最終回は逆転満塁ホームラン。なるほど48億円なら。

 

NHK・BSで再放送されていた『一億円のさようなら』全8話が終わりました。

2020年に一度見ていたドラマですが、とにかく最終回の印象が強くて、今回も楽しみに待っていました。

 

やりました! 逆転満塁ホームランです。

これまで夏代(安田成美)と鉄平(上川隆也)を引き裂いてきた48億円が、こんな使われ方をするとは!

たしかに最終回前、7話の最後、夏代(安田成美)は木内(武田真治)にむかって「私の家族を壊したあなたを許さない。私にとってあなたは最低最悪の疫病神よ! やり返すことに決めたから。やられっぱなしなんて冗談じゃない。覚悟をしておいてくださいね」と笑顔で宣戦布告をしています。笑顔は怖い。

 

 

それが企業買収だったんですね。いや、違います、正確に言うと、富士見メディカルの株を買ったということです。全体の約30%。そして筆頭株主になった。

すると何ができるかというと、まず、横領をでっち上げられていた夫・鉄平(上川隆也)を復帰させ、役員に指名。そして、木内(武田真治)を追放します。

 

 

いま「投資」がすごく注目されているので、48億円の投資ですべてを解決するという結末は鮮やかというか、すごくタイムリーに感じます。ひょっとしたら、再放送はそういう社会背景、時代の変化があって決まったのかも…なんて思います。

 

 

 

 

 

 

  記憶していたよりもっと良いドラマでした

 

2020年に見たときも良いドラマだと思ったのですが、その時は、若き日の鉄平と夏代を演じた松村北斗くん(SixTONES)と森田望智さんが素敵で、正直なところ、そちらに気を取られていました。

だから、でしょうか、若い二人の出番がガクっと減る「故郷/欅野編」、6話、7話あたりがもたついている「記憶」になっていました。

しか~し!今回あらためて見ると、全然もたついてない。1話から2話、3話…鉄平と夏代が出会って恋をし、結婚して…という序盤も、中年になった鉄平が会社で奮闘するところも、子どもたちが迷走するところも、すべて、きれいに整理されていて、見やすかったし、ひとつひとつ胸に響きました。制作者のみなさん、失礼しました。まったく無駄のない展開でお見事でした。

 

 

 

そして、もうひとつ「記憶」を上回っていたのは、昔(若き日の二人)と現在の二人のスイッチングの素晴らしさです。

いや、スイッチングというにはあまりにも滑らか、自然。映像の切り替えの見事さは、当時から「珍しい」「素晴らしい」「面白い」と思っていましたけれど、今回あらためて「おお~!」感嘆しました。

 

最終回ではついに、現在の鉄平と夏代(上川隆也、安田成美)の目の前を、若い二人が(松村北斗、森田望智)歩いて通りすぎるシーンも登場して、その融合というかシンクロというか、スイッチングへのこだわりは、どうして?そこまで?と言いたくなるほどです。もし、次にこのドラマを見る機会があれば、そこは(毎話あります)ぜひ注目してください。

 

 

 

 

「出会った瞬間の胸の高まりも、恋した日のときめきも やがて消える。だけど僕らには大切に精一杯に積み重ねてきた時間がある」

 

「何気ない毎日のたわいない行動 そのすべてが僕らを育て支えている。

ここはまだ僕らの物語の途中。きみと過ごす時間はこれからも続く。」

by加能鉄平