・夏休み疲れを知らぬ孫ふたり回復出来ぬ翁媼ふたり

 

・若き日の夢に今なお生き惑う敗れし吾と勝ちし友たち

 

・じめじめとビルの硝子に濡れ落ち葉もどかしく手の届かぬ憂鬱

 

・来客が手付かず残した支那そばを幼き吾は箸持て待てり

 

・まどろみの車窓の先に大聖堂ライン渡りてケルン静けき

 

・海行かばみづくかばねの歌を聴き吾を見つめてゲルマンの泣く