私の祖父は2歳の時に他界しているのであまり多くの記憶はないが 近くの小学校の運動会に行くのに手をつないで歩いているのを覚えている それともう一つ 夏の暑い日 蔵の石段の上に横になって涼んでいるのと 池に面した障子戸を開け放って仏間の畳に寝そべっているのを微かに覚えている

 

あまり話した記憶はないが 写真を観ると長いあごひげをたくわえた背の高いすらっとした厳格な明治人と言う風貌である 私が言うのもなんだが父も祖父もギリシャ彫刻の様に鼻の高い美男子だった 祖父は麦酒が好きだった 父の話だと死に水も麦酒だったと云う

 

写真は真鍮の鋳物の小さな裸婦像だが 当時使っていたと思われる麦酒の栓抜きである 60年も昔の話だが子供の頃私が蔵で発見した「とっておきのもの」