漁師は命がけ
7話のクライマックスは凄い迫力でした。どうやって撮影したのでしょう?
巻網で漁をする本船(網船)と、その転覆をふせぐ役割の「おさえの船」…つまり2つの船がロープでつながれているのですが、今回、そのロープが切れてしまう!
バランスを失った本船は大きく傾いていき、いまにも沈没…という映像でしたが…すごくリアルな絵にびっくりしました。
夜の海へ大きく傾く船は、たぶんVFXだと思うけれど…あんなの実際に撮影できるわけがない…しか~し、まるで本当に船上にいるように演じる俳優たちも凄い。
網を死守しようとする磯田(吹越満)、!このままでは船が沈む「網を切れ~!」と叫ぶ片岡(堤真一)、海に投げ出されないように恐怖の表情で壁にへばりつく漁師たち…緊迫感あふれるシーンでした。凄かった。
もうこの映像だけで、アカデミー大賞あげたい。
いいねん、いいねん、脚本がどうの、とか、俳優がどうの、とか、泣けるとか、笑えるとか…もうそんなこと どうでもいいねん…あの迫力ある映像が一等賞! 私的には。
丁寧な脚本
このドラマも、インパクトの強い作品群のあおりを受けて、面白いのにもうひとつ話題になっていません。かく言う私も、あまり積極的に見なかった…。
そして、早くも7話です。
あらためて振り返ると、1話1話、丁寧に(実話にもとづく)エピソードが積み上げられてきているな~、と、思います。
突然の大逆転とか、胸キュンの恋バナとか、そんなのはなくて、たとえば漁師たちが「お魚ボックス」を最初まったく理解できなくて反発していたけれど、
たとえば顧客の(速水もこみち)のレストランでフランス料理を食べて、アジやサバがこんなに美味しい料理に変わることに驚き、そして、送り方ひとつで、味や触感がまったく違うことを知って…自分たちがつくる商品の意味を少しずつ理解し…そこからさらに、プライドをかけた商品づくりへ、意識が変わっていくのをじっくり描いてきています。
森下佳子さんの脚本、地味かもしれないけれど、手抜きがないというか誠実というか、滋味ゆたか、というか…今更ほめるのもナンですが(-_-)
そんな闘いが有ったのね…
実は私も、和佳さん(のどかさん)を取材したニュースを見たことがあります。
でも、こんなに悪戦苦闘したとは、思っていませんでした。
ただ女性が社長になって(…社長の娘さんが家業を継いだのかと思ってた)、新しい魚の販売ルート開いた、くらいにしか見ていませんでした。
ニュースの作り方が悪いのか、私の見方が上の空なのか…
漁協・組合長(梅沢富雄)との激しいバトル…「このタコ野郎~!」…実際に和佳さんも、叫んだのでしょうか?…
漁師たちとの喧嘩…胸倉つかんで「クソ野郎!」…、
そして営業の苦労、商品の不出来による苦情殺到…さらに、政治家との交渉、あるいは町全体でハブられたり…まぁ、それはそれは大変な”闘い”があったんですねぇ。
どれ一つ取っても、すぐ凹んでしまいそうです。
まさに命を惜しまず戦火に飛び込んでいったジャンヌ・ダルクのイメージですが、「最後は火あぶりですよ…」と抵抗する和佳(のどか)さん…
農林水産省の溝口さん(松本若菜)も一瞬息を飲んで「別案を考えます」と答えました。
その別案が「ファースト・ペンギン」なのでしょうか?
8話も予絶対絶命みたいです…この追い詰められっぷり、『アトムの童』といい勝負…、これからはしっかり見ていきたいと思います。