流していた曲を止め、ダンスのレッスン室の床に寝転んだ。

 

俺は新曲の振り付けがなかなか覚えれず、個人的に練習していた。

 

メンバーには迷惑をかけたくないしな。

 

けれども1人の練習にも行き詰まって、休憩することにした。

 

閉鎖された部屋の中、自分の息が荒く聞こえてくる。

 

床の冷たさが気持ちいい。

 

大きく息を吐いて眼を瞑る。

 

汗が額から流れ落ちるのがわかったが、拭うのが億劫でそのままにしていた。

 

動きたくなくなってイメージトレーニングに切り替える。

 

しばらくそのままの状態でいたらカチャッと小さくドアが開く音がした。

 

そして誰かが部屋に入ってくる気配。

 

ここに入って来られるのは決められた数人のみ。

 

そういう意味で特に警戒する必要がないので、ドアの方を見ることなくそのままの状態でいた。

 

部屋に入ってきた人物は音をたてないようにそっと俺に近付いてきた。

 

俺のすぐ側までくる。

 

 

「しょお、くん・・?」

 

 

と遠慮がちに名前を呼ばれた。

 

、、、松本、か。

 

メンバーなら俺がここにいる情報は得られるから、マネージャーにでも聞いたのだろう。

 

何の用事だろうか。

 

ダンスの振り付けを覚えるのが俺よりはずっと早い松本だ。

 

一緒に練習しにきた可能性は無きにしにあらずだが、可能性は低い。

 

なら別の用事で、、、、、どのみちこいつの用事は碌なことがない。

 

いろいろと振り回されるのは面倒だ。

 

ここは寝たフリしておこう。

 

諦めて帰ってもらうのが最善だ。

 

名前を呼ばれても動かない俺になおもそっと問いかけてくる松本。

 

 

「寝てる、の・・?」

 

 

そうだよ、寝てるんだ、だからさっさと帰れ。

 

心の中で呟く。

 

しかし、

 

 

「スキあり♡」

 

 

そんな声がしたかと思うとふわりと松本の匂いがしたと同時に口唇に柔らかい感触がした。

 

この覚えのある感触は間違いなく松本の口唇だ。

 

違う!!隙じゃねぇよ、寝てんだよ!!

 

寝込みを襲うな!!

 

心の中で思いっきり突っ込む。