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原辰徳監督(51)が巨人の指揮官に就くにあたり、アマチュア球界伝説の名将である父・貢氏(74)=東海大系列校野球部総監督=が贈ったリーダーの心得とは? 原監督が講演会で「原家の奥義」を明かした。

 原監督は21日、母校の東海大湘南キャンパス(神奈川県平塚市)で講演。午後5時半の開演にもかかわらず、1時過ぎから行列ができはじめ、2000人収容の講堂が満員となった。

 WBC世界一と巨人の日本一で錦を飾った原監督は、意気揚々と後輩たちにグータッチの大バーゲン。学生時代の裏話やWBCの秘話などを披露した後、「学生諸君が壁にぶつかったときのために」と巨人の監督に就任した際のエピソードを語り始めた。

 前任の長嶋監督からのバトンタッチは唐突だった。2001年も残り3試合という最終盤に、監督室に呼ばれていきなり握手を求められ、「おめでとう、来年度から監督だ」と激励を受けた。

 いつかはその日がと覚悟していたとはいえ、突然の禅譲に動揺がないと言えばウソになる。そんな息子に「普段はあまりああしろ、こうしろとアドバイスしない」(原監督)という父が珍しく、「辰徳、ひとつだけ言っておく」と声をかけた。

 「監督になると、悩み事や考え事がすごく多くなる。でも枕に頭をつけて考えるな。どうしても考えたいときは部屋を明るくし、イスに座り、その中で考えなさい」

 助言が生きる夜はいきなりきた。原監督は初陣から4連敗。床につくと後悔や善後策などさまざまな思いが去来したが、妙案は浮かんでこなかった。「父はこう言っていた。ベッドから下りて電気を付けると、下らないことしか考えていない(と思い知る)」。枕元にメモを置く方法も試したが、「『これだ!』とメモして朝見ると笑っちゃう。こんなことを考えていたんだと」。

 人の上に立つ者に、立ち止まることは許されない。「寝るときは寝る」という父の教えが、世界最優秀監督に至るまでの険しい道のりを支えた。

 明日を担う学生たちに向けて、「リーダー意識を1人1人が持ってほしい」と呼びかけた原監督。「目標が高ければ高いほど悩みは多い。イスに座ってさあ考えよう、それが大事」。すぐれて実戦的な「原家の奥義」は、先の見えない時代に生きる多くの人にヒントとなりそうだ。(笹森倫)