結局俺のキスシーンはそれだけだったから、その後松本曰くの“消毒”はなかった。
そして次にそういう仕事があったのは俺ではなく松本だった。
ならその撮影を撮り終わったら俺のところに来るかな、なんて意識してしまった。
またあの感触を味わえるのかもしれない。
事前にそのスケジュールを聞いていた俺はその日は朝からドキドキしていた。
松本も俺も仕事が終わるのは夕方。
夕方以降は予定は入れてないし、いつきても大丈夫、、、。
、、、ってなんで松本のために約束もないのに予定開けてんの!?
おかしいだろ、あいつはあくまでグループメンバーの1人だ。
そりゃあメンバーは大事で大切な仲間だけど、それで消毒って行為自体おかしいから。
っつーか女優さんに失礼だから。
いくら気持ちよかったからって。
来たらここはガツンと言ってやらないと。
一応俺が年上だしな。
頭をフルフルと振って余計なことを頭から追い出す。
自分のすべきことが決まったら落ち着いてきたぞ。
よーし、いつでも来い!!
、、、、、違う、来なくてもいいんだって。
むしろ来ない方が当たり前なんだって。
それか女優さんとキスしたら、やっぱり女がいいって気付くのかもしれない。
そーだ、そーだ、きっとそうだ。
女とした方が気持ちよかったって思うはずだ。
考えがそこに辿りつくが、ズキンと胸が痛む。
、、、何故痛む?
ズキズキと痛む胸を押さえる。
頭には多量の疑問符が浮かぶ、、、とはいかず、わかるけどわかりたくないような思考になる。
胸が痛むってことは嫌なことを考えているってことだ。
直前に考えていたことはなんだ?
松本が俺より女性を選ぶ可能性があるってこと。
松本が俺じゃなくて他の人のものになる。
この間もズキズキと胸の痛みは続く。
これは、、、、、、、、、、、まさか、、、、、。