あっという間に日曜が来ます。またまた一週間おくれの感想になってしまいました。

 

 

 

  「対話」できるドラマ

 

2話をやっと昨日見ました(ちなみに今日3話放送です)。あらためて素敵なドラマだと思います。脚本(原作)はしっかりしてるし、演出も個性的だし、メリハリがあるし、嘘がないし、見事にアップデートされているし、透明感のあるブルーがかった映像はおしゃれだし、今シーズンのベスト3に(すい星のように現れてそのまま)入るかもしれないくらいです。

 

 

 

もうちょっと別の言い方をすると、「対話ができる」ドラマです。

もちろん、そんなことわざわざ言わなくても、どんなドラマでも、ツッコミを入れたり、泣けるわ…と言ったり、ふだんから対話している!と言われるかたも多いと思うのですけれど、個人的には少ないンです

誤解を恐れずに言えば、鉄仮面みたいに見てます。うそ。それは言い過ぎ。でも、たとえば話題の『不適切にもほどがある』は さすがクドカン、素晴らしいと思って見てますけれど、まったくツッコミとか入れる気になりません。たぶん完成しすぎてるからだろうと思いますけれど…いや~誤解されるな…てへぺろ

 

 

 

テレビと対話しているときは、ごく個人的な反応ですけれど、相当体調が良いというか、ドラマを相当気にっているというか、信頼しているときです。心が開いてる。

 

 

たとえば『舟を編む』1話では、「右とは?」と、岸部みどり(池田エライザ)が 日本語学者の松本先生(柴田恭兵)に問われたとき 思わずテレビの前で答えていました。自分でびっくり。ドラマに参加してる…びっくり

 

 

2話は、「恋愛」の語釈がクローズアップされました。わたし、またまた自然と参加していました。

 

 

 

 

  2017年。違和感を指摘した岸部みどりは鋭い。

 

いろいろな辞書で「恋愛」を調べて、岸部みどり(池田エライザ)は違和感をおぼえます。

 

「大渡海」に掲載する予定の語釈

【恋愛】(名)スル 異性同士が互いに強く慕いあうこと。

 

 

「なんで<異性>なんですか?」

「どの辞書にも<異性>とか<男女>とか書いてありましたけれど、<異性>同士のものだけじゃないですよね?恋愛って」

これ、2017年の話ですから、岸部みどり(池田エライザ)の質問は鋭いです。この時点で、LGBTを意識していたということですよね?

 

 

ちなみに『おっさんずラブ』が連ドラになったのは2018年、その前に単発であったようでそれが2016年…なるほど2017年というのは微妙な年、異性同士ではない恋愛が世の中に認識されはじめた年でしょうか。

トランスジェンダーを取り上げた志尊淳さんの『女子的生活』NHKは2017年放送でした。

 

 

途中で天童くん(前田旺志郎)が送ってくれた「LGBTを取り巻く環境と対応」という記事には、日本人のLGBTの割合は その時点で7.6%と書かれており、それは左利きの人の割合とほぼ同じだそうで…貴重なデータでした!

 

 

 

それでも馬締(まじめ/野田洋次郎)たちは揺るぎません。すでに編集会議でさんざん検討しているからです。「辞書の語釈には<典型的例>が必要です」、だから現時点では「<大渡海>の語釈には<異性>という言葉を残しているんです」。

 

 

なるほど!<典型的例>!

ウサギと言えば、多くの人が「長い耳」を描きます。それが<典型的例>だと馬締(まじめ)は説明します。「耳が短いウサギもいますし、跳ねないウサギもいるかもしれません。でもやっぱりウサギと言ったら多くの人が<耳の長い><ぴょんぴょん跳ねる>ウサギをイメージします。これが<典型的例>です」

 

 

この説明も聞きやすかったですね。馬締(まじめ)を演じる野田洋次郎さん、すごく上手い。キャスティングを聞いたときは、WHY?! なぜ野田洋次郎?!と疑心暗鬼だったのですが、1話、2話を見て、セリフの発し方が抜群なのに驚いています。難しい、面倒くさい、説明のセリフが多いのに、すごく聞きやすい。シンプルに聞こえるように、上手に喋ってくれています(歌手だから?解釈が上手い? 声が良い? 歌うように語ってる?)。本当に上手いのでびっくりです。

 

 

さて、このあとも岸部みどり(池田エライザ)は「それでも、ウサギと人は違いますよね?」と食い下がります。その食い下がり方アッパレ!と思いながら見ていましたし、もっと大事な恋人(鈴木伸之)との別れも、本当にサヨナラ?と気になりましたけれど、今回は「恋愛の語釈」に集中して進みますね。

 

 

 

 

 

  先生に質問できる職場、なんて羨ましいんだ!

 

岸部みどり(池田エライザ)の考えた「恋愛」の語釈です↓

<特定の二人の、互いへの想いが、恋になったり愛になったり、時に入りまじったりと、非常に不安定な状態>

 

 

正直なところパッとしませんでしたが、辞書の刊行は2020年の7月。松本先生(柴田恭兵)は言います。「ぎりぎりまで皆で言葉を観察し、話し合い、3年後に結論を出しましょう」 なんて理想的な職場なんだ!

 

 

 

それにしても今回「語釈」で問題になっているのは、その対象ですよね?

松本先生たちは<典型的例>にのっとって、2017年の時点ではまだ「異性」という言葉は外せないと考え、岸部みどりは「(とりあえず)特定の二人」にしています。彼女はどうしても<異性>とか<男女>という言葉を入れたくない。

 

 

だったら<人物>を外したら?…と私は思ったのですけれど。

たとえば、「大渡海」で掲載する予定の語釈から<異性>を抜いて、こんな感じ。

【恋愛】(名)スル 互いに強く慕いあうこと。

 

 

恋愛する「対象」が問題になっているのなら、思い切ってカットしてはどうなのか?(←ドラマに参加してしまってる)

松本先生、馬締先輩、編集部の皆さん、どうでしょう? ぜひ意見をお聞きしたいです。どんなダメ出しが出るのだろう?

岸部みどり(池田エライザ)、先輩諸氏に疑問をぶつけ、そして意見を聞けるとは、なんて夢のような職場なんだ!! 羨ましいぞ。