「これからは”簡単な感想”を書く」と言ってたのですが、

なんと…『大統領の陰謀』を見てしまった。NHK・BSで…

これは書いておこう。

ずっと見たかった映画だから。長くなるだろうけれど…

 

 

 

 

  50年前の6月17日

 

ワシントンDCのウォーターゲート ビルにある民主党本部に 

不審な5人組が侵入しているのを警備員がみつけ、

警察に通報したところから、物語は始まります。

あ、ご存知だと思いますが、

これ実話です。

アメリカ政治史上に のこる大スキャンダル。

ワシントンポスト(新聞)の二人の記者の執念の追跡で、

ついに大統領リチャード・ニクソンが辞任に追い込まれたという事件。

実話です。

 

 

 

フツウーに強盗未遂 建物不法侵入 で終わっていた事件、それが、

強盗たちの所持金が 230ドル、215ドル、234ドルと高額であったこと、

しかも、それがほとんど100ドル札で しかも連番だったこと、

さらに彼らの所持品に

無線機と35ミリカメラ2台があることもわかり、

 

 

社会部長のハワード・ローゼンフェルド(ジャック・ウォーデン)は、新米記者のボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)に取材を命じます。

 

新米記者に取材させる程度の事件だった、ということです。

それがまさか、ホワイトハウスを揺るがす大事件になろうとは…

 

 

ちなみに映画の原題は

『All the President's Men』

大統領の取り巻きたち

…忖度するやつら…という意味?…どこかの国にもいるな~

 

 

 

そこへ首をつっこんできたのが、カール・バーンスタイン(ダスティ・ホフマン)。

彼の嗅覚も素晴らしい。

早々と独自の取材をして(事件の担当でもないのに)報告します。

 

「4人はマイアミから来た。4人ともCIAの関係者だと(バーンスタイン)」

 

「それを認めているのはマッコードだけだ(ウッドワード)」

 

「装備や所持金からして、誰かが雇ったのは明らかだ(バーンスタイン)」

 

「きみの意見はいい」と、上司。(←きみは担当じゃない)

なぜ民主党の本部を盗聴しようとしたかだ。彼らの意志か 

誰かが雇ったのか。はっきりさせないと」

 

 

 

このあと犯人たちの所持品の中に住所録があり、

「W・H」と書かれたものと、「Wハウス」と書かれたものがあった、と、知ると、

ウッドワード(ロバート・レッドフォード)は すぐホワイトハウスに電話します。

 

 

すぐつながるんですね~電話…大統領府に。記者ってそういうもの?

アメリカだから?70年代だから?

そして「ハワード・ハントさんを」とリクエストすると、いろいろ人が替わっていき…そして新らたな名前をつかみます。誰?

 

 

 

上司のハリーに聞きます。

 

「チャールズ・コルソンってどんな人物ですか?」

 

俺でよかったな。

ブラッドベリーに尋ねてみろ…クビにされるのがオチだ。このバカが!と」

 

「何者ですか?」

 

「最高権力者はニクソン大統領だ」

 

「知ってます」

 

「コルソンは大統領の特別顧問だ」

 

「彼の部屋に掛かる漫画に(”彼”はコルソン?それとも主幹のブラッドベリー?)

”敵の急所をにぎれば 心もこっちになびく”」

 

つまりコルソンを取材しろってこと?…いい上司ですよね~!

 

 

 

 

  上司の援護射撃

 

そこから電話をかけまくって、大統領府が事件に絡んでいるらしい…とウッドワードは確信。上司と一緒に、編集局長のハワード・シモンズ(マーチン・バルサム)のところへ報告に行きます。

 

 

それにしても…外国の俳優さんは、スターでないかぎり、誰が誰か よくわかりませんよね(私だけ?)

だから、上司役を、日本の俳優さんでキャスティングしてみました。

 

 

主幹のブラッドベリーは、小林薫 

岸辺一徳もいいかな~と思ったのだけれど、この主幹はとにかくカッコいいんです。

長い脚を机の上に乗せるという行儀の悪いクセがありますが、

それも許されるくらい有能。後半、カッコいいセリフを連発します。

 

 

上司の社会部長ハリー・ローゼンフェルドは松重豊

若い記者の味方になってくれる良い上司です。熱血漢でもある。

 

 

編集局長シモンズは香川照之 もしくは 渡辺篤郎

途中で事件の担当をベテランに変えようとしたクセモノ。

いや、常識人と言ったほうが良いか…

 

 

事件がもはや「三面記事」のレベルでないと知った香川照之(編集局長)は、

「最高の政治記者に書かせる」と 担当変更を言います。

しかし!松重豊(上司のローゼンフェルド)は断固拒否。

「ウッドワードが調べたネタなんだ。バーンスタインもいる。

彼らのネタなんだ。人脈も豊富だ。

ハングリー精神にあふれてる。きみにもあっただろ?!」

 

いい上司ですね~(2回目。たいせつなことなので何回でも言います)

 

 

 

 

  きみの原稿のほうが良い

 

局長室でそんな口論が繰り広げられているのも知らず、

ウッドワードは つんのめるように原稿を”打ちます”

(そうです。この時代はタイプライターです。タタタタ……)

 

書き上げた原稿を少しずつ上司の机に置いていくウッドワード。

それを次々と自分の机にもって帰るバーンスタイン。勝手にリライトしています。

 

抗議するウッドワードに、バーンスタインは言います。

「自分は16才から…(この仕事をしている)。

どちらの原稿が伝わりやすいか(良い原稿か)読み比べてみてくれ」

 

「君の原稿では伝わらない。

書き出しはわかりやすくないと。

大統領の特別顧問、コルソンの名前を出すのが遅すぎる…」

 

読み比べたウッドワードは…

「君のほうが良い」と認め、

ここに、ウォーターゲート事件をあぶりだした名コンビが誕生します。

 

 

 

 

 

ここまで長々と書きましたが、

映画の滑り出し程度の部分にすぎません…全体の2割にもなっていません。

 

 

このあとが本編で、二人の記者の苦闘がつづき…

終盤には焦って出した原稿のために、ポスト紙全体が窮地に追い込まれる…といった話や、

「ディープ・スロート」と呼ばれる謎の情報提供者のこととか、ぎっしり続きます。

 

ただ、個人的には、滑り出しに興味がありました。

何が どう転んで こんな大きな事件を追いかけるようになったのか…

映画を見終わっても、まだ よくわからないところも多いのですが、

 

ひとつだけ言えることは、当時のポスト紙の主幹や局長たちが素晴らしかったということです。

若い記者たちが潰されることがなかった。

映画でも、その魅力が存分に描かれています。

 

 

 

 

 

  アカデミー賞 助演男優賞

 

彼らの上司役をつとめた俳優たちが 実に渋くて、大人で、カッコ良かった!

ちなみに、主幹(※小林薫)のベン・ブラッドベリーを演じたジェイソン・ロバーズはアカデミー 助演男優賞を獲得しています。

 

若き記者たちを守りつづけた上司・ハリー・ローゼンフェルド(※松重豊)を演じたジャック・ウォーデンも いい味を出していましたよね。

緊張がつづく画面の中で、彼が登場するとホッとした。こんな上司と働きたい。

 

 

 

さぁ、ラストです。

ホワイトハウスの厚い壁にはばまれながら、ついに全貌をとらえた二人は、記事を書き、主幹(※小林薫)に掲載許可を求めます。

 

これまで「証拠のない記事は書くな」「確かな情報をつかめ」とブレーキを掛け続けてきた主幹も、ついに掲載を許可しました。が…

 

ホワイトハウスは全面拒否、読者の反応もいまひとつ…「ワシントン・ポストは、ガセネタを書く三流新聞」と言われるようになり、若い記者も、主幹も窮地に立たされます。

 

 

そして、「命の危険もある。盗聴と監視にも気をつけろ」という情報提供を受け、

ウッドワードとバーンスタインは 夜中に 主幹の家を訪ねます。

事情を話すと、主幹(小林薫)は静かに語り始めます。

 

「最新の世論踏査では国民の半分が ウォーター・ゲート事件を知らない。

疲れただろう。

家に帰るがいい。

風呂に入って15分休んだら、また仕事だ。

 

この苦境は君らのせいだからな。

 

だが我々が守るのは 憲法修正1条

”報道の自由”  この国の未来だ

たったそれだけだが、今度しくじったら許さんぞ」

 

 

 

 

 

 

長いブログになりました。またまた、すみません。

本当に見たかった映画だったので…

次こそ簡単に…。