






大和の模型左舷側には実物の魚雷、砲弾、特殊潜航艇と帝国海軍零式艦上戦闘機62型が展示してある。この零式艦上戦闘機はかつて京都市にあった嵐山美術館に所蔵、展示されていた物である。諸事情で嵐山美術館が運営出来なくなり、大半の展示物は売却、処分されたらしい。この零式艦上戦闘機は戦時中に琵琶湖に着水した機体で戦後に回収された物である。海に着水した機体と違い、腐食の程度は軽いようであった。
実は帝国海軍機の実物を見るのは初めてであった。視界の中に零式を捉えた時、胸にグッと熱いものがこみ上げてきたのは言うまでもない。この62型の零戦は武装が20mm機銃と13mm機銃である。20mm機銃はB29等の大型機を攻撃する為の炸裂弾頭を使用しているが如何せん射程距離が短いのが泣き処である。13mm機銃は重装甲化した米軍の戦闘機に対抗する為の物で大戦初期は7.7mm機銃を機首部分に搭載していた。
62型では20mmと13mm機銃は主翼内に納められているが、空戦時には旋回運動で発生する主翼の捻れと遠心力で照準ズレを起すという欠点があった。それ故パイロットには高度な技術が求められたのである。それに対し、米軍機は12.7mm機銃を主翼内に6門内装し物量に物を言わせて一気に弾幕を張ったのである。悲しいかなこれが当時の日米の工業力の差である。
この物言わぬ零式艦上戦闘機が戦後の我々に何を伝えようとしているのか。独立国家とは何か、民族とは何か、主権とは何か。上っ面だけの綺麗ごとに満ちた平和学習の教材ではない事をこの62型は教えてくれるのである。