12月 | penaltyのブログ

12月



先週水曜日にUAEのドバイで開幕したCOP28。
今回の焦点は、1.5℃目標に向けた各国の排出削減の進捗状況を評価する「グローバル·ストックテイク」とされています。5年毎に行われる評価で、今回のCOP28で初めて実施されるもの。今後各国はこの評価に基づいてその後の5年間の目標を設定する形になります。今回は2030年までの各国の削減目標に対する進捗状況が評価され、それを受けて新たに2035年までの5年間の削減目標が設定される事になります。
ただ、大幅な目標引き上げは避けられないだろうというのが大方の見方。UNEP(国連環境計画)は仮に30年までの各国の目標が全て達成されたとしても、今世紀末には産業革命前より2.5℃~2.9℃上昇する可能性が高いと分析。IPCC(気候変動政府間パネル)は、今後10年~20年で1.5℃上昇に達する危険があり、35年には19年比で60%削減する必要があるとし、現在の各国の目標では極めて不十分だとしています。そして「地球沸騰化」という言葉で象徴される今年の平均気温の高さがそれを物語っているわけです。世界で大規模森林火災が相次ぎ、世界各地で最高気温を更新する等で、9月だけで言えば産業革命前から1.8℃上昇したとUNEPは分析。遂にそういう月が出てしまったわけです。今年は既に世界の平均気温が観測史上最も高い年である事が確定しています。否が応でも各国は削減目標を引き上げなければならないというのが今の状況です。
しかし残念ながら、国によっては石炭火力発電すら無くせない事情があります。石炭は安価な燃料として電力供給に必要で、特に今のエネルギー危機には、エネルギーの不足分を補うのに必要であるという現実。石炭火力発電を廃止した場合、電気料金が何倍にも跳ね上がるとされ、確かに民衆の生活を追い詰める事になります。
ここに来て、完全に顕在化したかに思われる温暖化回避を取るか民衆の生活を取るかの非常に厳しい選択。日本で言えば、現在電源構成の30.8%を占める石炭火力発電を2030年に19%に引き下げる計画ですが、2035年に2019年比で60%削減しなければならないと考えると、引き下げるどころか、無くさなければならない道理になるのではないでしょうか?険しい道かも知れませんが、やはり、更に再エネのシェアを増やす道を模索するしかないような気がします。石炭火力を再エネに取り替える道です。電力の供給量を維持し電気料金を上げない方法となるとそれしかないような気がします。我々民衆は、生活が苦しくなり食事にありつけなくなるような事は我慢できませんが、野山や海の景観が変わる事ならまだ我慢できます。まず国民に、ここまで切羽詰まっている現状を理解してもらう事が必要で、その上で、温暖化回避を取るか野山や海の景観を取るかの選択をして貰わなければなりません。そして、自ら答えを出させなければなりません。やはり、排出削減の主役は民衆なわけです。日本は平地が少ない為、大規模な太陽光発電所は造れないかも知れませんが、洋上風力発電所なら造り放題です。世界に誇れる浮体式風力発電設備の技術もあります。それを世界に売るのであれば、自国の国民に対しても売れば良い話だと思います。「風車の国 日本」を謳い、洗練された風車の風景を新しい日本の風景と位置付ければ、国民も風力発電所に夢を持ってくれるかも知れない。莫大な建設費も先行投資として大きな価値を持つ事になります。排出削減、再エネそのものに付加価値をつける。我々国民の環境意識の高まりは案外そういう所から始まるのかも知れません。また、国民の環境意識の高い国から、如何にしてそうなり得たのかを学ぶ事も必要なのかも知れません。