父の田舎 | アイビス・プラネット 登紀子のブログ

アイビス・プラネット 登紀子のブログ

舞台プロデュースや劇団制作。
「黄金のコメディフェスティバル」「シャトナー of ワンダー」「ポップンマッシュルームチキン野郎」「X-QUEST」「東京ハイビーム」等。
元:惑星ピスタチオの総合プロデューサー。
※アプリコットバスより社名変更致しました。

子供の頃、夏は毎年父の産まれた家で過ごした。島根県の田舎の古い生家は、皆大阪に出たりで誰も住んでいない。だから、着くとまず一年振りの大掃除となる。埃を掃き、布団を干し、井戸の水をくみ、五右衛門風呂を洗い、ボンカレーなんかを裏の雑貨屋で買う。近くに住む漁師の親戚から貰ったみずみずしいイカを刺身にして、ご飯を食べたら海。
日本海がすぐそばだった。
水着のまま家を出て、存分に泳ぐ。海水浴場でないから、地元の子が少しいるだけの、とても綺麗な海だった。

母が何度も「Tシャツを着なさい」と忠告してくれるが、たいてい脱ぎ捨てて肩や背中にひどい日焼けをし、眠れないほど痛くなる。そして誰より一番日焼けをしていたのは、変わり者の父だった。

兄や父は泳ぎが上手くて、魚やタコやタツノオトシゴなんかを捕まえてた。今は禁止されているみたいだど、サザエを沢山取って、つぼ焼きにして食べた。


五右衛門風呂に入ったり、先祖の墓を磨いたり、寺でお経を読んだり、庭の井戸でスイカを冷やしたり、白蛇を見たり……その田舎の古臭さを気味悪く思いながら、楽しい夏だった。(母がどうやって食事の支度や洗濯をしていたのか覚えてないけれど、相当大変だったろうと思う)。


中学生ぐらいになると、兄は受験だし、私も親との旅行が面倒になる思春期を迎え、いつの間にか田舎に行くことが途絶えた。いつだかの台風で、その古い家が傾いてもう寝泊まり出来ないとも聞いたりした。



まだあの海は、透明度が高く、波は荒いんだろうか?塩の香りはキツいんだろうか?沖の小さな松島はまだあるんだろうか?悪ガキだったという父が育ち、私の幼少の強烈な思い出を作った家はどうなってるんだろう……。
行って確かめてみたいな。


今日は父の命日です。