2024-3-23 | penaltyのブログ

2024-3-23



日銀がマイナス金利政策の解除を決定。17年ぶりの利上げに踏み切る事に。
決め手となったのは、春闘における大企業の賃上げ回答。連合の公表によれば5.25%の賃上げ率で、30年ぶりの高水準との事。組合員が300人未満の企業の賃上げ率も4.42%となり前年を上回る結果に。
事実上、物価と賃金の両方が上がる事になり、2%の物価安定目標の達成が見通せると判断された上での事。
物価と賃金の好循環が生まれた事で、バブル崩壊からリーマンショックを経て30年続いて来たデフレ状態からようやく脱却し、マイナス金利政策もその役目を終えた形。
ただ、金融緩和的な環境は維持されるとの事で、日銀も、銀行の貸出し金利はそれ程上がらないだろうとしています。
なぜ、利上げの状況で、緩和が継続されるのか?
それは、日銀自身がこの「物価と賃金の好循環」に対し慎重な見方を崩していないからなのでは。
今の物価高は、エネルギー価格の上昇と円安による影響が大きいという見方もあります。賃上げも、人手不足の中、人員を確保する為のやむを得ない措置によるものという見方もあります。すなわち、物価も賃金も、景気や企業の業績とは関係なく上がっているという指摘もあるわけです。
仮に、業績が横這いなのに、人材確保の為に賃金を上げざるを得ない企業があるのだとしたら、その企業は潤っていると言えるのか?そして、人材確保の為の賃上げすらできない企業があるのだとしたら?更に、資金不足で人材確保そのものもできず、求人も出来ない企業があるのだとしたら。今の景気は好循環ではないどころか、人材破綻という事になってしまいます。人員が一定のラインを割ってしまうと、企業としてのパフォーマンスそのものが出来なくなります。そうなれば、その企業の将来がどのようなものかは言うまでもないわけです。
この人手不足の件と関係あるかどうかは分かりませんが、日銀が利上げの発表をしても、円相場は上がらず、また日米の金利差は当面埋まらないという理由から、円安基調はこれからも続くとされています。円は「日本の力」を示す指標です。その日本の力が悲観的に見られているのが現状です。
鍵となるのは、人手不足解消のような気がします。やはり、日本の将来にとって、それこそ一番重要な課題なのではないでしょうか?有能な外国人労働者の方々をこれまで以上に多く受け入れる為の短期的な政策と、少子化を何としてでも食い止める為の中長期的な政策が必要なのだと思います。それこそ、全ての縦割りを越えた、国の総力を結集した、少子化対策に完全に特化した「省」が必要なのではと思う程に。いくら子育て支援が充実しても、まずは、その子供が増えなければなりません。
景気の好循環の要素は物価と賃金とされていますが、そこにもう一つ、企業における「人員充足率」も加わるべきなのではないかという気がします。