今季は繊細さが基本?

 

今シーズンはたとえば「お父さんドラマが多発」とか…『不適切にも~』、『さよならマエストロ』、『春になったら』、『おっさんのパンツ~』…

 

実績ある中堅ベテラン脚本家が集結」とか…福田靖さん、黒岩勉さん、宮藤官九郎さん、遊川和彦さん、武藤将吾さん…とか、なるほどドラマの本数が多くなれば「共通点」も出てくるものらしい。

そういう流れに沿うわけではないですけれど、実はわたしも今シーズン気になっていた「共通点」があります。「繊細さ」です

 

 

「繊細な」心の物語が多いな~と感じます。

たとえば『厨房のアリス』もひじょうに繊細な感性の(自閉スペクトラム)ドラマだし、『Eye Love You」も 人の心の声が聞こえるという能力をもってしまった女性の繊細な悩みを描くのだろうし、

『さよならマエストロ』は繊細な娘の心が傷ついた物語なのだろうし、ほとんどのドラマが繊細な空気をまとっているように感じます。みんなが何らかの理由で傷ついてる?そういう時代なのかも。

 

 

なかでも特筆したいのは 父の余命を宣告された娘の 心情を繊細に表現する奈緒ちゃんの『春になったら』、と、

時代遅れの父親・原田泰造がひじょうに繊細な問題に向き合う『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか』。この2本のドラマは「繊細さ」のかたまりのように感じます。

 

 

 

 

  タイトルと、中身のギャップに驚いている。おっさんだけでなく皆で見たい

 

『おっさんのパンツ~』は本当に意外でした。ふざけたタイトルだと思ったのに、中身を見ると、不登校で部屋に引き込もっている息子・翔(かける/城桧吏 じょうかいり)が抱える心情が実に繊細で。

 

さらに、友達になった五十嵐大地(中島颯太)くんがゲイで、しっかりした明るい子だけど、やはり心の底には悩みがあって(悩み?世の中に対する怒り?)、”生きづらさ”の問題をすごく丁寧に、具体的に描いています。

 

 

「僕は男であることは別に違和感はないんだ。でも、自分のことよく考えてみて男っぽく振る舞うとか、乱暴なのが嫌い。あと、かわいく綺麗になりたい」という息子・翔(かける/城桧吏 じょうかいり)、

彼のこの心情には「名前」があるのでしょうか? 

 

 

「LGBTQ」とか「性同一性障害」とか「ゲイ」とか「アロマンティック・アセクシュアル」とか、最近いろいろな名称を知るようになりましたけれど、翔くんの心情はどれにも当てはまらない気がします。女性だったら当たり前の気持ちなんですよね。それを世間が認めれば良いだけの話で。

 

おっと、大地くん(中島颯汰)が言ってます。「自分でもわからないものを、他人から決めつけられるのストレスなんです!

ごめんよ~。

 

 

 

 

 

  「ぐうかわ!!」 ギャルたちが救った

 

4話で、久しぶりに学校へ行った翔くんが いつ学校を飛び出すのかハラハラ見ていました。けど、同級女子たち(ギャルと言ったほうが良い?)の意外な反応が救いました。

「そこ僕の席だから どいてほしい」と言うと、ギャルたちじっと見つめ、「…美形すぎん?!」、「ヤバいよね」「ここの席なの?」「そういえば居た!…まさか野球部くん?」「そういえば居た、うちのクラスに。坊主」、「髪伸ばしただけで そこまで美のポテンシャル出してくるの?」「ぐうかわ!!」

なんのこっちゃびっくり 

 

 

でも、これで彼は救われました。男性、女性に関係なく、人としてフラットに見る、つきあう、話す、ということが大事。自分はできてる? 意外にできてないかもしれない…。

 

 

 

 

そして5話が土曜に放送されましたが、最後、衝撃でした。

少しずつアップデートして、家族にも会社の部下たちにも褒められていた父親(原田泰造)、なのですが、べーべキューのホームパーティーで大失敗!

大地くん(中島颯汰)の先輩、砂川円さんをニコニコ紹介され、すぐ、「大地くんの彼氏だね」と言ってしまう。周囲はフリーズ。

 

先輩の砂川さんは泣きながら誠(原田泰造)を締め上げ「いきなりアウティングかましやがって!! 俺と大地がゲイだってしゃべった!勝手に!俺たちの了承なしに!!」

 

 

呆然と立ち尽くす誠(原田泰造)…見ているこちらもボーゼンです。アウティングという言葉も初めて聞きました。いや~これは大失敗。このあとどうなる?!