煙草盆に祖母がそっと忍ばせる十円玉は私の小遣い 

 

もう半世紀も前に亡くなった祖母は煙管で煙草を吸っていた。そしていつも10円玉を一個だけその煙草盆に忍ばせていた。毎日ではないが、私が小遣いをねだると祖母は、その中から黙って10円玉を一個出してくれる。それを持って駄菓子屋に行く。まだ飴玉が一個五十銭(2個1円)の頃だ・・・そして祖母はまた10円玉を一個だけ煙草盆に補充するのだ・・・私の玉手箱だ。