本誌続き妄想です。ネタバレＮＧな方は華麗にスルーしてくださいませ～。
闇を照らすAmulet 2
それまでの話 1話
（SIDE 蓮）
彼女に背を向け…シーツに包まって寝たふりをする。
彼女のぬくもりを肌に感じて …戻ってきた感覚。
俺を『敦賀蓮側』に戻してくれる…温もり…彼女の存在が
自分（クオン）にとって…どれだけ大きいのか思い知らされる。
不安に押し潰されそうになって…怖くて堪らなかったのに…
彼女がいれば…アイツに戻ることはないってそう思えた。
あの子がそばにいてくれれば
「…どうしたの？兄さん、ボーっとしてないで、早く食べちゃってよね？
今日からは特殊メイクしての撮影だって監督さんも云ってたでしょ？」
パタパタと忙しそうに彼女は…いつもどおりのセツを演じてる。
俺は、まだバスローブ姿のまま、そんな彼女を見ながら、目の前の食事に視線を落とした。
数時間前…何も言わず抱きしめた俺を、
あの子はまるで子どもをあやすかのように優しく…抱きしめ返してくれた。
聡いあの子のことだから…
きっと俺の異変に気づいてるだろうに…何も聞かずにいてくれる。
だけど、俺が演技じゃなく、Ｂ・Ｊを愉しんでたって…
そんな本当の俺（クオン）の姿を知ったら…彼女も怖がるに…違いない。
そして…きっと…。
彼女が恐怖に怯え…俺から離れていく そんな姿が浮かんで、胸に激痛が走った。
（ 彼女を…なくしたくないっ…）
自分（クオン）に負けたら…俺はきっと…彼女も失うことになる。
そんなの…イヤだ。
強い意思で自分（クオン）をコントロールできるようにならないと…
じっと彼女をみつめながら…俺は改めて、決意した。
自己闇（クオン）に勝つ と 。
＊＊＊
「それじゃ、京子ちゃん、今日の撮影はこれで終わりだから～」
お疲れ様でしたとスタッフに挨拶をして早足に廊下を歩いていく。
（ 敦賀さん…大丈夫かな… ）
って、大丈夫に決まってるじゃないっっ…大丈夫…
そう 、いつもの敦賀さんになら…こんな心配したりしない…。
だけど、今の敦賀さんはどこか不安定で…私は今日一日気になって仕方がなかった。
だけど、ＢＯＸ”Ｒ”の撮影があったから、現場についていくことはできなかった。
セツの衣装を入れた紙袋を持って、私は楽屋を後にした。
（ どこで着替えようかな…早くしないと撮影終っちゃう…っ ）
そんなことを考えながら、急いでいた私は、廊下の角で出会い頭に現れた人とぶつかってしまった。
「イタタっ…す、すみません～っっ、急いでで…」
ぶつかった頭をさすりながらそのまま謝罪すると…
辺りに散らばってしまったセツの衣装やウイッグを拾い始めた。
すると、ずっと無言だったその相手がセツカのウイッグを拾って話しかけてきた。
「…お前…キョーコ…か？」
その聞きなれた声に驚いて顔を上げると…目を見開いて驚くショータローがそこにいた。
（ もぉ～～っっ急いでるっていうのに…なんでよりによって、私ってばショータローにぶつかっちゃったのよ～っっ ）
そんな運の悪さを呪いつつ、慌ててウイッグを取り返した私は、急いでその場を離れようとした。
そんな私の手を掴んで、ショータローが云った。
「待てよ…ソレ…何に使うんだ？」
低い声で…そう訊いてきたショータローに、思わず口答えしてしまった。
「な…何だっていいじゃないっっ…私、急いでるのよっ手を離して！！」
そう云うと…急に胸を押さえだして…痛がり始めた。
「っ痛…誰かさんが思いっきり頭から突っ込んできたから…」
「な…何よ？平気そうだったじゃない…っ」
「…相手がお前と分かれば、別なんだよっ」
格好つけてたってこと？？それにしたって…大袈裟じゃない？？
大袈裟に痛がるショータローに腹が立ちつつも…ぶつかったのは自分が悪いから…。
「悪かったわね…だけど、今は本当にあんたに構ってる時間はないの。
だから…っっまた今度 」
謝るから今は手を離して…って云おうとしたのに…
その手をグイッと引っ張られて、ショータローの腕の中に引き寄せられてしまった。
「…これで勘弁してやるよ」
そういって顎を持ち上げられて…ショータローの顔が近づいてくる…。
（ えっっ…ちょっと待って！！この流れってっっ？！！）
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