短編と長編(わりと短いか)が入った作品でした。
タイトルの方が長編の作品でしたが、私はタイトルの作品より、短編「レンタル世界」の方が好きでしたね。
朝井リョウという作家さんは、本当に人の気持ちがわかるというか、女でも男でもうまいな~って気がしましたね!
「レンタル世界」では、ある結婚披露宴に出席した主人公が、新婦側の女子に一目惚れ。
その人とはある日街中で再会します。主人公が「~の文学部でしたよね??」と話しかけると、その子の連れの子が「そんな大学行ってません」という…。
彼女はなんと、新婦側に雇われたレンタル友人だったというのです!!
それでも主人公は彼女に近づきたくて、レンタル彼女として雇い、会社の先輩の家に「彼女」として一緒に出かけていきます。
会社の先輩は、大学時代ののラグビーの先輩でもある人。美人で料理上手な奥さんと結婚して、初めて家に遊びに行くのでした。
レンタル彼女は、おいしい料理のレシピを聞くため、奥さんの連絡先をきいたりしてとても積極的。
ところが、レンタル彼女から奥さんと先輩のとんでもない秘密を聞くことになって…!!
という内容で、私は今の日本人のつきあいとして、「見栄」とか「体裁」とか、時代が新しくなってもそういうものに絡められている人のお話だと思いましたね。
友達を多く見せたいとか、キレイに見られたいとか、技術や考え方が進化してきて、なんでもありになっていくのが怖いです。
そういえば、「リップヴァンウィンクルの花嫁」も、レンタル親族(だか友人だか)で結婚式に出る話でしたね。
つきあいもニセモノ、画像加工で自分もニセモノ、じゃあ本当の私は?まぁ、画像加工は作品とは関係ない話ですけど、よく騙された~っていう話あるので(笑)
風俗では「レンタル彼女」な体験がすぐできるようですが、レンタルなんておかしい!と息巻く主人公に、彼女は「じゃあ風俗に行くあんたはどうなのよ」と切り返します。
言い返せねぇ。
いつかこれが普通な時代が来てしまうのでしょうか。おそろしい…。
では、また何か読んだらまた書きます。