俺は高校卒業と同時に芸能活動を辞めるつもりだった。

 

松本は逆に今後も芸能活動に力を入れていきたいと言っていた。

 

なので、そのうち距離が開くのは見えていた。

 

松本を説得するより距離が開く方が早そうだ。

 

ひょっとすると説得するより距離があいた方が問題を解決してくれるかもしれない。

 

お互い一般的な道を歩いていくのがベストだと考えていた俺は距離があけば松本のこの感情もなくなるだろうと、いつか若気の至りだったとなるだろうと思った。

 

だからそれまで自由にさせておくかと。

 

 

「あ、そういえば事務所のエライ人がしょおくんのことよんでたよ」

 

「は?なんで・・・」

 

「あのね、一緒にデビューするんだって。

同じグループ♡」

 

 

はいいいいい!?

 

え、この間芸能活動を辞めるつもりって事務所へ言ったよね!?

 

『あ、秘密だって言われてたのに言っちゃった』と嬉しそうに口に手を当てる松本。

 

ちょっと待て、お前何を味方に付けている?

 

もう言葉が出ない俺。

 

松本はにっこりとアイドルよろしくの顔で微笑むと

 

 

「これからもよろしくね」

 

 

と言った。

 

そしてなんやかんやと事務所の大人に言い含められた俺は事務所を辞めることなくアイドルとしてデビューすることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

結局若干不本意ながらもデビューした俺。

 

デビューしたからには仕事を無下にできない。

 

売れるためにひたすら頑張った。

 

そのため松本と行動を共にすることも多かった。

 

松本は告白してきた時は俺が勝手に松本に落ちるような発言をしていたが、その後は俺を落とそうとできる限りの努力をしてきた。

 

仕事で忙しいだろうに弁当作ってきたり、お使いに行ってきたり、プレゼントを持ってきたり、俺の気を引こうと一生懸命だった。

 

 

 


 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

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