このたびの災害によって甚大な被害にあわれた皆様、心よりお見舞い申し上げます。
いま「ふるさと納税」で支援する輪が広がっているようですが、わたしもできるかぎりの募金をしていきたいと思います。みんなで支えましょう。みんなで頑張りましょう!
『映画 Dr.コトー診療所』
そんなときに迷いましたが、被災していない私たちが同じように沈んでいてはいけない。いつものようにブログを書こう。
映画の話をしても良いですか?
録画していた『映画版 Dr.コトー診療所』を見て、すごく気になったことがあります。それがブログを書く一つの理由になりました。
ご覧になりましたか?
あの台風被害で人々が診療所に押し寄せる中、自身が白血病でフラフラしながら手術して、そして倒れたコトー先生(吉岡秀隆)。
ラストシーンで、真っ白な光の中(つまり、姿がよく見えない状態で) 初めてヨチヨチと歩いた娘を抱き上げるシーンがあります。あれは、生きているということでしょうか? それとも亡くなっている? どちらとも考えられるラスト、答はどこ?
YAHOO!の「知恵袋」で探してみました。
ありました。ありました。同じような質問と、その回答が。
意外だったのは、生きているけれど白血病の後遺症で失明している、という答えが多かったこと。多いと言っても4件くらいですけれど。
「失明した」と回答したかたは、娘(赤ちゃん)を抱き上げたコトー先生の眼に光がなかったから。焦点が合ってなかったから。そして白血病にはそういう後遺症もある、という指摘でした。驚きました。なるほど~、そんな解釈もあるんだ
わたしは亡くなった、と、解釈しました。
白血病はすでに末期だと診断されていること、入院治療をしなければ1~2週間の余命と言われていたこと(あの鳴海先生に/堺雅人に)、そして、台風時のハードワーク、
手術中に鼻から血を流していましたよね?(マスクに滲んだ血が大きくなっていきました)
さらに、コトー先生が産婆さん(藤田弓子)に「彩佳を頼みます。彩佳と僕の子を。もし 僕がここにいなくても…」と繰り返していたのは、やはり死亡フラグでしょう?
それだけ予告していて、でも、助かりました、は、ないだろう…。
が!! コトー先生が亡くなった、と、考えるとショックが大きくて だから、「失明したけど、生きている」という解釈は、ありがたかったです。正解でも不正解でも、そういう見方をする人も多いんだ…と思うと救われます。
判斗先生(髙橋海斗)に一票
この映画は16年ぶりに続編として制作されていますけれど、見終わってみると、『このシリーズを終わらせるために作ったんだ』…と思えます。
たった一人で離島の医療を(島の人々の命を)20年にわたり守りつづけてきたDr.の最期を敬意をこめて描こうとしたのだと思います。愛をもって止めを刺したのだと思います。
だからでしょうか、想いが強すぎて、映画は詰め込み過ぎの感じ、焦りが感じられました。映画サイトのレビュー評価も平均3.3でした。テレビではあれほど名作だったのに…。
離島医療の問題点が大きすぎて。
コトー先生はどんなときでも「全員を助けます」と言います。でも、東京から来た新人Dr.判斗(高橋海斗)は「全員を助けるなんて無理だ! トリアージをしましょう!」と主張します。
そして「わたしの番はまだ?」「早く診て」と口々に叫ぶ島の人々に、「コトー先生は病気なんだ!」と叫んでしまいます。
「この20年、コトー先生の昼も夜もない働きで島の医療は守られたきた。でも、そんなの奇跡にすぎない。仕組みが間違ってるんだ!」
映画ではこの若いDr.の主張を、コトー先生の対極にある考え方として、島の実情をわかっていない理想論として、描きました。でも、きっと多くの観客が思ったはずです「判斗先生に一票!!」
髙橋海斗くんは難しい役をこなしたと思います。演技派ではないけれど(ちゃんと上手かったですけれど)、なんというか、誠実な人間性が伝わって、いい仕事しました。いつもなんだか泣けてきます。
おせっかいな話ですけれど、彼は役者ではなくダンスパフォーマーとしての才能が勝ると思うので、そちらをもっと我儘に追求してほしい。それでも映画やドラマで ひたむきに演じる彼を見ると泣けてくる。おせっかいなおばちゃんとしては。
離島医療の問題は、映画では結局棚上げのままでしたけれど(そんな明解な答が出るはずない)、
原ちゃん(時任三郎)の息子・タケヒロが、どうやら医大に復帰したようなシーンがあったので、それが希望、明日への光でしょうか。
判斗先生も往診から帰ってきたようだし、ひょっとしたらタケヒロが島に帰ってくるまで診療所を守るのかも…。いや、ひょっとしたら、彩佳(柴咲コウ)とコトー先生(吉岡秀隆)の娘が、成長して、Dr.コトー2代目になるのかも。
映画は、そんな小さな希望を散りばめて終わりました。ラストシーンの全員の笑顔は実に幸せそうでした。だから、コトー先生が亡くなったとは思えなかったのだけれど、どんな悲しみも乗り越えて生きていくんだ、明日は笑顔になれる、と、最後に映画は強いメッセージを残しました。