俺は同性は恋愛対象としてみることはできない。

 

ゆえに交際はお断りするしかない。

 

気を持たせてはいけないので、正直に答えた。

 

 

「ごめん。

俺は恋愛対象は女の子だけだから・・・。

お前のことは好きだけど弟としかみれない。

だから付き合えない」

 

 

わかりやすくズバッと答えた、はずたっだ。

 

松本でもわかりやすく。

 

それで諦めてくれるだろうと思っていた。

 

ひょっとしたらこれから距離をとられるかもしれない。

 

振られた相手のそばにいるのは辛いことだ。

 

気持ちが落ち着くまで時間を有するだろうし。

 

それはそれで仕方がないことだと思っていた。

 

でも忘れていた。

 

こいつは結構突飛な奴だったことを。

 

松本は俺の答えを聞いても表情を変えなかった。

 

 

「うん。

わかった。

でも、しょおくん、今付き合っている人いないんでしょ」

 

「い、いない、けど・・・」

 

 

何故かじりじりと迫ってくる松本。

 

思わず一歩引いてしまう。

 

 

「好きな女の人もいないよね?」

 

 

松本は疑問系で聞いてくるけど、言い方は断言している感じだ。

 

何でだろう。

 

正直に答えてはいけない気がしてきたぞ。

 

よし、ノーコメントだ。

 

頷かない、首を横にふらない。

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・うん。

いないね」

 

 

、、、何でわかるんだよ。

 

松本はにんまりと笑うと俺に言った。

 

 

「なら、しょおくん、ぼくに落ちるよ」

 

 

え、何、その宣言!?

 

しかも『落とせるようがんばるよ』とか『好きになってもらえるよう努力するよ』とかの自分が努力するつもりではなくて俺が落ちる宣言!?

 

どこから来るその自信?

 

歌やダンスに対しては不安な表情をよく浮かべているが、このことに関しては自信満々な表情だ。

 

こんな顔初めて見たわ。

 

それを見てこいつを説得するのが長期戦になることを悟った。