息子がひたすら後ろを向いていた、歌の発表会。
私が撮ってきたビデオを見た夫。
息子に言う。
「これは、息子も一緒に見なさい。ちゃんと、見なさい。」
夫が息子に淡々と話す。
「発表会は、もう終わったことだから、お父さん怒らないよ。
でも、話はしておくね。
息子は歌を歌いたくないから、ずっと後ろを向いていたんだね。
こうやってビデオで自分を見て、どう思う?
一人だけずっと後ろを向いていて、なんかおかしいな~、って、思うかな?
みんなのママたちは、そう思ったと思うよ。
あぁ、息子くんて、前を向けないんだなって、思ったと思うよ。
どう思われたとしても、絶対前を向きたくない!
ということなら、それもひとつの生き方では、あるよね。
それなら、前を向かないことで起きてくる結果は、息子が自分で受け入れないといけないよ。
やりたい放題やっておいて、その結果は引き受けたくない、というのは、ナシだよ。
起きてくる結果としては、
見ている人たちに、”前を向けない子”、”ちゃんとできない子”と思われること。
そして、ママがガッカリするだろうから、ぶーぶー文句を言ってくるかもしれないね。
それから、ちゃんとできたときのご褒美は、当然買ってもらえないよ。
それでも何でも、オレはいい!
結果は全部引き受けるから、何があっても前を向かないぞ!
ということなら、それでもいいです。
どう?
息子はそろそろ、”ママに怒られるからしぶしぶちゃんとやる”とかじゃなく、自分で考えることができるはずだよ。
このビデオの自分を見て、どうかな。
これで本当にいいと、息子は思うの?」
幼い息子相手に、生き方を話す夫。
一人前扱いして、とても良いと思う。
夫は息子を褒めるのも忘れない。
「でも、どこかに逃げないで、その場でずっと居たのは、偉かったね。」
息子はコミュニケーションが取れるようになってきたので、しっかり説明すれば、理解できる。
息子はしばし、考えた。
「よくない。ぼく、卒園式は、前を向きます。」