『ニュースをつないだ女たち』がっつり見ましたけれど

 

タイミングが悪い…。ネットでも同様の意見が見られました。やはりドラマでの失態を引きずりながらの「開局記念」は違和感がありました。何やってるんだ?!と思いましたけれど。

 

 

 

でも、ドラマとしてどうだったか?考えよう。と思って。

 

う~ん、微妙。

自社の歴史を、心臓部である「報道部」を通して描く、それも女性たちのリレーという形で描くという企画は前向きで、あるいは王道で、骨太で、実際の事件とリンクさせる思い切った手法で、拍手を贈りたいと思ったのですが。

 

 

面白かった?と聞かれると、う~ん、ちょっと迷います。(3時間しっかり、飽きずに、がっつり見たくせにウインク

なぜか?

 

 

たぶん、女性たちの仕事の歴史は もはや よく知られていることだから、ではないでしょうか?ドラマで描かれたことは とくに目新しいものではありませんでした。ちょっとパターン化しているように感じました。

 

 

 

もちろん「報道部の女性」という存在はほとんど知られておらず新鮮なのですが、でも、新聞社でも商社でも食品メーカーでも車メーカーでも役所でも、あらゆる職場で同じだろうと思うんですよね。

仲間由紀恵(役名/曽根さん)世代は「女性を武器にしてる」だの「婚期を逃す」だの「お局さま」だの、さんざん言われてきたことで、そしてどんなに実績をつくっても、昇進はほとんどできなかった。

 

 

曽根さん(仲間由紀恵)が、周囲から「女性初の警視庁キャップ」と目されていたのに、その時が来て、上司に呼ばれていくと「次の警視庁キャップだが……田辺を抜擢しようと思う。史上最年少の警視庁キャップだ。うちも変わらなきゃいけない。田辺なら新しい風を吹かせてくれるだろう。夏には子どもも生まれるしな。頑張ってくれるだろう。そこでだ、曽根にはサブキャップを頼みたい。女房役として若い田辺を支えてやってほしい」と言われ、心が折れた。私もアタマにきた。

「女房役として支えてやってほしい」って何だよ! エース記者を何だと思ってるんだ?!

 

 

まぁ、そんなこんなで「日テレ 初の女性総合職」だった曽根さんは退職の道を選びます。が!、ご存じのようにこのドラマにはモデルがいます。曽根さんのモデルさんになったかたは、実際は、報道局を経て「コンプライアンス推進室長」などを経験され、現在 多くの団体で活躍されているようです。実際は「折れなかった」んですね。強い。しなやか。タフだ。その姿を描いてくれたほうが説得力があったのでは?…と思います。

 

 

 

 

 

 

  平尾さんはなぜ部長になったか?

 

いっぽう 木村佳乃さんが演じた平尾さんは、2024年の時点で「報道局 社会部」の<長>に昇進しています。すごい。

スクープを連発していたみたいです。それにしても、曽根さん(仲間由紀恵)の時代を思えば、「女性初の警視庁キャップ」から、「社会部長」に上ったのですから快挙です。

個人的には、ここに焦点を当ててほしかった。何が彼女を成功させたのか? たとえば豊臣秀吉みたいな知略があったのか? いや、「秋葉原」の事件で日テレがやっちまったことで出禁になった警視庁の怒りを解くために、粘って粘って粘りぬいた根性がポイントなのか? 

 

 

平尾部長に、御厨庸(みくりやよう/平原テツ)が「会社やめようと思います」と打ち明けるシーンがあるじゃないですか?

あそこ良かったです。ドラマの中で1,2を争う好きなシーンです。

 

御厨(みくりや)は、たぶん平尾さん(木村佳乃)の 前の 警視庁キャップのはずで仕事のできる人です。ふだんから二人が互いに信頼していることも、「新宿 宝飾店強盗」の取材ワンシーンでわかります。「エブリの頭には 何としてでも入れろ…て社会部長が言ってる」…「言ってない」…

 

 

そして退職の話。

部長ともなると、そんな驚愕の話をされても慌てません(心の中はわからないけれど…?)。

「理由 聞いてもいい?」

そうですよね。理由を聞くのが当たり前じゃない。良かったら話してもらえる?…なんですよね。そして「本当に辞めたい?」と聞き、彼の表情を見て、「じゃ、ゆっくり休んで。休職しても良いし、時短勤務という手もある」と提案します。なるほど「器」ですね。

 

 

そんな良いシーンもあるのですけれど、全体的に、女性記者の描き方がパターン化している…という印象でした。もったいない。事実は(実在するモデルの皆さんは) 小説よりも奇なり。個性的でパワフルで面白そうです。

 

 

 

 

 

  実在する人をドラマ化することの是非

 

もうひとつ戸惑ったことがあります。モデルになった人たちが現役で活躍していらっしゃる、ということです。ドラマ冒頭で新人教育をしている真野さん(江口のりこ)が「歴史上の人物じゃないよ」と注釈を入れたのは、どう反応していいかわかりませんでした。

 

 

 

去年でしたか?、NHKで「アナウンサーたちの戦争」が放送されました(森田剛さん主演、■倉光康子さん脚本、■一木正恵さん演出)

アナウンサーと報道記者(それも女性主役の)、同じにはできませんけれど、NHKのほうは「まさに歴史上の人物」がクローズアップされたわけで、もちろん それだけが理由ではありませんが、迫力に違いが出ました。

 

 

仲間由紀恵さん~木村佳乃さん~江口のりこさん~芳根京子さん…なるほど世代代表を並べたらこういうラインなのか…と思いながら見ていました。

ほかの局ならどんなラインになるのでしょう? 見たい気もします。