時空（とき）を超える想い ～ ﾄ・ｸ・ﾍﾞ・ﾂ ～
ＡＣＴ.11 隠し事
(Side キョーコ）
「はぁ～～…またやっちゃった。」
そう…売り言葉に買い言葉…何度同じことを繰り返せば治るのよ！
もうっ…バカバカおバカ！！キョーコのバカっ～～o(TωT )
＊＊＊
非通知でかかってきた電話は椹さんからだった。
急いで事務所へと向かった私は…そこで麻生さんと会った。
椹さんも同席する中…プロモの契約が成立する。
ドラマの撮影を縫うように組まれたスケジュール…
今回の撮影もどうやらＣＧ仕立てらしい。
曲のタイトルは 『Une déesse solaire （太陽の女神）』
それがこの中に入ってるのよね…。
ショータローから手渡されたその曲を、私はまだ…聴けずにいた。
それは…麻生さんが帰り際に私に云った言葉のせいだ…。
「京子ちゃんにお願いがあるの…多分、あの子がその…
何かあなたに云ってくると思うけど…答えを出すのは撮影が終わってからにしてくれる？」
「答え…って…？」
「…ごめんなさいね、変な事いって…でも今はそれしか言えないの…
それじゃ、宜しく頼むわね？」
意味深な麻生さんの言葉 その理由がきっとこの中にある。
「お前じゃなきゃ意味がないんだよっ！」
見たこともないような顔でアイツが云ったりするから…
心の奥がざわついて…それにただでさえ、今日は 。
＊＊＊
（ はぁ～～～… 気が重いなぁ… ）
私は…テーブルに突っ伏して大きなため息をついた。
私を憂鬱にさせるもう一つの理由…それが目の前にある。
そう…この鞄の中には１週間分のお泊りセットが入ってる。
今日から１週間…敦賀さんの恋人を演じなきゃいけない…っていうのに
このタイミングで、またショータローのプロモに出ることになるなんて…
敦賀さんにバレたらどうしよう…。
ショータローの話題は敦賀さんの地雷を踏んじゃうのに 。
それに…ショータローがあんな顔するからっっ…
時間が立つほどに…私の中で疑問が生まれてくる。
なんで…ショータローは…そんなことを考えてると、廊下に響く足音が近づいてきた。
コンコン… ドアを叩くその音に心臓がドキッとした。
別にやましいことをしてるわけでもないのに…
なんだか後ろめたい気がするのはなんでなんだろう…。
「最上さん…準備できてる？」
にこにこと機嫌のよさそうな顔で部屋に入ってきた敦賀さんに、
なんとなく身構えてしまった私は…話を逸らした。
「あっ…ハイ…あの…社さんは？」
「ん…まだ時間かかるみたいだから、先に帰っていいよって…」
「そうですか…あの…敦賀さん、お夕飯どうします？」
とりあえず、まだ…『始まっていない』ことに安心した私がそう訊くと…
席を立った私の荷物を持ってくれた敦賀さんが…耳元で囁いた。
「キョーコがいいかな…？」
云われた瞬間…ピギョンっと固まってしまった。
（…嘘～～始まっちゃったの～～？？ ッテイウカ…ソレハドウイウイミデスカ…？？）
耳元で優しく囁かれたその声に…これでもかって位…頬が熱くなってくるのを感じる。
「なっ…○×△ｘｘｘ～～！」
声にならない…真っ赤になってしまった私を見て…嬉しそうに笑みを零した彼が言った。
「…クスっ…冗談だよ？…でも、キョーコの手料理がいいかな
君が作るのはどれも美味しいから…一緒に買い物して帰ろう？」
始まってしまったらしい…演技に私は 。
（ 何だろう…この感じ…恥ずかしい…というか…くすぐったい様な…
とにかくっっ…ものすごく居た堪れないわっっ /// ）
それなのに…敦賀さんったらすっごく楽しそうな顔しちゃって…。
私一人こんなに…と思ったら何だか急にすごく悔しくなってきた。
そうよ、やっぱり敦賀さんは…私の反応をみて…楽しんでるだわ！！
くっ…悔しい～～っ 経験がないからって、バカにしてるのよ～～っっ！
そりゃ、夜の帝王な一面を持つ敦賀さんに勝てるわけないってわかってるけど…
それでも、私だってできるんだってところ…見せてみせるわ！！
絶対、私の演技でおろおろさせてやるんだから～～っっ！！
(2010/09/29)
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