冬景色 作詞・作曲者不詳
狭霧消ゆる湊江(みなとえ)の 舟に白し朝の霜
ただ水鳥の声はして 未だ覚めず岸の家
烏啼きて気に高く 人は畑(はた)に麦を踏む
げに小春日ののどけしや 返り咲きの花も見ゆ
嵐吹きて雲は落ち 時雨(しぐれ)降りて日は暮れぬ
もし燈火(ともしび)の漏れ来ずば それと分かじ野辺(のべ)の里
日本の原風景だなぁとこの曲の歌詞を見て思うのはワタクシだけでしょうか。
1番 朝、2番 昼、3番 夜の様子を表しています。
そして同時に季節の移り変わりも表している気がします。
1番の狭霧。
これは秋の季語()になります。
それが消えて霜が降りる季節。
寒くて人がなかなか起きて来ないという情景です。
2番は小春日。
11月から立春(今年は2月3日)までの春の様な暖かい日をいいます。
麦踏みは1月~2月にかけて行うそうです。
麦は踏むことで強く成長します。
収穫も多くなります。
因みに烏(カラス)という漢字は鳥(とり)に
似ていますが上の部分に横線が1本足りません。
これは漢字の成り立ちに由来します。
その横線は目を表すもの。
カラスは真っ黒なため
目がどこにあるかわからない、という理由だそうです。
3番は春の嵐に近付いたでしょうか。
それでもまだ寒くて人が夜外に出るには、
という情景かもしれません。
ただ時雨(しぐれ)は雨のみならず雪をも表すそうなので、
やはり2月を想定でしょうか。
そうなると1番から段々と季節をも移り変わっている気がします。
しかし曲全体に共通しているのは人の声がほとんどしない静けさ。
創造力さえあればこの曲は癒しになるのではないでしょうか。
このような素晴らしい詩と旋律を思いついた人物が
不明というのは残念です。
そしてこの曲は2007年に「日本の歌百選」に選ばれたそうです。
(上記写真は先日に出掛けたスキー場中腹から
…車山と富士見…どっちだっけ)