昨年のドラマと似ると思ったけれど、演奏が全然違った。

 

TBS今シーズンの日曜劇場は西島秀俊&芦田愛菜の『さよならマエストロ』。

存続の危機にある市民オーケストラの指揮を、西島秀俊が頼まれ…というストーリーは、皆さんご指摘のように昨年の『リバーサルオーケストラ』(日テレ)と重なります。でも、そうなることは事前に予想できたのであまり気にならないのですけれど、驚いたのは演奏です。全然違った。

 

 

 

1話で演奏されたのは「ベートベーンの交響曲第5番 『運命』」。

誰もが知っている、あの、ダダダダ~ン!!です。

それぞれの演奏者に豊かなイメージを広げてみせ、自信を持たせる夏目俊平(西島秀俊)の指導は流石でしたが、いざ、演奏、となったときに、あれ?、感動しない…。

たとえばCDを聞くような、そんな演奏に思えました。生の、オーケストラの感動がない…。

オーケストラの演奏シーンは絶対感動する。熱く盛り上がる、と思っていたので、そうでないことに驚きました。

 

 

 

去年の『リバーサルオーケストラ』では、1話、

天才ヴァイオリニスト谷岡初音(門脇麦)が、思わず演奏に参加してしまったのが『ウィリアム・テル序曲 スイス軍の行進』でした。タンタカタッタ、タンタカタッタタタ…というやつ(恐れずに表記してみました爆  笑) 感動しました。ああ、あれだ!あれだ! 軽快に疾走するヴァイオリンの音色に乗って、スイス軍が行進してくる…一気にテンションが上がったのを覚えています。

 

 

 

 

  まだ初回だけど、ちがうドラマになると思う。

 

感動した「玉響(リバーサル~)」の演奏と、

感動しなかった今回の「晴見フィル」、違いに驚きました。

 

 

何が違うのか? 専門家ではないので音楽的なことは言えないのですけれど、

ひとつ言えることは

『リバーサルオーケストラ』は、たとえば天才ヴァイオリニスト初音、たとえば恋多きチェロ首席(瀧内公美)、たとえばアルバイトを掛け持ちするフルート奏者(坂東龍太)…楽団メンバー一人ひとりの葛藤と成長を丁寧に描きました。彼らが主人公でした。そして、その集大成としてオーケストラの演奏があるから、見ているこちらも気持ちがワ~~と盛り上がるのでは?

 

 

それに対して今回の『さよならマエストロ』は、もちろん楽団員の葛藤も描いていたけれど、でも、ドラマの中心はやはりマエストロ(西島秀俊)にありました。そのせいかどうか、楽器の魅力がもうひとつ伝わらなかったように思います。

 

 

 

選曲も(好みの違いはありますけれど)『リバーサルオーケストラ』のほうが上手いな~と思います。ドラマ的に、です。

 

 

「ウィリアム・テル序曲」は、演奏が始まれば、あ!それそれ!と思い出す感じで、懐かしいというか、新鮮。リズム的にも弾んでわくわくします。バイオリン、フルート、トランペット…さまざまな楽器が混ざり合うのがよくわかるし、そして大輪の花が咲くと、こちらは簡単に感動してしまう爆  笑

 

 

それに対して「ベートーベンの『運命』」はあまりにも有名で、しかも立派すぎて、ドラマでいきなり感動させる曲ではないな~、違うな~…と思いました。

 

 

そんなこんなを思うと、今回の『さよならマエストロ』と、去年の『リバーサルオーケストラ』は全然ちがうドラマになると思います。

 

 

乱暴な言い方を許してもらえるならば、

『さよならマエストロ』は(『リバーサルオーケストラ』のような)音楽ドラマにはならない。

いやいやごめんなさい、ファゴット奏者の玉山鉄二さん、トランペットの宮沢氷魚さん、バイオリンの津田寛治さん、そしてこれから参加するのであろうフルートの新木優子さん…楽団メンバーの皆さんは素晴らしい演奏を これからたくさん聴かせてくださるのだろうと思います。失礼なことを言ってすみません。ぜひ、私の浅薄な「予想」を裏切ってください。ギャフンと言わせてください(”ギャフン”?)

 

 

それに誤解のありませんように。「悪い」と言っているわけではありませんから。

ドラマそれぞれの世界がある。違う、と言っているだけです。そこ大事なので、よろしく。

 

 

 

副題に「父と私のアッパシオナート」と付いているように、今回は音楽ドラマというより、ヒューマン・ファミリー・ドラマになるのだろう、と、思います。あるいは「再生」の物語とか。

 

まだ始まったばかりで断言するのは早とちり過ぎるのですが、初回で、あまりに演奏の違いに驚いたので、予想してしまいました。はて、さて、どうなるのでしょう?