

 

 

 

 

まだドラマは始まったばかりですが、この回すでに広重(阿部サダヲ)は北斎(長塚京三)に会っています。

そして言うんですよね。「これは素晴らしい富士で 絵組も面白い。ですが、名所絵とは違う。こんな富士はどこにもないんだ(クレームじゃない。不思議に思うから問うているだけです)」

「これは本牧の沖から見た富士でございましょう? こんなふうに富士が見えるはずないんです。」

 

「面白れえ。おめえよくわかったな。俺は俺が描きてえ富士を描く。俺が見てえ富士だ。俺のために描いてるんだよ」と笑い飛ばす北斎。

 

 

 

つくづく思うんですよね~。

北斎と広重が同じ時代を生きたと同じように、紫式部と清少納言も同じ時代に現れました。千年に一人みたいな天才が、たとえば将棋の羽生善治名人と谷川浩二名人とか(将棋はあまりにも天才が多すぎて誰をピックアップすればいいかわからないけれど・・・)、織田信長と豊臣秀吉とか、日本男子バレーの石川祐希選手と髙橋藍選手とか、どうして まったく同じ「時」に現れるのか?いつも不思議に思います。天はいったい何を考えているのだろう?

 

 

ちょっとニュアンスは違いますが、大谷翔平選手と一緒の時代を生きられて、漫画みたいな野球を見られてラッキーです。広重や北斎と一緒の時代を生きた人たちも、それまで見たことがない浮世絵と出会って仰天したのでしょうか。北斎だ、いや、広重だ、と 推しの言い合いで盛り上がったのでしょうか?贅沢なことです。

 

 

 

放送は全3回。このあと巨匠・北斎に、広重は迫れるのでしょうか? そういう展開になるかどうかはわかりませんが見逃せません。来週分からは録画予約しました。