ひときわ素晴らしかった7話。ぎっしり詰まったエピソード、濃いセリフ、最後まで全力疾走した

 

このドラマいつも鮮やかな展開(演出)にぐいぐい引っ張られるのですが、7話はとくに鮮やかでした。すっきりした~。感動しました~。

 

 

よくドラマでは「伏線を回収する」と言いますけれど、このドラマは<点>と<点>をつなぐのではなく、全面に蜘蛛の糸が張り巡らされている感じです。

 

 

たとえば 今回は みんなに心配されながら(ストーカーが現れたらどうする?とか) 岸部みどり(池田エライザ)がSNSを始めるシーンから始まります。たぶん、「紙の辞書を存続させるために」このSNSが重要な役割を果たすのだろうと思いつつ、どんな役割?…見当もつかないまま、物語は次から次に進みます。

 

 

たとえばカフェで。

みどりは久しぶりに、元上司で、人気ファッション雑誌の編集長・渡瀬凛子(伊藤歩)と会います。「デジタルになって出来なくなったことありませんか?」、一足早くデジタル化されたファッション雑誌の編集長から、なんとか「紙」のメリットを聞き出そうとしますが、「動画は一発だからね(色も素材も)(デジタルのメリットは大きい)」。返り討ちにあってしまいます。

でも、以前と違って、辞書づくりに一生懸命なみどりを見て、編集長(伊藤歩)は嬉しそうに話します・・・

 

 

 

 

  その先へ

 

「歳をとると良いことがいっぱい有るんだけど、その内のひとつが<その先が見える>ことだと思う

生きてるといろいろ起こるでしょ。若い時ってそれがゴールというか結果みたいに見えるでしょ。でも…そこから生きて、また5年、10年と生きていくと、その先が見えるわけ。離れた二人がまたくっついたり、あの時の失敗があったから今うまくいってるよね…とか(中略)。それだってまだ結果じゃないしね。でも やっぱ嬉しいじゃん、ハッピーなその先が見えるって。だから、ありがとうね、みどり。」

 

 

 

 

  わたし使ってました!宮本さんがつくった剥離紙

 

物語はさらに別の場面へ。

みどり(池田偉イライザ)は『大渡海』の紙を開発してくれている「あけぼの製紙」の宮本と話しています。その中で、彼が去年まで「シールの剥離紙」をつくっていたことを知ります。

「・・・どうしたら剝がしやすくなるかとか、日々研究していたんですけれど、誰も気にしないじゃないですか、そんなの。気に留めてもらえなくて、捨てられちゃう紙だから、正直ちょっとむなしかったんですよね」

 

話を聞いていたみどり(池田エライザ)はびっくり。「いつも買ってます。・・・いろいろ試してたどり着いたのが<あけぼの製紙>さんのです! めちゃくちゃ使ってました。気に留めまくっていました 宮本さんのつくった剥離紙」

 

これ、出来すぎ…とは思うんですけれど、みどりの話を聞いて天を仰ぐように感無量の表情になった宮本さんを見ていると、もう一緒に泣けそうになります。天は我を見放さず…! (逆解釈しますけど許して)天網恢恢疎にして漏らさず…天はどんな地味な仕事も見逃さない。誠意ある仕事はかならず誰かが見ている。

 

 

 

 

  役員会での一撃必殺はならず。だが、

 

そんなこんなのエピソードがいろいろへ登場するなか、役員会に出席した馬締さん(野田洋次郎)と西岡さん(向井理)、「デジタルと紙の辞書をセット販売する」という提案を良いところまで押し込んでいました。

 

 

しかし! 社長の反撃が鋭い。

「今ならね(きみたちの提案は成立するだろう)。でも、このデータ 今現在のでしょ。『大渡海』の発売は2020年だよね。通用するの?

先の先まで読まないと、ビジネスは

ぐうの音も出ない馬締さんと西岡さん。

 

 

いっぽう。その頃、編集部には超人気のブックデザイナー・ハルガスミさん(柄本時生)が突然訪ねて来ていました。

 

 

ここから「編集部」と「役員会」の それぞれの話し合いが交互で展開するのですが再現は諦めます(それが非常に面白いのですがえーん諦めて)。編集部に集中します

 

 

 

ハルガスミさんは、仕事の依頼を断るためにやって来ています。その理由をこんなふうに説明しています。説明?爆発?とにかく大きな葛藤を抱えているようです。

 

「本が好きで 大好きで この仕事を始めたのに、”ハルガスミが装丁すると中身が白紙でも売れる”なんて言われちゃって。失礼じゃないですか、作家さんに」

「本気を出せば出すほど 本を貶めることになっちゃって。でもやっぱり本気だしちゃって」

「俺 本が好きなんです。大好きなんです、本が。・・・だからもう辞めたいと思ってます」

 

 

ハルガスミさんと対面しているのは、岸部みどりです。おおお~~。編集部を代表してる。いつの間にこんな覚悟のある編集部員になったんだ?

 

 

「ハルガスミさん、

行ってみませんか。(どこへ?)”辞めたい”の、その先へ。」

 

「『大渡海』をなめないでください。終わりません。そんなやわな舟じゃありません。出してください、本気。受け止めます、絶対。私たちの本気も受け止めてください。私たちが必ず”その先へ”連れていきます。でもそのために、まず、私たちにあなたが必要なんです」

 

 

 

 

 

今回感想を書いて痛感しました。あまりにドラマ(回)が素晴らしいと、再現ばかりしようとする。セリフをいっぱい引用してしまう。あの場面、あのセリフ、あの表情…書きたいもの(伝えたいもの)がいっぱいで、ただ、それだけを追いかけている感じです。すみません。

 

 

 

 

  「玄武書房」は社長が命名した、10才のときに

 

今回は編集部ハルガスミさんのシーンを優先しましたけれど、実は役員会での馬締さん達と、経営者である社長の攻防も素晴らしかったんですよね。

その再現は諦めますが、セリフだけ、胸に刺さったセリフだけ書き留めたいと思いますおねがい

 

 

 

社長(堤真一)「確実な勝算がほしい。・・・ある?・・・この先”紙の辞書”で勝てる見込み」

馬締「あります・・・・・・作り続けることです

「継承して絶やさず 作り続けていれば いつか『大渡海』は世界で最後の紙の中型辞書になるかもしれません。そのときこそ我々 玄武書房のひとり勝ちです」

 

 

 

「社長お忘れですか。わが社の社名”玄武”とは・・・(社長が答えます「冬の守り神」)・・・冬来たりなば春遠からず。

かつて雪 しまく(風巻く)なか あなたを守った本は 今あなたに守られ やがて冬を超えるでしょう」