このドラマの特別感は何だろう?

 

イタリアンレストランで泉京香(飯豊まりえ)から涙があふれだし、洪水みたいになってきて、『きた、きた、きた~!』 いよいよ奇妙な物語の始まりです。

 

 

ずっと待ってました『岸辺露伴は動かない』最新作/密漁海岸。(映画を別にすれば)最後に見たのは『ジャンケン小僧』で、早くも2年前になります。凝った作りなので簡単に制作できないことは承知していながら、新作発表の何と待ち遠しかったことか! このドラマには特別感があります。ご褒美というか、雲の上の存在というか。

 

 

ちょっと横道にそれますけれど。

面白いドラマ、好きなドラマはいろいろ有ります。たとえば今シーズンなら『アンチヒーロー』とか、先日キャーキャー言いながら見た『霊験お初』も意外にそうですし、姿勢を正して見た『舟を編む』もそうですし、『グレースの履歴』とか『仮想儀礼』になるとリスペクトが強すぎて涙が出そうなくらいですが、でも、そういう”素晴らしいドラマ”とも『岸辺露伴は~~』一線を画します。どこまでいっても特別で、他のドラマと競いません。あくまでもごくごく個人的な感想ですが。

 

 

 

 

  西洋ゴシックに、日本の怪異を合わせた唯一無二の世界観

 

そういう特別感はどこから生まれるかと言えば、『岸辺露伴~~~』が日本では珍しい「ゴシックの世界観」を基本にしていること。

ちなみに「ゴシック」は、もともとは建築様式でしたけれど、そこからいろいろ派生して、いまは闇、死、廃墟、神秘的、異端的・・・黒の世界・・をイメージする言葉として用いられています(Wikipedia参照)。『岸辺露伴~~』はそういう西洋ゴシックの世界に、さらに、日本の妖怪とか、怪異とか、神話といった世界をミックスして、これまで見たことがない、暗く、怖く、奇妙な世界観を見せてくれています。それが実に楽しい。面白い。いろいろ素晴らしいドラマは生まれてきますけれど、そういう独特の世界観を持つドラマは他になくて、だから特別なんです。

 

 

そしてもうひとつ、今回で4期目になりますが、シリーズ化されたことで私たちは「待つ喜び」を持つようになりました。髙橋一生さんも答えていますけれど、最初は「次」をまったく考えていなかったそうです。それが、どこで方針転換したのかわかりませんが、シリーズ化されることになってますますブラッシュアップされ、『岸辺露伴は動かない』はドラマの枠をこえて、(大げさな言い方をゆるしてもらえれば)文化財の領域に入ってきた感じがします照れ大げさだわ~

 

 

 

 

 

  命がけの撮影?そこまでしなくても・・・

 

これまでも『岸辺露伴~~~』は難しい撮影を重ねてきましたけれど(だから、珍しい絵になり見るほうは楽しい)、今回の「密漁海岸」は水中撮影が相当大変だったようです。水深が10メートルはあるプールで、3メートルから5メートルぐらいの深さまで髙橋一生さんが潜り、自身が本当に沈めるか調整していったりとか・・・たしかに海中(底)から空を見上げたようなシーンがありますけれど、露伴はその途中に浮いている感じで、あの絵をCG使わずに創ろうとするのは、まさに命がけの撮影だったと思います・・・どうもこのチームはアナログで見せることにこだわっているらしい。

 

 

そうなると最初、レストランで泉京香(飯豊まりえ)が涙を噴水のように吹き上げるシーン、CGだと思いましたけれど、ひょっとして?と思って見ると、たしかに指の間から噴射させているようにも見える・・・ひとつ間違えば恐ろしいシーンになるところをコメディチックな絵柄に仕上げています。露伴先生の「アカ」が次々はがれるのも同様です。アナログにこだわって撮影する露伴チームの遊び心と挑戦、やはりまた「次」を楽しみにせずにいられません。

 

 

 

 

 

  人気エピソードの順位

 

今回いろいろググっている途中で偶然「岸辺露伴は動かない」のエピソード投票(シネマトゥデイ)と遭遇しました。引用しておきます。1位は「くしゃがら」、私も同感でした。今回放送の「密漁海岸」は、さて?、何位になるのでしょう? 逆転1位かも・・・

 

 

1位:第2話「くしゃがら」444票
2位:第1話「富豪村」219票
3位:第5話「背中の正面」216票
4位:第4話「ザ・ラン」102票
5位:第3話「D.N.A」94票
6位:第6話「六壁坂」80票
7位:第8話 「ジャンケン小僧」54票
8位:第7話「ホットサマー・マーサ」45票