< もう一歩のところで >

 

 

危機の最後の特徴について考えます。

 

C 被害が見え難い。

 

二つの理由がある。

 

* 立場によって被害の影響に違いがある。

 

例えば、金融危機により必ず就職氷河期が起こり、被害は求職者に集中する。

日本では学校卒業時に一度、就職機会を逃すと生涯不利益を被る。

 

一方、危機後の景気浮揚策により、投機家は多くを失っても大資産家ほど更に増え、低所得層ほど低下したままとなる(浮揚策の偏り)。

 

原発事故は原発周辺の人に甚大な被害を与えるが、他の地域はそれほどではない。

 

社会保障の低下は富裕層には影響しない。

 

このように全体としては被害が甚大であっても、人によっては異なる。

 

 

* 多くは政府の失策を隠す為や産業側のエゴの為に、政府・体制側や産業・企業は事実を隠蔽し、被害を軽微に見せる。

 

例えば、原発事故や金融危機において、パニックや不評被害を避けるためと称して、深刻なダメージを隠し続ける。

かつての太平洋戦争、公害問題、薬害エイズ、福島原発事故など、当事者が事実を隠蔽し、全容を知るのが遅れた。

また因果関係をあやふやにし、人災ではなく天災に見せかける。

最後には、国民に不可抗力だから諦めろ、打つ手はないと納得させる。

 

こうして国民は甚大な被害を受けた危機の正体を知ることなく、懲りずに繰り返すことに甘んじることになる。

 

政府や体制側が隠蔽・カモフラジューしないか、日頃から注視する必要がある。

つまり愚行を繰り返さないためには、国民が聡明にならなければならない。

 

 

 

次回に続きます。